画像生成AIのマーケティング活用 バナー・SNS・広告での使い方と注意点

画像生成AIのマーケティング活用|バナー・SNS・広告での使い方と注意点

画像生成AIは、マーケティングでは「たたき台を速く、たくさん作る」ことに最も向いています。バナーやSNS投稿、広告の案出しにかかる時間を短くし、そのぶん比較・検証の回数を増やせます。一方で、完成品をAIだけで仕上げようとすると、ブランドの統一感や権利面で問題が起きやすくなります。

この記事では、画像生成AIのマーケティングでの使いどころを用途別に整理し、制作の進め方、社内体制、著作権・商用利用・広告表示で注意する点を解説します。

目次

マーケティングで画像生成AIが役立つ用途

用途向いている使い方人が担う部分
バナー・広告クリエイティブ背景・イメージ画像の案を複数作り、配色や構図を比べるロゴ・コピー・価格表示の配置、最終の仕上げ
SNS投稿投稿テーマに合わせた挿絵、季節のイメージ画像ブランドのトーンに合うかの判断、投稿文
LP・Webサイト見出しの横に置くイメージ図、セクションの背景実績や人物など事実を示す写真は実物を使う
商品画像撮影した商品写真の背景差し替え、利用シーンのイメージ商品そのものの形・色・サイズを変えない確認
企画・提案キャンペーン案や広告案のラフを、打ち合わせ前に用意する採用する案の決定

バナー制作の具体的な手順はAIでバナー作成、SNS運用全体へのAI活用はAIを使ったSNS運用の方法で解説しています。

成果につなげる制作の進め方

1. 目的と検証する指標を先に決める

「画像をAIで作る」こと自体を目的にしないのが大切です。広告ならクリック率、SNSなら保存数や反応数など、何を改善したいかを決めてから作ります。案を増やせるのが画像生成AIの強みなので、2〜3案を並行して出し、数字で比べる進め方と相性がよくなります。

2. ブランドのルールをプロンプトに落とし込む

毎回ばらばらの雰囲気にならないよう、ブランドカラー、写真風かイラスト風か、人物の扱い、避けたい表現をまとめた「プロンプトの型」を作り、チームで共有します。プロンプトの書き方の基本は画像生成AIのプロンプトの書き方を参考にしてください。

3. 文字・ロゴ・価格は人が入れる

画像生成AIは画像内の文字を正確に描けないことがあり、ロゴを崩して描くこともあります。キャッチコピー、ロゴ、価格、注意書きは、生成した画像の上にデザインツールで正確に配置します。

4. 公開前に確認する

公開前に、権利・表示・品質の3点を確認します。確認の項目は、この記事の後半にある「公開前のチェックリスト」にまとめました。

著作権・商用利用・広告表示で注意すること

著作権:既存の作品に似せない

文化庁の「AIと著作権に関する考え方について」(2024年3月)では、AIで作った画像でも、既存の著作物に似ていて(類似性)、その著作物をもとに作られた(依拠性)場合は、著作権侵害になりうるとされています。特定の作家名やキャラクター名、他社の広告を指定して「この作風で」と指示するのは避けます。文化庁は同年7月に、利用者向けの「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」も公開しています。実際の事例はAIの著作権侵害事例まとめで紹介しています。

商用利用:ツールの規約を確認する

生成した画像を広告や販促に使えるかどうか、クレジット表記が必要かどうかは、ツールと契約プランごとに規約で決められています。無料プランでは商用利用が制限される場合もあります。使い始める前と、規約が変わったときに確認します。

広告表示:実物と違う印象を与えない

商品やサービスの広告で、実物より良く見える画像を使うと、景品表示法の優良誤認にあたるおそれがあります。AIで作った料理の写真、施工後のイメージ、利用者の写真などを、実物・実例のように見せるのは避け、イメージの場合は「イメージです」と明記します。お客様の声や導入事例には、実在の写真を使います。

用途別のプロンプト例

画像生成AIへの指示は、「何を」「どんな雰囲気で」「どんな構図で」「何を入れないか」を分けて書くと、意図に近い画像が出やすくなります。次の例は、そのまま使える形にしています。【】の中を自社に合わせて書き換えてください。

用途プロンプト例
バナー背景【オフィスでノートパソコンを見ながら打ち合わせをする2人】の写真風の画像。明るい自然光、背景はぼかす。右側に文字を置ける余白を空ける。ブランドカラーの【紺】を小物に少し入れる。画像内に文字は入れない
SNS投稿の挿絵【業務効率化】をテーマにしたフラットなイラスト。白背景、配色は【紺と青】の2色、人物は1人。正方形。文字やロゴは入れない
商品画像の背景この商品写真の背景だけを【木目のテーブルと観葉植物のある明るい室内】に差し替える。商品の形・色・ラベルは変えない
広告の案出し【中小企業の経営者】向けの【AI研修】の広告画像の案を3パターン。1:講師が説明する研修風景、2:グラフが上向きの抽象的なイメージ、3:チームで笑顔で話す様子。いずれも文字は入れない

ツールの選び方

画像生成AIのツールは種類が多く、機能もよく変わります。特定のツール名で選ぶより、次の観点で比べると、自社に合うものを選びやすくなります。

観点確認すること
商用利用の条件広告・販促に使えるか、クレジット表記が必要か、プランによる違い
日本語での指示日本語のプロンプトで意図どおりに出るか
編集機能背景の差し替え、一部だけの描き直し、サイズ変更ができるか
チームでの利用複数人で使える契約か、作った画像を共有・管理できるか
既存ツールとの連携普段使っているデザインツールやSNS管理ツールから使えるか

効果検証のやり方

画像生成AIを使う価値は、作る時間が減ることより、比べられる案が増えることにあります。広告やSNSで、次のように検証を回します。

  1. 同じコピー・同じ配信条件で、画像だけを変えた2〜3案を用意する
  2. 一定期間(広告なら数日〜1週間、SNSなら数投稿)配信し、クリック率や保存数を比べる
  3. 反応のよかった画像の要素(色、人物の有無、構図)を言葉にし、プロンプトの型に反映する
  4. 次の制作では、その型をもとに新しい案を作り、また比べる

よくある失敗

  • 毎回ちがう雰囲気になる:プロンプトの型がないまま担当者ごとに作ると、ブランドの統一感が崩れる
  • 文字入りの画像をそのまま使う:生成された文字は崩れていることが多い。文字は後から正確に入れる
  • 実物の代わりに使ってしまう:導入事例や商品の実写が必要な場面でAI画像を使うと、信頼を損ねる
  • 検証せずに量だけ増やす:案を増やしても比べなければ、成果は改善しない

公開前のチェックリスト

  • 使ったツールとプランで、商用利用が認められている
  • 特定の作家・作品・他社広告をまねる指示をしていない
  • 既存の作品やキャラクター、他社ロゴに似ていない
  • 商品の形・色・サイズなど、実物と違う印象を与えていない
  • イメージ画像には、必要に応じて「イメージです」と表示した
  • 画像内の文字・ロゴ・価格は人が正確に入れ直した
  • 人物の手や顔、背景に不自然な崩れがない
  • ブランドの色・トーンのルールに合っている

社内で使い続けるための体制

画像生成AIを一部の担当者だけが使う状態だと、その人が不在のときに止まり、品質の基準も共有されません。次の3つをそろえると、チームで回せるようになります。

  1. プロンプトの型と作例の共有:用途ごとに、使ったプロンプトと完成品を一覧にする
  2. 確認担当の明確化:公開前のチェックリストを誰が確認するかを決める
  3. 効果の記録:AIで作った案と従来の案のクリック率や反応を記録し、次の制作に生かす

社内で生成AIを使うときの全体のルールは、生成AIの社内ガイドラインの作り方で解説しています。

よくある質問

AIで作った画像を広告に使っても問題ありませんか?

ツールの規約で商用利用が認められていて、既存の作品に似ておらず、実物と違う印象を与えないものであれば、広告に使うことはできます。公開前に上のチェックリストで確認してください。

デザイナーがいなくても画像生成AIで制作できますか?

SNS投稿の挿絵やバナーの背景などは、デザイナーがいなくても作れます。ただし、ロゴや文字の配置、ブランド全体の統一感の判断は人の仕事です。まずはたたき台づくりにAIを使い、仕上げは社内外のデザイナーと分担する形が現実的です。

AIで作った画像だと明記する必要はありますか?

一律の表示義務はありませんが、商品の見た目や効果、実在の人物・事例と誤解されるおそれがある画像には「イメージです」などの表示をします。SNSや広告配信のプラットフォームによっては、AI生成コンテンツの表示ルールがあるため、各媒体の規定も確認してください。

画像生成AIで作った画像に著作権はありますか?

文化庁の考え方では、AIが自動で生成しただけの画像には著作権が認められにくく、人が創作的に関与した場合(指示の工夫や加工の程度による)に認められうるとされています。自社の画像として独占的に使いたい場合は、人の手による加工やデザインの工程を入れておくと安心です。

社員に画像生成AIを使ってもらうための研修は必要ですか?

プロンプトの型と公開前のチェックリストを共有するだけでも品質は安定しますが、権利や広告表示の注意点まで含めて一度説明しておくと、事故を防げます。実際の業務の題材で作ってみる形式が効果的です。

まとめ

画像生成AIは、マーケティングのたたき台づくりと案出しの速度を上げる道具として使うと成果につながります。目的と指標を先に決め、ブランドのルールをプロンプトの型にし、文字やロゴは人が入れ、公開前に権利と表示を確認する。この流れをチームで共有することが、継続して使うための近道です。

ネクストスケールでは、画像生成AIを含む生成AIの業務活用を、生成AI活用研修で実践的に学んでいただけます。マーケティング業務全体へのAIの組み込みを相談したい場合は、AIコンサル・AX伴走支援をご覧ください。

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この記事の監修者

石丸真平

石丸真平

株式会社ネクストスケール 代表取締役

株式会社ネクストスケールの代表。「AI時代に勝てる企業組織を共に創る」を掲げ、法人向けの生成AI研修とAX(AIによる企業変革)の伴走支援を手がける。経営課題の整理からAI活用領域の設計、ツール選定、業務への組み込み、社内定着、ROI測定までを一気通貫で支援。単なる効率化ではなく、経営戦略としてAIを活かす視点での支援を得意とする。Xでは「本当に仕事で使えるAI」をテーマに、実務で使えるノウハウを発信している。
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