Microsoft 365 Copilotを使ってみた アプリ別の実力と向く業務・向かない業務を解説

Microsoft 365 Copilotを使ってみた アプリ別の実力と向く業務・向かない業務を解説

「導入すれば業務が劇的に変わる」という話を聞く一方で、「思ったほどではなかった」という声も同じくらい聞こえてくる。Microsoft 365 Copilotほど、評価が分かれているツールも珍しいのではないでしょうか。

実際に触ってみると、その両方が正しいことが分かります。効果がはっきり出る業務と、期待したほどではない業務が明確に分かれるためです。そして、どちらに転ぶかは製品の性能だけでなく、使う側の環境に左右されます。

この記事は、Microsoft 365 Copilotを業務で一定期間使い、アプリごとに何ができて何ができなかったかを整理した検証の記録です。良かった点だけでなく、期待を下回った点も含めて書いています。

検証はあくまで一企業の環境で行ったものであり、すべての組織に当てはまるわけではありません。判断材料の1つとして読んでいただく前提で、率直な内容をまとめました。

確認したいポイント結論詳細
結局のところ使えるのか?会議とメール周りは効果が明確Teamsの会議要約とOutlookの下書き生成は日常業務にそのまま組み込めました。表計算と資料作成は補助的です。
どのアプリが一番よかった?Teamsの会議要約が最も実用的議事録の作成と決定事項の抽出は、そのまま共有できる水準に届く場面が多く、確認の手間も小さく済みました。
料金はいくら?アドオンで月3,148円相当から既存のMicrosoft 365への追加契約で、年払いなら1ユーザーあたり月3,148円相当です。1か月の無料試用もあります。
導入前に何が必要?アクセス権限とファイル配置の整理社内データを参照する仕組みのため、権限設定が甘いと想定外の情報まで出てきます。事前の棚卸しが欠かせません。

この記事でわかること

  • Teams、Outlook、Word、Excel、PowerPoint、Copilot Chatのアプリ別に見た実際の手応え
  • 効果がはっきり出た業務と、期待を下回った業務の具体的な違い
  • 使い始める前に整えておくべきアクセス権限とファイル配置の準備
  • 出力の精度を上げるために有効だった4つの使い方のコツ
  • 現在の料金体系と、何時間の削減で費用に見合うかという損益分岐の考え方
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目次

使ってみた結論|効果が出た領域とそうでない領域

先に結論から書きます。Microsoft 365 Copilotは、会議とメールという「情報が流れていく業務」で明確に効果が出ました。一方、ExcelやPowerPointのような「成果物を作り込む業務」では、期待したほどの手応えは得られませんでした。

この差は、Copilotの得意分野の違いによるものです。すでに存在する情報を要約したり抽出したりする処理は精度が高く、ゼロから完成品を組み立てる処理は人の手直しが前提になります。

総務省の令和7年版情報通信白書によれば、生成AIの活用推進による影響について、日本では業務効率化や人員不足の解消につながるという回答が最も多く挙げられています。その期待に対して、どこまで応えられるかという観点で検証を進めました。

最も効果を感じたのはTeamsの会議まわり

検証した中で、導入初日から効果が実感できたのがTeamsの会議要約でした。会議終了後すぐに、話し合われた内容の要点、決定事項、次のアクションが整理された形で出てきます。

議事録係を立てる必要がなくなり、参加者全員が議論に集中できるようになりました。欠席者へのキャッチアップも、要約を共有するだけで済みます。

完璧ではありません。発言者の取り違えや、冗談として言われた内容が決定事項として拾われることもあります。それでも、ゼロから議事録を書き起こす手間と比べれば、修正のほうがはるかに軽いというのが率直な感想です。

期待ほどではなかったのはExcelとPowerPoint

逆に評価が伸びなかったのがこの2つです。ExcelではCopilotがデータを分析して傾向を示してくれますが、そもそもデータが表として整った形になっていないと処理が始まりません。

実務のExcelは、結合セルや途中の空行、複数の表が1シートに同居した状態が珍しくありません。この形式のまま投げても、期待した回答は返ってきませんでした。

PowerPointは、文書からスライドの骨格を作る機能自体は動きます。ただし出てくるのは汎用的な構成で、そのまま社外に出せる水準ではありません。下書きとしては使えるが、清書は人がやるという位置づけになります。

評価が分かれる理由は社内データの整備状況にある

使っていて強く感じたのは、Copilotの回答品質は製品の性能だけで決まらないということです。参照できる社内データが整理されているかどうかが、そのまま出力の質に跳ね返ります。

ファイルが個人のOneDriveに散らばっている、命名規則がばらばら、同じ資料の古い版と新しい版が混在している。こうした状態では、Copilotは古い情報を根拠に回答してしまいます。

「導入したが効果がなかった」という評価の一定数は、製品ではなく環境側に原因があるのではないかというのが、検証を通じた実感です。

検証した環境と前提条件

評価の前提を明確にしておきます。同じ製品でも、契約しているライセンスによって使える機能が大きく異なるためです。

使用したライセンスと検証したアプリ

検証にはMicrosoft 365のビジネスプランに、Copilotのアドオンライセンスを追加した構成を使いました。対象アプリはTeams、Outlook、Word、Excel、PowerPoint、そしてCopilot Chatの6つです。

利用者は10名程度、期間は数週間にわたります。特定の業務に絞らず、日常の業務のなかで自然に使う形で試し、使われ続けたものと使われなくなったものを観察しました。

なお、この記事に記載した価格や機能は2026年9月時点の情報です。Copilotは更新の頻度が非常に高いため、検討時は必ず公式の最新情報を確認してください。

Copilot ChatとMicrosoft 365 Copilotの違い

混同されやすい点なので整理します。Copilot Chatは、対象のMicrosoft 365プランを利用していれば追加費用なしで使えるAIアシスタントです。Web上の情報を根拠にした回答や、その場でアップロードしたファイルの処理ができます。

対して有料のMicrosoft 365 Copilotライセンスを追加すると、Word、Excel、PowerPoint、Teamsといったアプリ内でCopilotが使えるようになり、社内のメールやファイル、会議の記録を横断して参照できるようになります。

この記事で扱う「使ってみた」の中身は、後者の有料ライセンス側です。無料のCopilot Chatだけでは、社内データを踏まえた回答は得られません。ここを取り違えたまま試して「大したことがない」と判断してしまう例が実際にあります。

評価の基準にしたもの

「便利だった」という感想では判断材料になりません。今回は次の3点を評価軸に置きました。

  • そのまま使えるか:出力に手を入れずに業務で使える水準に届いているか
  • 手直しの手間:修正が必要な場合、ゼロから作るより明確に楽になっているか
  • 使い続けられたか:物珍しさが消えた後も、業務のなかで自然に使われ続けたか

特に3つ目が重要でした。導入直後は誰もが試しますが、2週間後も開かれている機能は限られます。定着したかどうかが、実用性の最も正直な指標になります。

アプリ別に使ってみた結果

ここからはアプリごとに、何を試して、どこまでできたのかを具体的に書いていきます。順番は、効果が大きかった順です。

Teams|会議の要約と決定事項の抽出

検証で最も高い評価になった機能です。会議中の発言をもとに、議題ごとの要点、決定した内容、担当者と期限が整理されて出力されます。

特に有効だったのが、途中参加した会議の巻き戻しです。それまでの議論の流れをその場で要約してもらえるため、会議を止めて説明を求める必要がなくなりました。

注意点は2つあります。1つは、文字起こしを有効にしていないと機能しないこと。もう1つは、日本語の会議では専門用語や社内固有の略語が正しく認識されない場面があることです。用語集を整えておくと精度が上がります。

定着度も最も高く、検証期間の終盤には「会議を録画し忘れると困る」という声が出るまでになりました。

Outlook|メールの下書きとスレッドの要約

2番目に評価が高かった機能です。伝えたい内容を短く指示するだけで、ビジネス文書として整った文面が出てきます。文体の丁寧さも指定できます。

効果が大きいのは、書くこと自体より「どう書き出すか」で止まっていた時間の削減です。たたき台があれば人は直せますが、白紙から書き始めるのは負荷が高いためです。

長いスレッドの要約も実用的でした。10往復を超えたやり取りの経緯を把握するのに、上から全部読む必要がなくなります。

一方で、出てくる文面は無難で当たり障りのないものになりがちです。交渉ごとや謝罪など、機微が求められるメールは自分で書いたほうが早いというのが共通した意見でした。

Copilot Chat|社内を横断した検索と調べもの

「先月の営業会議で決まった価格改定の方針を教えて」といった質問に、社内のファイルやメール、会議記録を横断して答えてくれる機能です。

うまくはまったときの効果は最も大きい部類でした。どのフォルダにあるか分からない資料を探す時間が、質問1つに置き換わります。回答には根拠になったファイルへのリンクも付きます。

ただし前述のとおり、ここが最も環境の影響を受けます。ファイルが整理されていない状態では、古い版を根拠に答えてしまうことがありました。

回答をそのまま信じず、必ず出典のファイルを開いて確認するという使い方が前提になります。この一手間を惜しむと、誤った情報が社内に広まる危険があります。

Word|文書のたたき台作成と長文の要約

指示から文書の下書きを生成する機能と、既存の長い文書を要約する機能があります。評価が高かったのは後者です。

数十ページの資料の要点を短時間で把握できるのは、確実に時間の節約になりました。契約書や仕様書のような、目を通す必要はあるが読み込む時間がない文書に向きます。

下書きの生成については、社内向けの報告書や連絡文であれば実用に足ります。逆に、独自の主張や分析が必要な文書では、生成された内容を全面的に書き直すことになりました。

既存の社内文書を参照させて書かせると、体裁や言い回しが揃った下書きが出てきます。参照元を指定するかどうかで結果が大きく変わるのはWordでも同じでした。

Excel|データの分析と数式の生成

期待が大きかった分、評価が伸びなかった領域です。整った表形式のデータであれば、傾向の説明、グラフの提案、数式の生成まで問題なく動きます。

有用だったのは数式の生成と説明です。やりたいことを日本語で伝えると数式が返ってきます。既存の複雑な数式が何をしているかを説明させる使い方も、引き継ぎの場面で役立ちました。

問題は、実務のExcelがそもそもCopilotの想定する形になっていないことでした。結合セル、途中の小計行、1シートに複数の表という状態では、分析機能はほとんど使えません。

Copilotを使うためにExcelを作り直すのは本末転倒です。現状では、新規に作る集計表から整った形式にしていくという進め方が現実的だと感じました。

PowerPoint|資料の下書き生成

Wordの文書やテーマの指示から、スライドの構成と本文を生成する機能です。「何もない状態」から「直せる状態」に持っていくという点では価値があります。

ただし出てくる構成は一般的で、業界や自社固有の文脈は反映されません。デザイン面も、社内テンプレートを適用させても崩れることがありました。

評価としては、社内の打ち合わせ資料には使える、社外提案資料には物足りないという線引きになります。骨子作りに使い、内容と体裁は人が仕上げる前提であれば十分に役立ちます。

検証期間の後半では、使用頻度が明確に落ちた機能でもありました。期待値と実際のギャップが最も大きかった部分です。

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効果が出た業務と出なかった業務の違い

アプリ別に見てきましたが、効果の有無を分けているのはアプリではなく業務の性質でした。ここを理解しておくと、自社での使いどころが予測しやすくなります。

効果が出やすい3つの条件

検証を通じて、効果が出た業務には共通する条件がありました。

  • 元になる情報がすでに存在する:会議の発言、メールのやり取り、既存の文書など、要約や抽出の対象があること
  • 完成度の要求がそれほど高くない:社内向けで、多少の表現の粗さが許容される用途であること
  • 頻度が高い:週に何度も発生する作業で、1回あたりの短縮が積み上がること

この3つが揃う代表例が、会議の議事録とメールの下書きです。逆に言えば、この条件から外れる業務では効果が出にくいと考えて差し支えありません。

効果が出にくかったケース

反対に、期待外れに終わった業務にも傾向があります。社外に出す成果物、独自の判断を含む作業、そして元データが整っていない処理の3つです。

社外向けの資料や提案書は、品質基準が高いため結局ほぼ書き直しになります。この場合、生成された下書きを直すより、最初から書いたほうが早いという判断になりがちです。

判断を含む業務も同様です。「どの案を選ぶべきか」といった問いには一般論しか返ってきません。判断材料の整理までは任せられても、判断そのものは任せられないという線引きが必要でした。

「時短」より「着手のハードルが下がる」効果が大きい

検証で意外だったのが、利用者が価値を感じたのは削減時間そのものではなかった点です。多く聞かれたのは「取りかかるのが楽になった」という声でした。

白紙の状態から書き始めるのは心理的な負荷が高く、後回しにされがちです。たたき台があるだけで、その先送りがなくなります。

この効果は削減時間として数値化しにくいものの、滞留していた業務が動き出すという意味では影響が大きいと感じました。導入効果を測る際は、時間だけでなく着手の速さも見る価値があります。

使ってみて分かった導入前の準備

ライセンスを買えばすぐ使えるという製品ではありませんでした。準備の有無が効果を大きく左右するため、検証で必要だと分かった3点を挙げます。

アクセス権限の見直しが最優先

Copilotは、その人がアクセスできる範囲の情報を参照します。裏を返せば、権限設定が実態より広い状態だと、本来見えるべきでない情報まで回答に含まれます。

SharePointのサイトが全社に公開されたまま、退職者のフォルダが放置されている、といった状態は珍しくありません。導入前にこれを棚卸ししないと、人事情報や給与情報が意図せず表示される事態が起こります。

実際に検証でも、閲覧できるとは思っていなかった過去資料が回答に出てくる場面がありました。これは製品の不具合ではなく、権限設定が実態を反映していなかったことが原因です。

ファイルの置き場所と命名を整える

個人のOneDriveに保存されたファイルは、本人以外のCopilotからは参照されません。チームで使う資料はSharePointやTeamsのファイル領域に置くという運用に変える必要があります。

あわせて、古い版の扱いも決めます。同じ資料の第1版から第5版までが同居していると、Copilotがどれを根拠にしたか分からなくなります。最新版だけを残すか、旧版は別フォルダへ移すという整理が有効でした。

この作業は手間がかかりますが、Copilotの有無に関わらず価値がある整理でもあります。導入をきっかけに着手する、という位置づけで進めると納得を得やすくなります。

会議の録画と文字起こしを有効にする

Teamsの会議要約は、文字起こしが有効になっていないと機能しません。設定が既定で無効になっている組織も多いため、管理者側での確認が必要です。

同時に、録画と文字起こしに関する社内ルールも決めておきます。参加者への告知、保存期間、外部の方が参加する会議での扱いといった点は、事前に整理しておかないと後からトラブルになります。

運用ルールづくりを含めた社内展開の進め方については業務効率化アイデア55選|部門別30+AI15+明日から3つで成果を出す方法も参考になります。

精度を上げる使い方のコツ

同じ機能でも、指示の出し方で結果がかなり変わりました。検証を通じて効果が確認できた4つの工夫を挙げます。

参照先のファイルを明示する

最も効果が大きかったのがこれです。「先月の資料を参考に」ではなく、具体的なファイル名を指定して参照させると、出力の的中率が明確に上がります。

Copilotに任せて探させると、名前が似た別の資料を拾うことがあります。手元でファイルが分かっているなら、こちらから指定したほうが確実で速いという結論になりました。

複数のファイルを組み合わせたい場合も、それぞれを明示します。曖昧な指示ほど一般論が返ってくるという傾向は、他の生成AIと同じです。

出力の形式を先に指定する

「箇条書きで5つ」「300字程度で」「表形式で、列は項目名と内容と担当者」といった形式の指定を最初に入れると、手直しの量が目に見えて減ります。

形式を指定しない場合、Copilotは無難な散文で返してきます。そこから箇条書きに直す作業が発生するため、最初に伝えたほうが結果的に早く終わります。

誰に向けた文書かも添えると精度が上がります。「取引先の役員向け」「社内の若手向け」といった一言で、語彙と丁寧さが調整されました。

一度で終わらせず対話で詰める

1回の指示で完成品を求めると、たいてい期待から外れます。大枠を出させてから、部分ごとに修正を指示する進め方のほうが速く着地しました。

「3つ目の項目をもっと具体的に」「全体をもう少し短く」といった追加指示に、Copilotは素直に応じます。最初から完璧な指示文を考え込むより、対話で寄せていくほうが実用的です。

この使い方に慣れるまでには、少し時間がかかりました。1回で正解を出す道具ではないという認識の共有が、社内展開では重要になります。

そのまま使わない前提で使う

最後は使い方というより姿勢の問題です。Copilotの出力を検証せずに使うと、いずれ必ず事故が起きます。要約の取り違え、事実の混同、古い情報の参照はいずれも実際に発生しました。

特に社外に出す文書と、数値を含む回答は必ず確認します。Copilotは根拠となったファイルを示してくれるため、そこを開いて突き合わせる習慣をつけます。

この確認の手間を含めても、ゼロから作るより速い。そこが成立する業務でだけ使うというのが、検証を経た現実的な結論です。

料金と費用対効果の考え方

評価に価格は避けて通れません。1人あたり月数千円が、人数分だけ毎月かかり続けるという前提で判断する必要があります。

現在の料金体系

Microsoft 365 Copilot プランと価格(Microsoft公式)によると、中小企業向けのMicrosoft 365 Copilot Businessは、既存のMicrosoft 365プランへのアドオンとして提供されています。

年払いの場合で1ユーザーあたり月3,148円相当、月払いの場合は月3,778円です(いずれも税別)。2026年7月1日から12月31日までは、年払いの初年度に限り月2,698円相当の割引価格が適用されます。

このアドオンは単体では購入できません。Business BasicやStandard、Premiumといった対象プランの契約が別途必要で、Business向けは最大300ユーザーまでという条件があります。

アプリとセットになったプランもあり、Business Standardとの組み合わせで月3,523円相当、Business Premiumとの組み合わせで月4,797円相当です。価格は変動するため、検討時は公式ページで確認してください。

無料で試せる範囲を先に使う

いきなり全社導入する必要はありません。まずCopilot Chatを触るところから始められます。対象のMicrosoft 365プランを契約していれば追加費用なしで使え、Web情報を根拠にした回答やファイルの処理が試せます。

有料版についても1か月の無料試用が用意されています。ただし試用期間の終了後は自動的に有料に切り替わり、申し込みにはクレジットカードが必要です。使わないと判断した場合は期間内の解約が必要な点に注意します。

試用する際は、少人数でよいので実際の業務で使うことをおすすめします。デモを見るだけでは、自社のデータ環境で通用するかどうかが判断できません。

何時間の削減で費用に見合うか

判断を単純化するなら、人件費の時間単価と削減時間を突き合わせる方法があります。時間単価が3,000円の社員であれば、月に1時間強を削減できれば費用は回収できる計算になります。

週に2回の会議で議事録作成が15分ずつ短縮されれば、それだけで月2時間です。この観点では、会議が多い職種ほど回収は容易という結論になります。

逆に、会議もメールも少ない職種では回収が難しくなります。全社員に一律配布するのではなく、効果が出る職種から段階的に広げるほうが投資対効果は高くなります。

どんな企業に向くか|他のAIツールとの使い分け

最後に、導入判断の材料を整理します。Microsoft 365 Copilotが最適解になる企業と、そうでない企業がはっきり分かれます。

向いている企業の条件

次の条件に多く当てはまるほど、投資に見合う可能性が高くなります。

  • すでにMicrosoft 365を全社で使っている:TeamsやOutlookが日常業務の中心にある
  • 会議が多い:定例会議や打ち合わせの議事録作成が負担になっている
  • 社内文書がSharePointに集約されている:ファイルの置き場所と権限が整理済み
  • 情報の取り扱いに慎重さが求められる:社外の生成AIサービスに業務データを入れたくない

最後の条件は見落とされがちですが重要です。業務データを社外に出さずに生成AIを使えるという点は、セキュリティ部門の承認を得るうえで大きな意味を持ちます。

まだ待ってもよい企業

反対に、次の状態であれば急ぐ必要はないと感じました。ファイルが個人のPCやOneDriveに散在している、Teamsをほとんど使っていないという組織です。

この状態でライセンスだけ買っても、Copilotが参照できる情報がないため効果は限定的です。先にファイル管理の集約を進めたほうが、結果的に近道になります。

また、そもそも生成AIを業務で使った経験が社内にない場合は、使い方の教育を並行しないと定着しません。ツール導入と合わせた社内教育の設計は法人向けAI研修で扱っています。

汎用の生成AIとの使い分け

ChatGPTやClaudeといった汎用の生成AIと比べたとき、Microsoft 365 Copilotの強みは社内データを参照できることに集約されます。逆に、文章生成そのものの自由度や出力の深さでは、汎用サービスに分があると感じる場面もありました。

現実的な使い分けは、社内の情報を踏まえた作業はCopilot、アイデア出しや長文の作り込みは汎用サービス、という併用です。実際に検証中も、両方を状況に応じて使い分ける形に落ち着きました。

ツール全体の選定軸についてはAIツール比較|法人利用で見るべき7つの軸と主要ツールの違い、料金の目安で整理しています。1つに絞る前提を外すと、選択肢は広がります。

まとめ

Microsoft 365 Copilotを実際に使ってみた結論は、会議とメールという情報が流れていく業務では明確に効果があり、成果物を作り込む業務では補助にとどまるというものでした。

最も定着したのはTeamsの会議要約とOutlookのメール下書きです。一方、ExcelとPowerPointは期待値とのギャップが大きく、使用頻度も落ちていきました。

評価を分けるのは製品の性能だけではありません。アクセス権限が実態に合っているか、ファイルが共有領域に集約されているかという環境側の整備状況が、出力の質に直結します。

費用は1人あたり月数千円が継続的にかかります。全社に一律配布するのではなく、会議が多い職種など効果が出やすい部門から始め、実績を見て広げる進め方が現実的です。

検討している段階であれば、まず追加費用のかからないCopilot Chatを触り、次に少人数で有料版の無料試用を実際の業務に当ててみてください。デモではなく自社のデータで試すことが、判断を誤らない一番の方法です。

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この記事の監修者

石丸真平

石丸真平

株式会社ネクストスケール 代表取締役

株式会社ネクストスケールの代表。「AI時代に勝てる企業組織を共に創る」を掲げ、法人向けの生成AI研修とAX(AIによる企業変革)の伴走支援を手がける。経営課題の整理からAI活用領域の設計、ツール選定、業務への組み込み、社内定着、ROI測定までを一気通貫で支援。単なる効率化ではなく、経営戦略としてAIを活かす視点での支援を得意とする。Xでは「本当に仕事で使えるAI」をテーマに、実務で使えるノウハウを発信している。
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