スイムレーン図とは 書き方・フローチャートとの違い・活用場面・作成のコツをわかりやすく解説
2026年9月16日
著者:NEXT SCALE編集部
監修者:石丸真平

「業務フロー図を作成したが、『結局この作業は誰がやるのか』が伝わらなかった」「部門をまたぐ業務の流れを図にしたいが、担当の境目がわかりにくい」「引き継ぎや部署間の受け渡しの場所を明確にしたい」。業務フロー図を作成する際、作業の手順を描くことはできても、「誰が」その作業を行うのかを図の構造として明確に表現するのは想像以上に難しいものです。
この「誰が」を図の構造そのもので表現できるのが、スイムレーン図です。スイムレーン図は、業務フロー図の中に担当者や部門ごとの帯状の区分(レーン)を設け、各作業をその担当者のレーン内に配置することで、作業の流れと各作業の実行責任者を一つの図の中で同時に可視化することが可能な表現手法です。本記事では、スイムレーン図の基本、一般的なフローチャートとの違い、書き方の手順、業務改善やシステム導入での活用場面、そして初心者でもすぐに実践できる見やすい図を作るためのコツまで体系的に解説していきます(参照:JIS X 0121「情報処理用流れ図」)。
| 確認したいポイント | 結論 |
| スイムレーン図とは? | 担当者や部門ごとに帯状のレーンを設け、各作業をレーン内に配置して責任の所在を明確にした業務フロー図 |
| フローチャートとの違いは? | フローチャートは手順の流れを描く図。スイムレーン図はそこに「誰が」の軸を加えた図 |
| どんな場面で使うか? | 複数の担当者や部門が関わる業務の可視化、引き継ぎの明確化、業務改善、システム導入の要件整理 |
| 作成ツールは何を使えばいいか? | 無料の作図ツールや表計算ソフト、プレゼンテーションソフトでも作成可能 |
この記事でわかること
・スイムレーン図の基本的な意味と構造
・一般的なフローチャートや業務フロー図との違い
・スイムレーン図の書き方を5つのステップで解説
・業務改善やシステム導入でのスイムレーン図の活用場面
・見やすく実用的な図を作成するための5つのコツ
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スイムレーン図の基本 ─ 「誰が」を構造で示す業務フロー図
スイムレーン図の名前は、水泳のプールに設けられたコースの仕切り(レーン)に由来しています。プールのレーンが泳ぐ人ごとの区画を明確にするように、スイムレーン図では担当者や部門ごとに水泳のコースレーンを模した帯状の区画(レーン)を設け、各作業をその担当のレーン内に配置します。
これにより、図を見るだけで「この作業は営業部門が行う」「この判断は上長が担う」「このデータ入力は経理が担当する」という責任の所在が正確かつ直感的に把握でき、さらにレーンをまたぐ矢印を追えば、部門間の受け渡し(引き継ぎ)のポイントがどこにあるのかも明確に可視化されます。
スイムレーン図が特に威力を発揮するのは、複数の部門や担当者が関わる業務の可視化です。一人で完結する作業であればレーンは不要ですが、「申請者→課長→部長→経理」のように複数の人が順番に関わる業務では、スイムレーン図なしでは各担当者の責任範囲がどこからどこまでなのか、業務がどのタイミングで次の人に引き渡されるのかが曖昧になりがちです。
スイムレーン図とフローチャートの違い
スイムレーン図はフローチャートの一種ですが、一般的なフローチャートとは強調するポイントが異なります。
フローチャート ─ 「何をどの順番で行うか」を示す
一般的なフローチャートは、作業の手順と順序を記号と矢印で示すことに重点を置いた図です。「開始→入力→判断→処理→出力→終了」という流れを描くのに適していますが、「誰がその作業を行うのか」は図の構造としては明示されません。担当者の情報を図の中に補足的に加えたい場合は、作業の記号の中に担当者名を書き込む必要がありますが、複数の担当者が関わる業務では記号の中が文字で埋まってしまい、図全体が読みにくく煩雑になりがちです。
スイムレーン図 ─ 「誰が何をどの順番で行うか」を示す
スイムレーン図は、フローチャートの持つ「作業の手順と順序」の表現に加えて、「その作業を誰が担当するのか」という責任の所在を図の構造そのもので表現します。レーンという視覚的な区画があることで、作業の担当が一目でわかり、レーンをまたぐ矢印が「ここで担当が切り替わる」「ここで情報が別の人に渡される」というポイントを、図の構造の力で明確に浮き彫りにしてくれるのです。
つまり、スイムレーン図は「フローチャートに『誰が』という軸を追加した上位互換の図法」として捉えることができます。複数の担当者や部門が関わる業務を図にする場合は、一般的なフローチャートよりもスイムレーン図を選ぶほうが、情報の網羅性と直感的な読みやすさの両面において格段に優れています。
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スイムレーン図の書き方 ─ 5つのステップ
ステップ1:対象とする業務の範囲を決める
まず、どの業務を、どこからどこまでの範囲で描くのかを明確に定めます。「経費精算の申請から承認完了まで」「受注から出荷完了まで」「問い合わせの受付から回答完了まで」など、業務の開始点と終了点を最初に明確に確定させることで、図の範囲が定まるため作図中に迷子にならず、必要な情報だけを過不足なく盛り込みながら効率的に描き進めることが可能になります。
ステップ2:関わる担当者・部門を洗い出してレーンを配置する
対象の業務に関わる担当者や部門を洗い出し、図の中にレーン(帯状の区画)として配置していきます。レーンは横方向に並べる形式と縦方向に並べる形式のどちらでも構いませんが、横方向(上から下に担当者を並べ、左から右に時間が進む形式)が、多くの実務現場で採用されている標準的かつ直感的に読みやすいレイアウト形式です。
レーンの並び順は、業務の流れに沿って「最初に作業を開始する担当者」を一番上に、「最後に関わる担当者」を一番下に配置するのが基本です。この並び順を意識すると、矢印の交差が減ってなるべく一方向に流れるようになり、図全体の見通しと読みやすさが格段に向上します。
ステップ3:各レーン内に作業を配置して矢印でつなぐ
各作業を、その作業を担当する人のレーン内に四角形の記号として配置し、作業の順序に沿って矢印でつないでいきます。条件によって処理が分かれる場面では、ひし形の判断記号を使い、条件に応じた処理の分岐を図面上の構造的な要素として明確に表現することができます。
ステップ4:レーンをまたぐ矢印で受け渡しを明示する
ある担当者の作業が完了し、次の担当者に業務が引き渡される場面では、レーンをまたぐ矢印を引くことで、どこで業務のバトンが次の担当者に手渡されるのかが明確に可視化されます。このレーン間の矢印こそがスイムレーン図の最大の価値であり、「業務の流れが止まりやすい潜在的なボトルネック」「担当者間での情報の伝達漏れや認識のずれが起きやすいポイント」を図から読み取るための最も重要な手がかりとして機能します。
ステップ5:関係者にレビューしてもらい修正する
完成した図を、実際にその業務を日々行っている現場の担当者に見せて「この流れで正しいか」「抜けている作業はないか」を一つひとつ確認してもらう作業を行います。作図者が頭の中で想像していた業務の流れと、現場で実際に行われている手順や判断基準が大きく異なるケースは驚くほど多いため、このレビュー工程を省略すると、せっかく作成した図の正確性と実用性が大きく損なわれ、業務改善のための資料としての価値が低下してしまいます。
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スイムレーン図の活用場面
業務改善 ─ 受け渡しの多さと無駄な工程を発見する
スイムレーン図を描くと、レーンをまたぐ矢印の数がそのまま「業務が他の担当者に引き渡される回数」を意味します。受け渡しの回数が多い業務ほど、待ち時間や伝達ミスが発生しやすく、業務プロセス全体の処理速度が低下し、顧客への対応が遅れる原因にもなりかねません。「この受け渡しは本当に必要か」「この承認ステップは省略できないか」といった業務プロセスの非効率な部分を改善するための具体的な着眼点が、完成した図をチーム全員で眺めるだけで自然と浮かび上がってきます。
システム導入 ─ 自動化すべきポイントを特定する
新しいシステムの導入を検討する際に、現在の業務フローをスイムレーン図で可視化し、「手作業で行われている工程」「同じデータを複数の担当者が重複して入力している工程」を特定することで、システム導入によって自動化すべきポイントが明確に可視化されます。ベンダーへの要件説明の際にもスイムレーン図を提示すれば、業務の全体像と改善を求めている箇所が正確かつ効率的に伝わり、提案の的確さが向上します。
新人教育・業務引き継ぎ ─ 業務の全体像を短時間で共有する
新しいメンバーが業務を覚える際や、担当者の異動による引き継ぎの際に、スイムレーン図があれば「この業務全体の流れの中で、自分はどの部分を担当するのか」「前工程の誰から何を受け取り、後工程の誰に何を渡すのか」が、図面をひと目見ただけで正確かつ直感的に把握できます。口頭での説明だけでは伝わりにくい業務の全体像を、図一枚で短時間に正確に共有できるスイムレーン図の効果は、新人教育や引き継ぎの現場において非常に大きいといえます。
見やすいスイムレーン図を作成するための5つのコツ
コツ1:レーンは「部署名」ではなく「役割名」で分ける
「営業部」「経理部」ではなく、「申請者」「承認者」「処理担当者」のように役割で分けると、組織変更があっても図そのものを最初から書き直す必要がなくなり、長期間にわたって実務で利用し続けることが可能になります。また、役割で分けるほうが「誰が何をすべきか」がより明確に伝わります。
コツ2:レーンの数は8つ以内に収める
レーンが多すぎると図が横に広がりすぎて一覧性が低下します。一つの図に収めるレーンの数は8つ以内が目安です。それ以上の担当者が関わる業務の場合は、業務を複数の工程に分割して別の図として描くほうが、一枚ごとの見通しの良さと読みやすさを高い水準で保つことができます。
コツ3:作業の記述は動詞で始める
作業の四角形の中に書く文は、「見積書を作成する」「上長に承認を依頼する」「データを入力する」のように動詞で始まる短い文にしましょう。名詞だけの記述(「見積書」「承認」)では、それが作成なのか確認なのか送付なのかが判別できず、読み手に余計な解釈の負担をかけてしまい、図が本来持つべき伝達力と理解しやすさを損なう結果につながってしまいます。
コツ4:矢印の交差をできるだけ減らす
矢印が頻繁に交差すると、図の読みやすさが大幅に低下します。レーンの並び順を工夫し、業務の流れに沿った順番で担当者を上から下に配置することで、矢印の交差を最小限に抑え、読み手にとって負担の少ない図に仕上げることができます。
コツ5:顧客や外部の取引先もレーンに含める
社内の担当者だけでなく、「顧客」「取引先」「外部の業者」といった外部の関係者もレーンとして図に含めることで、業務が社外のどの関係者と接点を持つのかが明確に可視化されます。外部との連携部分は待ち時間や情報のやり取りの遅延が発生しやすいポイントであるため、図に含めて可視化しておくことで業務改善の対象として意識的に認識しやすくなるという効果があります。
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まとめ
スイムレーン図は、業務フロー図に「誰がその作業を担当するのか」という責任の所在の軸を加えた図法です。担当者や部門ごとに帯状のレーンを設け、各作業をその担当のレーン内に配置することで、作業の流れと責任の範囲、そして部門間の受け渡しのポイントが、図面をひと目見ただけで正確かつ直感的に把握できるようになります。
スイムレーン図は、業務改善における無駄な工程の発見、システム導入時の自動化ポイントの特定、新人教育や業務引き継ぎでの全体像の共有といった場面で、非常に大きな実務上の効果を発揮します。見やすい図を作成するためには、レーンを役割で分ける、数を8つ以内に収める、作業を動詞で記述する、矢印の交差を減らす、外部関係者もレーンに含めるという5つの実践的なコツを常に意識して作図に取り組みましょう。「業務フローの可視化に取り組みたい」「業務改善の進め方を相談したい」という方は、ネクストスケールにお気軽にご相談ください。業務の棚卸しと現状の可視化から、課題の発見と改善提案の策定、ツール選定、社員向けの実践研修に至るまで一気通貫で丁寧にサポートしています。
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この記事の監修者
株式会社ネクストスケール 代表取締役




