保守費用の相場はいくら?算出方法・内訳・コスト削減のポイントを解説

保守費用の相場はいくら?算出方法・内訳・コスト削減のポイントを解説

「毎月支払っている保守費用は適正なのだろうか」「開発会社に言われるがままの金額で契約しているが、相場と比べてどうなのか知りたい」。システムの保守費用について、こうした疑問を持つ情報システム担当者や経営者は少なくありません。

システム保守費用の一般的な相場は、初期開発費の15〜20%(年間)とされています。たとえば1,000万円で開発したシステムであれば、年間150万〜200万円が保守費用の目安です。ただし、この相場はシステムの規模や複雑さ、SLA(サービスレベル合意)の水準、対応範囲によって大きく変動します。

この記事では、保守費用の算出方法と相場感、費用の内訳、保守費用が高くなる原因、適正価格かどうかを判断するためのチェックポイント、そしてコスト削減の具体的な方法まで、発注者が知っておくべき情報を網羅的にまとめています。

確認したいポイント結論詳細
保守費用の相場は?開発費の15〜20%(年間)1,000万円のシステムなら年間150万〜200万円が目安です。20%を超える場合は見直しの余地があります
保守費用の内訳は?4つの費用で構成されるソフトウェア保守・ハードウェア/インフラ保守・サポート対応・セキュリティ対策の4項目が基本です
費用が高い場合はどうするか?3つの対処法がある保守範囲の再定義、クラウド移行によるインフラコスト削減、ベンダー変更の検討が主な対処法です
契約時に注意すべき点は?SLAと対応範囲を明確に対応時間帯・障害復旧目標・追加費用の発生条件をSLAとして契約書に明記しておくことが重要です

この記事でわかること

・システム保守費用の相場と算出方法

・保守費用の4つの内訳とそれぞれの費用目安

・保守費用が高くなる3つの原因

・自社の保守費用が適正かを判断する5つのチェックポイント

・コスト削減の具体的な方法と契約時の注意点

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目次

保守費用の相場と算出方法

まずは保守費用の業界標準的な相場と、費用の算出方法を把握しましょう。

保守費用の一般的な相場

システム保守費用の最も一般的な目安は、初期開発費の15〜20%(年間)とされています。

開発費年間保守費用(15%)年間保守費用(20%)月額換算(20%の場合)
300万円45万円60万円約5万円/月
500万円75万円100万円約8.3万円/月
1,000万円150万円200万円約16.7万円/月
3,000万円450万円600万円約50万円/月
5,000万円750万円1,000万円約83万円/月

この「15〜20%」はあくまで目安であり、システムの規模・複雑さ・SLAの水準・対応範囲によって変動します。20%を超えている場合は、契約内容の見直しや相見積もりの取得を検討すべきサインです。

保守費用の算出に影響する5つの要因

保守費用が「15〜20%」の範囲内でどのあたりに落ち着くかは、以下の5つの要因で決まります。

1. システムの複雑さ:マイクロサービス構成や外部API連携が多いシステムは保守の難易度が上がり、費用も高くなる傾向があります。

2. 稼働年数:古いシステムほど技術的負債が蓄積し、対応できる技術者も少なくなるため、保守コストが上昇します。

3. SLA要件:24時間365日対応や、障害発生から1時間以内の復旧を求める場合は、通常の営業時間内対応と比べて費用が大幅に増加します。

4. 改修頻度:年に数回の機能改修や追加開発が含まれる保守契約は、障害対応のみの契約より費用が高くなります。

5. 対応範囲:アプリケーション保守だけでなく、インフラ監視、セキュリティ対策、ヘルプデスク対応まで含む場合は費用が加算されます。

保守費用の内訳|4つの構成要素

保守費用が何に使われているのかを理解しておくことで、費用の妥当性を判断しやすくなります。ここでは、保守費用を構成する4つの要素を解説します。

ソフトウェア保守

アプリケーションの障害対応、バグ修正、機能改修、バージョンアップ対応が含まれます。保守費用全体のうち最も大きな割合を占めるのがこの項目です。

障害発生時の原因調査と修正、OSやミドルウェアのバージョンアップに伴うアプリケーション側の対応、軽微な機能改善(UIの調整、帳票レイアウトの変更など)が主な作業内容です。大規模な機能追加は保守の範囲外として別途見積もりになるのが一般的です。

ハードウェア・インフラ保守

サーバー、ネットワーク機器、クラウド基盤の維持管理にかかる費用です。オンプレミス環境であればサーバー機器の保守契約費用、クラウド環境であればAWSやAzureなどの月額利用料が該当します。

近年はクラウド移行が進んでおり、ハードウェア保守費用をクラウド利用料に置き換えることで、初期費用の削減と柔軟なスケーリングを実現する企業が増えています。

サポート・ヘルプデスク対応

ユーザーからの問い合わせ対応、操作方法のサポート、トラブル発生時の一次対応にかかる費用です。対応時間帯(営業時間内のみか、24時間対応か)によって費用が大きく変わります。

専任のサポート担当者を配置する場合は月額20万〜50万円程度、問い合わせ件数に応じた従量課金の場合は1件あたり数千円〜1万円程度が目安です。

セキュリティ対策・監視

セキュリティパッチの適用、不正アクセスの監視、脆弱性診断にかかる費用です。近年はサイバー攻撃のリスクが高まっており、セキュリティ関連の保守費用は増加傾向にあります。

定期的な脆弱性診断(年1〜2回)に加え、WAF(Webアプリケーションファイアウォール)やIDS/IPS(不正侵入検知・防御システム)の運用費用も含まれる場合があります。

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保守費用が高くなる3つの原因

「保守費用が相場よりも高い」と感じた場合、その背景にはいくつかの共通した原因があります。ここでは代表的な3つの原因を解説します。

原因1:長年の契約で市場価格と乖離している

開発当初から同じベンダーに保守を委託し続けている場合、契約当時の料金体系がそのまま継続され、現在の市場相場よりも割高になっているケースがあります。IT業界の技術は年々進歩しており、自動化ツールやクラウドサービスの普及により、保守にかかる実コストは下がる傾向にあります。

対策としては、数年に一度は他社の見積もりを取得し、現在の契約金額が市場相場と大きく乖離していないかを確認しましょう。

原因2:システムの老朽化で保守難易度が上がっている

開発から年数が経過したシステムは、使用している技術(プログラミング言語・フレームワーク・OS)が古くなり、対応できるエンジニアが減少するため、人件費の単価が上がります。

たとえば、COBOLやVB6で開発されたシステムは、対応可能なエンジニアの市場価値が高騰しており、保守費用が開発費の25%を超えるケースも珍しくありません。こうした場合は、システムのリプレース(再構築)やクラウド移行も含めた中長期的な検討が必要です。

原因3:保守範囲が曖昧で追加費用が発生している

保守契約で「どこまでが保守対応に含まれるか」が明確に定義されていないと、ちょっとした改修や問い合わせ対応のたびに追加費用が請求される事態が発生します。

対策としては、契約書で「保守」「運用」「追加開発」の範囲を明確に区分し、それぞれの対応に含まれる作業内容を具体的に定義しておくことが重要です。

保守費用が適正かを判断する5つのチェックポイント

自社の保守費用が高すぎるのか、それとも妥当なのかを判断するためのチェックポイントを5つ紹介します。

チェック1:開発費に対する比率が20%を超えていないか

最もシンプルな判断基準は、年間保守費用が開発費の20%を超えていないかです。超えている場合は、契約内容の見直しや相見積もりの取得を検討するサインです。

チェック2:SLAが契約書に定義されているか

障害発生時の対応時間や復旧目標(RTO/RPO)がSLAとして契約書に明記されているかを確認しましょう。SLAがない場合、対応品質が保証されない状態で費用だけ支払っていることになります。

チェック3:保守担当者が属人化していないか

保守を担当するエンジニアが1〜2名に集中している場合、属人化のリスクがあります。担当者の退職や異動により、保守業務が停止するリスクを価格に織り込んでいるか確認しましょう。

チェック4:改修対応の範囲と費用が明確か

保守契約に含まれる改修の範囲(軽微な修正のみか、機能追加も含むか)と、追加費用が発生する条件が明確に定義されているかを確認します。

チェック5:過去1年間の実績と契約内容が合っているか

過去1年間の障害対応件数、問い合わせ件数、改修工数の消化率を保守会社から取り寄せ、契約内容と実績が乖離していないかを確認します。消化率が50%を下回る項目がある場合は、その分の費用削減を交渉する余地があります。

システム開発の外注全般については、システム開発の外注とはの記事で費用相場や外注先の選び方を解説しています。

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保守費用を削減する5つの方法

保守費用の見直しは、単純な値下げ交渉だけでは限界があります。ここでは、品質を維持しながらコストを削減するための具体的な方法を紹介します。

方法1:保守範囲を再定義し、不要なサービスを外す

現在の保守契約に含まれているサービスをすべて棚卸しし、実際には使っていないサービスや頻度の低い対応を契約から外すことで、費用を削減できます。たとえば、年に1回しか使わない帳票改修の対応を保守から外し、都度見積もりに切り替えるといった方法です。

方法2:クラウド移行でインフラ保守費用を削減する

オンプレミスのサーバーをクラウド(AWS・Azure・Google Cloud)に移行することで、ハードウェア保守費用を大幅に削減できます。サーバーの物理的なメンテナンスが不要になり、スケーリングも柔軟に行えるため、過剰スペックによるコストの無駄もなくなります。

方法3:相見積もりを取得してベンダー変更を検討する

現在の保守費用が相場より高いと感じたら、複数のベンダーから同一条件で見積もりを取得しましょう。条件を揃えるために、対応範囲・対応時間帯・SLAの主要項目を統一した依頼書を作成することが重要です。

ベンダー変更には引き継ぎコストや初期の品質低下リスクもあるため、金額だけでなく、技術力・対応姿勢・実績も含めて総合的に判断しましょう。

方法4:一部の保守業務を内製化する

問い合わせ対応や軽微なバグ修正など、社内で対応可能な業務を内製化することで、外注費用を削減できます。ただし、すべてを内製化しようとすると属人化のリスクが高まるため、「外注すべき業務」と「内製で対応できる業務」を明確に切り分けることが大切です。

方法5:保守契約の期間と支払い方法を見直す

保守契約を年間契約から複数年契約に切り替えることで、ボリュームディスカウントが適用される場合があります。また、月額固定型から従量課金型に変更することで、保守対応が少ない月のコストを抑えることも可能です。

業務効率化やコスト削減の手法を幅広く検討したい方は、業務効率化アイデア55選の記事も参考にしてください。また、AI活用によるシステム運用の効率化については、ネクストスケールのAIコンサル・AX伴走支援のサービスもご活用ください。

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まとめ

システム保守費用の一般的な相場は、初期開発費の15〜20%(年間)です。この範囲を超えている場合は、契約内容の見直しや相見積もりの取得を検討しましょう。

保守費用は、ソフトウェア保守・ハードウェア/インフラ保守・サポート対応・セキュリティ対策の4つの要素で構成されています。費用が高くなる原因としては、長年の契約による市場乖離、システムの老朽化による保守難易度の上昇、保守範囲の曖昧さによる追加費用の発生が挙げられます。

自社の保守費用が適正かどうかは、開発費比率・SLAの定義有無・属人化リスク・改修対応の明確さ・実績との乖離の5つのチェックポイントで判断できます。コスト削減の方法としては、保守範囲の再定義、クラウド移行、相見積もりの取得、一部業務の内製化、契約期間の見直しが有効です。

保守費用は「必要経費」である一方、適切な見直しと交渉によって最適化できるコストでもあります。本記事の内容を参考に、自社の保守費用の妥当性を確認し、コストと品質のバランスが取れた保守体制を構築してください。

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この記事の監修者

石丸真平

石丸真平

株式会社ネクストスケール 代表取締役

株式会社ネクストスケールの代表。「AI時代に勝てる企業組織を共に創る」を掲げ、法人向けの生成AI研修とAX(AIによる企業変革)の伴走支援を手がける。経営課題の整理からAI活用領域の設計、ツール選定、業務への組み込み、社内定着、ROI測定までを一気通貫で支援。単なる効率化ではなく、経営戦略としてAIを活かす視点での支援を得意とする。Xでは「本当に仕事で使えるAI」をテーマに、実務で使えるノウハウを発信している。
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