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情シス代行とは 依頼できる業務・費用相場・メリットと選び方、ひとり情シスの負担を減らす進め方を解説

情シス代行とは 依頼できる業務・費用相場・メリットと選び方、ひとり情シスの負担を減らす進め方を解説

「情シス担当が1人しかおらず、問い合わせ対応とトラブル対応で手いっぱい」「担当者が退職して、社内のIT環境を把握している人がいなくなった」「セキュリティやAI活用まで求められるが、社内に知見がない」という悩みは、中小・中堅企業に共通するものです。こうした課題を解決する手段として、情報システム部門の業務を外部に委託する情シス代行が広がっています。

この記事では、情シス代行の定義と類似サービスとの違い、依頼できる業務、メリットとデメリット、費用相場、代行会社の種類と選び方、導入の流れ、そしてAI活用と情シス代行の関係までを、公的機関のガイドラインも参照しながら整理しました。まずは、この記事の要点を表で確認してください。

確認したいポイント結論詳細
情シス代行とは何?情シス業務を外部の専門会社に委託するサービスヘルプデスク、機器・アカウント管理、運用監視、セキュリティ、システム導入・改修、AI活用支援まで依頼できる
情シス代行のメリットは?負担軽減・専門性確保・属人化解消・固定費抑制守りの業務を外部に任せて攻めの業務に集中でき、担当者の退職リスクにも備えられる。ノウハウ蓄積には注意
費用相場はどれくらい?時間制なら月5〜15万円、包括なら月10〜80万円ヘルプデスクのみは月数千円〜、常駐は月40万円〜。採用コストと退職リスクを含めた総額で比較する
代行会社はどう選ぶ?範囲・体制・セキュリティ・文書化・AI対応で比較対応時間と手段、手順書の整備、DX・AI活用支援の可否、契約の柔軟性、担当者の質を確認し小さく始める

この記事でわかること

  • 情シス代行の定義と、アウトソーシング・BPO・IT顧問・常駐との違い
  • ヘルプデスクからセキュリティ、システム改修、DX・AI活用支援まで依頼できる業務の範囲
  • 情シス代行のメリット・デメリットと、料金体系ごとの費用相場
  • 代行会社の4つの種類と、選び方の7つのポイント
  • 導入の流れと、AI活用時代に情シス代行をどう位置づけるか
目次

情シス代行とは

情シス代行とは、情報システム部門(情シス)が担う業務の全部または一部を、外部の専門会社に委託するサービスです。ここでは、情シス代行の定義、似た名称のサービスとの違い、そして中小・中堅企業で情シス代行が求められている背景を整理します。

情シス代行の定義

情シスの業務は、社員からのIT関連の問い合わせ対応、パソコンやアカウントの管理、ネットワークやサーバーの運用、セキュリティ対策、システムの導入や改修、IT戦略の立案まで多岐にわたります。情シス代行は、これらの業務を外部の専門会社が代わりに担い、社内の担当者の負担を減らしたり、専任の担当者がいない企業の情シス機能そのものを担ったりするサービスです。

「情シスアウトソーシング」「情シスBPO」「IT顧問」「社内SE代行」など、さまざまな名称で提供されていますが、いずれも情シスの機能を外部の専門家が担うという点は共通しています。

類似サービスとの違い

  • 情シスアウトソーシング・BPO:情シス代行とほぼ同じ意味。BPOは業務プロセスを丸ごと委託するニュアンスが強く、定常業務の包括的な委託を指すことが多い
  • IT顧問:月額で技術的な相談や助言を受ける形態。作業の代行よりも、判断の支援や方針の相談が中心
  • 常駐型(SES・派遣):外部のエンジニアが自社に常駐して作業する形態。人手は補えるが、業務の仕組み化や引き継ぎ資料の整備は目的に含まれないことが多い
  • システム保守・運用サービス:特定のシステムやサーバーの保守に限定したサービス。社員からの問い合わせやパソコン管理などは含まれない

情シス代行は、これらのうち作業の代行・相談・仕組み化を組み合わせて提供するサービスといえます。自社が求めているのは「人手」なのか「判断」なのか「仕組み」なのかを整理すると、適したサービスが見えてきます。

中小・中堅企業で情シス代行が求められる背景

中小・中堅企業では、専任の情シス担当者がいない、または1人で全社のIT業務を担う「ひとり情シス」の状態が珍しくありません。総務や経理の担当者がIT業務を兼務しているケースも多く、問い合わせ対応やトラブル対応に追われて、セキュリティ対策やIT活用の企画に手が回らないのが実情です。

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公開している「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」では、経営者が認識し実施すべき指針と、社内で対策を実践する際の手順が整理されており、付録として「中小企業のためのセキュリティ人材の確保・育成の実践ガイドブック」も提供されています。セキュリティ対策は経営者のリーダーシップのもとで進めるべきものとされ、専門人材の確保が難しい中小企業に向けた考え方が示されています。

(出典:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」 )

サイバー攻撃の巧妙化、クラウドサービスの増加、テレワークの定着、そして生成AIの業務利用の広がりによって、情シスに求められる知識の範囲は年々広がっています。担当者1人の知識と時間では対応しきれない領域を、外部の専門家で補うことが、情シス代行が選ばれる理由です。

情シス代行に依頼できる業務

情シス代行に依頼できる業務は、日常的な運用業務から、専門知識が必要な領域、IT活用の企画まで幅広くあります。ここでは、代表的な業務を8つに分けて整理します。代行会社によって対応範囲は異なるため、自社が依頼したい業務に対応しているかを確認する際の参考にしてください。

1. ヘルプデスク・社内問い合わせ対応

「パソコンが起動しない」「メールが送れない」「プリンターにつながらない」といった社員からの問い合わせに、電話・メール・チャットで対応します。リモート操作での解決や、必要に応じた訪問対応を含む場合もあります。情シス担当者の時間を最も奪う業務であり、代行の効果が出やすい領域です。

2. パソコン・機器の調達、キッティング、資産管理

入社時のパソコン・スマートフォンの選定と調達、初期設定(キッティング)、退職時の回収と初期化、機器やソフトウェアの台帳管理を行います。資産管理台帳の整備は、セキュリティ対策やライセンス管理の基礎になります。

3. アカウント・SaaSの管理

メール、チャット、グループウェア、クラウドストレージなど、社内で使うSaaSのアカウント発行・権限設定・削除、利用状況の把握、不要なライセンスの整理を行います。SaaSの数が増えるほど管理の負担は大きくなり、退職者のアカウントが残ったままになるといったリスクも生じます。

4. ネットワーク・サーバーの運用と監視

社内ネットワーク、無線LAN、VPN、ファイルサーバー、クラウド基盤の設定・監視・障害対応・バックアップを行います。障害時の切り分けと復旧、定期的なメンテナンスも含まれます。

5. セキュリティ対策と教育

ウイルス対策、端末の管理、アクセス制御、脆弱性への対応、セキュリティ規程の策定、社員向けの教育や標的型メール訓練、インシデント発生時の対応を行います。専門知識が特に必要な領域で、ひとり情シスでは手が回りにくい業務です。

6. システム・ツールの導入とクラウド移行

新しいSaaSやシステムの選定・導入・設定、既存システムのクラウド移行、ベンダーとの調整を行います。導入後の定着支援や、社内への説明会を含む場合もあります。

7. 社内システム・内製ツールの改修

過去に社内で作られたツールや、担当者が退職して誰も触れなくなった社内システムの修正、動作不良の対応、小規模な機能追加を行います。ベンダーに頼みにくい「ちょっとした修正」に対応できる代行会社は、業務の継続性を支える存在になります。

8. IT戦略・DX・AI活用の企画支援

IT投資の計画、システム全体の見直し、DX推進、生成AIの業務活用や社内ルールの整備といった、上流の企画・判断を支援します。運用業務の代行にとどまらず、「攻めの情シス」の機能を外部の専門家が担う領域であり、近年需要が高まっています。

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関連記事:システム開発の外注とは メリット・デメリット、費用相場、外注先の種類と選び方、失敗しない進め方を解説

情シス代行のメリットとデメリット

情シス代行には、担当者の負担軽減や専門性の確保といった多くのメリットがある一方で、依頼の仕方によっては社内にノウハウが残らないなどの課題も生じます。ここでは、代表的なメリットとデメリット、デメリットへの対処法を整理します。

メリット1:担当者の負担を減らし、本来の業務に集中できる

問い合わせ対応やトラブル対応といった定常業務を代行に任せることで、社内の担当者は、業務改善やIT活用の企画といった付加価値の高い業務に時間を使えるようになります。兼務の担当者であれば、本来の業務に戻れます。

「守りの業務」を外部に、「攻めの業務」を社内にという分担が、情シス代行の基本的な効果です。

メリット2:専門知識を必要なときに必要な分だけ使える

セキュリティ、ネットワーク、クラウド、AIなど、専門領域ごとに人材を採用することは中小企業には現実的ではありません。代行会社は複数の専門家を抱えているため、必要な領域の知識を必要なときに利用できます。

IT人材の採用が難しい状況で、採用せずに専門性を確保できることは、大きなメリットです。

メリット3:属人化を防ぎ、担当者の退職リスクに備えられる

ひとり情シスの最大のリスクは、担当者の退職や休職によって社内のIT環境を把握している人がいなくなることです。代行会社が業務を担い、手順書や構成図を整備しておけば、担当者が変わっても業務が継続します。

手順書・台帳・構成図の整備を成果物として提供する代行会社を選ぶと、属人化の解消につながります。

メリット4:固定費を抑え、業務量に応じて調整できる

正社員を採用する場合と比べ、必要な業務量に応じて契約を調整できるため、固定費を抑えられます。繁忙期(入社時期、システム更新時)に合わせて増減できる料金体系もあります。

デメリット1:社内にノウハウが蓄積されにくい

業務を外部に任せ続けると、社内にIT環境を理解する人が育たず、依存が固定化します。将来的に内製化を考えている企業にとっては、注意すべき点です。

対処法は、代行会社に手順書やナレッジの整備を求め、社内の担当者が内容を把握できる状態を保つこと、そして必要に応じて育成型の支援を組み合わせることです。「任せる」と「学ぶ」を並行させる視点が重要です。

外注に頼らず自社でIT・AI活用を進められる体制をつくる方法については、内製化支援とは|サービス内容・メリット・進め方の記事で解説しています。

デメリット2:対応の速さや柔軟性に限界がある

社内の担当者であれば即座に対応できることでも、代行会社では契約上の対応時間や手段(リモートのみ、訪問は別料金など)の制約があります。緊急時の対応や、社内事情を踏まえた判断は、社内の担当者に優位性があります。

対処法は、対応時間・手段・緊急時の連絡経路を契約で明確にし、社内に最低限の窓口担当を置くことです。

デメリット3:情報の取り扱いに注意が必要

代行会社は、社内のシステム構成、アカウント情報、社員の個人情報にアクセスします。情報管理の体制が不十分な会社に依頼すると、情報漏えいのリスクが生じます。

対処法は、秘密保持契約の締結、情報セキュリティに関する認証や体制の確認、アクセス権限の最小化です。

情シス代行の費用相場

情シス代行の費用は、依頼する業務の範囲、対応時間、料金体系によって大きく異なります。ここでは、代表的な料金体系と、範囲別の費用の目安、費用を左右する要因を解説します。なお、金額は一般的な目安であり、代行会社や条件によって変動します。

主な料金体系

  • 月額固定型:毎月一定額で、あらかじめ決めた範囲の業務を委託する。業務量が安定している場合に向く
  • 従量課金型(時間制):月10時間、20時間など、利用した時間に応じて費用が発生する。業務量に波がある場合や、まず小さく始めたい場合に向く
  • 常駐型:代行会社のスタッフが週数日〜フルタイムで自社に常駐する。対応の即時性が高いが費用も高い
  • スポット型:キッティング、システム導入、セキュリティ診断などを案件単位で依頼する

範囲別の費用の目安

  • ヘルプデスクのみ(リモート対応、問い合わせ件数に上限あり):月額数千円〜5万円程度
  • 時間制の部分代行(月10〜20時間程度):月額5万〜15万円程度
  • ヘルプデスク・資産管理・アカウント管理などの定常業務の包括代行:月額10万〜30万円程度
  • 運用監視・セキュリティ・システム導入支援まで含む包括代行:月額30万〜80万円程度
  • 常駐型(週2〜5日):月額40万〜100万円以上
  • スポット:キッティング1台あたり数千円〜1万円程度、セキュリティ診断や導入支援は数十万円〜

中小企業では、時間制の部分代行から始め、効果を確認しながら範囲を広げる進め方が現実的です。自社の業務量と、社内に残す業務を整理したうえで、料金体系を選ぶことが費用を適正化するポイントです。

費用を左右する要因

  • 対象の規模:社員数、拠点数、端末数、利用しているSaaSの数
  • 対応時間と手段:平日日中のみか、夜間・土日を含むか。リモートのみか訪問を含むか
  • 業務の範囲:ヘルプデスクのみか、運用・セキュリティ・企画支援まで含むか
  • 既存環境の整備状況:台帳や手順書がない場合、初期の整理に費用がかかる
  • 品質水準:対応時間の目標(SLA)や報告の頻度

正社員の情シス担当者を1人採用する場合、年収に加えて採用費・教育費・社会保険料がかかり、退職リスクも伴います。採用コストと退職リスクを含めた総額で比較すると、情シス代行の費用対効果を判断しやすくなります。

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情シス代行会社の種類と選び方

情シス代行を提供する会社は、得意領域や提供形態によっていくつかのタイプに分かれます。ここでは、代行会社の4つの種類と、自社に合った会社を選ぶための7つのポイントを解説します。

代行会社の4つの種類

  • ヘルプデスク特化型:社員からの問い合わせ対応に特化し、低価格で提供する。問い合わせの負担を減らしたい企業に向く
  • 定常業務の包括型:ヘルプデスク、キッティング、資産管理、アカウント管理、運用監視などを包括的に代行する。ひとり情シスの業務を丸ごと任せたい企業に向く
  • コンサルティング・IT顧問型:IT戦略、セキュリティ方針、システム選定などの判断を支援する。作業よりも方針の相談が必要な企業に向く
  • 開発会社・AI活用支援型:情シス業務の支援に加えて、社内システムの開発・改修や、生成AIの業務活用支援を行う。IT運用とシステム開発・AI活用を一体で進めたい企業に向く

自社の課題が「手が足りない」であれば特化型・包括型、「判断できる人がいない」であれば顧問型、「システムやAIの活用まで進めたい」であれば開発会社・AI活用支援型が候補になります。

選び方1:依頼したい業務と対応範囲が合っているか

自社が委託したい業務を一覧にし、それぞれに対応しているか、追加料金の有無を確認します。特に、社内システムの改修やAI活用支援は、対応できる会社が限られます。

選び方2:対応時間・手段・緊急時の体制

平日日中のみか、夜間・休日に対応するか、リモートと訪問のどちらが標準か、障害時の連絡経路と初動時間はどうかを確認します。自社の業務時間と、システム停止時の影響の大きさに合った体制を選びましょう。

選び方3:情報セキュリティの体制

秘密保持契約の締結、情報セキュリティに関する認証の有無、スタッフの教育、アクセス権限の管理方法、作業ログの記録を確認します。社内の重要情報にアクセスする以上、自社の情報管理規程に照らして問題がないかを必ず確認してください。

選び方4:手順書やナレッジの整備を成果物として提供するか

作業を代行するだけでなく、手順書・構成図・台帳・対応履歴を整備し、社内で共有できる形で提供する会社は、属人化の解消と将来の内製化に貢献します。「業務を引き継げる状態にする」ことを支援内容に含んでいるかは、長期的な価値を左右します。

選び方5:DX・AI活用など上流の支援に対応できるか

運用業務の代行から始めても、いずれ「業務を効率化したい」「生成AIを社内で使いたい」「社内システムを改修したい」といった要望が出ます。運用から企画・開発・AI活用まで相談できる会社であれば、依頼の範囲を段階的に広げられます。

選び方6:契約の柔軟性

業務量の増減に応じて契約内容を見直せるか、最低契約期間はどれくらいか、解約や範囲変更の条件はどうかを確認します。まず小さく始めて、効果を見ながら広げられる契約が望ましいです。

選び方7:担当者の質とコミュニケーション

窓口となる担当者が、自社の業務や事情を理解しようとしているか、説明がわかりやすいか、質問への回答が速いかを、初回の相談から見極めます。技術力だけでなく、社員が気軽に相談できる関係を築ける会社であれば、代行の効果が高まります。

情シス代行の導入の流れ

情シス代行は、契約すればすぐに効果が出るものではなく、業務の切り出しと移行に一定の準備が必要です。ここでは、導入の一般的な流れを5つのステップで解説します。

ステップ1:現状の業務と課題を整理する

現在、誰がどのIT業務をどれくらいの時間で担っているか、どこに負担や不安があるかを洗い出します。問い合わせの件数と内容、端末やSaaSの数、システムの構成、既存の手順書や台帳の有無も把握します。

この整理は、代行会社への相談と見積もりの前提になるだけでなく、自社のIT環境の現在地を可視化する機会にもなります。

ステップ2:委託する業務と社内に残す業務を決める

洗い出した業務のうち、外部に任せる業務、社内に残す業務、判断は社内で作業は外部という業務に分けます。社内事情の理解が必要な判断や、経営に関わるIT投資の決定は社内に残し、定型的な運用業務から委託するのが一般的です。

ステップ3:要件を整理し、複数社から見積もりを取る

委託する業務の範囲、対応時間・手段、対応時間の目標、報告の頻度、セキュリティ要件、期待する成果物(手順書、台帳など)を整理し、2〜3社に同じ条件で見積もりを依頼します。見積もりの内訳と、含まれる範囲・含まれない範囲を比較して選定します。

ステップ4:業務を移行する

契約後、代行会社が現状の環境を調査し、アカウントやアクセス権限の設定、手順書の作成、社員への周知を行います。移行期間中は社内の担当者と代行会社が並行して対応し、引き継ぎ漏れを防ぎます。移行期間を十分に取ることが、開始後の混乱を防ぐポイントです。

ステップ5:運用を開始し、定期的に見直す

運用開始後は、月次の報告で対応件数・内容・課題を確認し、範囲や体制を見直します。問い合わせの傾向から業務改善の提案を受けたり、次の段階として社内システムの改修やAI活用に進んだりと、代行を起点にIT活用を広げていくことが、情シス代行を最大限に生かす方法です。

AI活用時代の情シス代行

生成AIの普及は、情シスの業務そのものと、情シス代行の役割を変えつつあります。ここでは、AIによる情シス業務の効率化、社内でのAI活用に伴う情シスの新たな役割、そして情シス代行にAI対応を求める視点を整理します。

AIチャットボットによるヘルプデスクの効率化

社員からの定型的な問い合わせ(パスワードの再設定方法、ツールの使い方、申請手順など)は、社内マニュアルやFAQを参照するAIチャットボットで一次対応できるようになっています。人が対応する問い合わせを減らせるため、情シス代行と組み合わせることで、対応の速さと費用の両面で効果が出ます。

「AIで一次対応、人が二次対応」という体制を、代行会社とともに構築することが、これからのヘルプデスクの標準的な形になりつつあります。

社内での生成AI活用を支える情シスの役割

社員が業務で生成AIを使うようになると、利用ルールの策定、機密情報の入力防止、利用するサービスの選定と契約、利用状況の把握といった新しい業務が情シスに発生します。これらは、従来のIT運用とは異なる知識を必要とします。

ひとり情シスや兼務の担当者がこの領域まで担うのは困難です。生成AIの利用ルール整備と活用推進を支援できる代行会社を選ぶことが、安全にAI活用を進めるための現実的な方法です。

情シス代行にAI対応を求める視点

代行会社を選ぶ際は、AIチャットボットの導入支援、生成AIの社内ガイドライン策定、AIを使った業務効率化の企画、AI機能を組み込んだ社内ツールの開発といった領域に対応できるかを確認しましょう。運用代行にとどまる会社と、AI活用まで支援できる会社では、数年後の自社のIT活用の水準に差が出ます。

チャットボットの導入や、AI開発の進め方については、AI受託開発の費用相場と開発会社の選び方の記事でも解説しています。

代行と社内育成を組み合わせる

情シス代行を使いながら、社内の担当者が生成AIを活用して業務を効率化したり、簡単なツールを自分で作れるようになったりする支援を受けることで、外部への依存を減らしつつ、自社のIT対応力を高められます。「代行で今を回し、育成でこれからに備える」という組み合わせが、AI活用時代の情シスの体制づくりの考え方です。

情シス代行で失敗しないためのポイント

情シス代行の失敗は、代行会社の能力よりも、依頼側の準備や範囲の決め方に原因があることがほとんどです。ここでは、押さえておきたい4つのポイントを解説します。

「丸投げ」にせず、社内に窓口と判断者を残す

すべてを代行会社に任せると、社内でIT環境を把握する人がいなくなり、判断や緊急時の対応ができなくなります。社内に窓口となる担当者を置き、IT投資や方針の判断は社内で行う体制を保ちましょう。

業務の範囲と対応水準を文書で合意する

「どこまでが契約範囲か」「どれくらいの時間で対応するか」が曖昧だと、期待と実際のずれからトラブルになります。範囲・対応時間・手段・報告・成果物を契約書や業務仕様書で明確にします。

手順書と台帳の整備を必ず求める

代行会社が作業した内容が記録され、手順書や台帳として残っていれば、代行会社を変更する場合や内製化する場合にも困りません。成果物として文書を残すことを契約に含めることが、自社を守る備えになります。

運用だけで終わらせず、IT活用の次の段階につなげる

情シス代行によって担当者の時間が生まれたら、その時間を業務改善やAI活用の企画に使うことで、代行の投資が事業の成果につながります。代行会社にも、運用の報告だけでなく改善提案を求め、「守り」から「攻め」への移行を一緒に進める関係を築きましょう。

IT活用やAI活用の進め方については、NextScaleのコラム一覧でも関連記事を公開しています。

自社に合った進め方を相談したい方へ
「どこから着手すべきか分からない」「社内での定着が進まない」といった課題は、状況を伺いながら整理するのが近道です。個別のご相談を承っています。
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まとめ

情シス代行とは、情報システム部門の業務の全部または一部を外部の専門会社に委託するサービスです。ヘルプデスク、機器やアカウントの管理、ネットワーク運用、セキュリティ、システム導入、社内ツールの改修、IT戦略やAI活用の企画支援まで、幅広い業務を依頼できます。

担当者の負担軽減、専門性の確保、属人化の解消、固定費の抑制といったメリットがある一方で、ノウハウの蓄積や情報管理には注意が必要です。費用は時間制の部分代行で月額5万〜15万円程度、包括代行で月額10万〜80万円程度が目安で、採用コストと退職リスクを含めた総額で比較することが判断のポイントです。

代行会社は、対応範囲、対応時間と体制、セキュリティ、手順書の整備、DX・AI活用への対応、契約の柔軟性、担当者の質の7点で選び、現状整理から業務の切り出し、移行、定期的な見直しという流れで導入します。AI活用が広がるなかで、情シス代行は運用の代行にとどまらず、AIチャットボットによる効率化や生成AIの活用推進を支える存在になりつつあります。「代行で今を回し、育成でこれからに備える」という視点で、自社に合った体制をつくっていってください。

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この記事の監修者

石丸真平

石丸真平

株式会社ネクストスケール 代表取締役

株式会社ネクストスケール代表取締役。2002年、愛媛県東温市生まれ。2022年3月、19歳で同社を設立した。中小企業のAI導入を、法人向けAI研修、AX伴走支援(AIコンサルティング)、AIシステム・AIエージェント開発で支援している。支援先の戦略設計に関わり、現場の担当者と業務を見直しながら開発と改善を進める。自社の経営・営業・請求の業務にもAIエージェントを組み込み、日々運用している。支援先は累計150社以上(2026年6月30日時点・当社調べ)。法人向けAI研修では、顧客アンケートで96.3%が「効果があった」と回答している(2026年6月30日時点の当社公表値)。
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