LangGraphとは?LangChainとの違いとできること・使い方を解説【2026年最新】
2026年8月9日
著者:NEXT SCALE編集部
監修者:石丸真平

AIエージェントの開発を進めていると、処理が一本道では収まらなくなる場面に必ずぶつかります。条件によって進む先を変えたい、同じ処理を繰り返したい、途中で人の確認を挟みたいといった要求です。
こうした要求に応えるために作られたのがLangGraphです。処理を図として組み立て、状態を持たせながら実行できる点が特徴になります。
この記事では、LangGraphの位置づけ、LangChainとの現在の関係、主要な構成要素、できること、そして導入前に押さえておきたい注意点までを整理しました。自社の開発に取り入れるべきかを判断できる状態を目指しています。
| 確認したいポイント | 結論 | 詳細 |
| LangGraphとは何? | エージェントを動かす基盤 | 処理を図として組み立て、状態を持たせながらAIエージェントを動かすための実行基盤にあたる。 |
| LangChainとどう違う? | 上下関係は逆転している | 現在はLangGraphが下層の実行基盤で、LangChainがその上に載る高水準の窓口という構成になった。 |
| 何で構成されている? | 状態・処理・遷移の3要素 | 状態を定義し、処理を担うノードを置き、つなぎ方を決める。この3つを組んで実行する形が基本。 |
| どんなことができる? | 分岐・再開・人の承認まで | 条件分岐やループに加え、中断した処理の再開や人の承認を挟む仕組みが標準で備わっている。 |
| どうやって作り始める? | 5つの手順で組み上げる | 状態の設計から始め、処理を分割し、つなぎ方を決めて実行する。最初は小さく作るのが確実。 |
| 他の選択肢との違いは? | 制御の細かさで選び分ける | 一本道の処理なら上位の枠組みで足りる。ループや承認が必要になった時点で降りてくる形になる。 |
| 導入時の注意点は? | 学習コストと運用整備 | 概念の理解に時間がかかり、記述量も増える。本番では監視や記録の仕組みが別途必要になる。 |
この記事でわかること
- LangGraphが何を解決するために作られた仕組みなのかという基本の考え方
- 2025年のバージョン1.0で逆転したLangChainとの依存関係と、現在の正しい理解
- 状態・ノード・エッジという3つの構成要素と、それらを組み上げる流れ
- 条件分岐、処理の再開、人による承認といった本番運用で効いてくる機能
- どんなときに使うべきか、そして導入前に見込んでおくべき学習コストと運用の負担
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LangGraphとは|AIエージェントを動かすための実行基盤
LangGraphは、状態を持つAIエージェントを動かすための低レベルな実行基盤です。処理の流れを図として明示的に書き下し、その通りに動かすという設計思想を持っています。
開発元はLangChain社で、Uber、LinkedIn、Klarnaといった企業の本番環境で1年以上稼働した実績を経て、2025年10月にバージョン1.0が公開されました。
AIエージェントという概念そのものを整理しておきたい方は、AIエージェントとは?仕組みと業務での使いどころもあわせてご覧ください。
何を解決するために作られたのか
初期のLLMアプリケーションは、入力から出力へ一方向に流れる構造で十分に成立していました。質問に答える、文章を要約する、分類するといった処理は、順番に実行すれば完結するためです。
エージェントとして自律的に動かそうとすると、この構造では足りなくなります。道具を呼び出し、結果を見て、必要なら別の道具を呼び直すという循環が必要になるためです。
加えて、長時間かかる処理の途中で止まったとき、最初からやり直すわけにはいきません。どこまで進んだかを保持し、そこから再開できる仕組みが求められます。
グラフという考え方
LangGraphでは、処理をノードとエッジからなる図として表現します。ノードは1つの処理を担う単位で、エッジはどのノードからどのノードへ進むかという遷移を表します。
この書き方の利点は、全体像がコードを読めば把握できる点にあります。処理の流れが暗黙のうちにAI側の判断に委ねられるのではなく、設計者が明示的に決められます。
すべてのノードは共通の状態を参照し、更新していきます。途中の結果にいつでもアクセスできるため、条件によって進む先を変える処理も自然に書けます。
バージョン1.0で何が変わったのか
1.0では、状態・ノード・エッジという基本の考え方と実行の仕組みは変更されていません。中身の作り直しではなく、安定版としての宣言に重きが置かれた更新です。
公式には、2.0が出るまで互換性を壊す変更を行わないという方針が示されています。長期的に運用する前提のシステムに採用しやすくなった点は、実務上の大きな意味を持ちます。
どんな場面で使われているか
実際の用途として多いのは、複数の工程をまたぐ調査や、社内システムと連携した業務処理の自動化です。いずれも一度の呼び出しでは終わらず、途中の判断によって進み方が変わる性質を持っています。
問い合わせ対応を例にすると、内容を分類し、必要な情報を検索し、回答案を作り、条件によっては担当者の確認を挟むという流れになります。この一連の流れを1つの図として書き下せることが、採用される理由になっています。
前提となる生成AIの仕組みから確認しておきたい方は、生成AIとは?仕組み・種類・ビジネス活用のポイントもあわせてご覧ください。
LangChainとの違いと現在の関係
検索すると、LangGraphはLangChainの上に載る層だという説明が今も多く見つかります。この説明は2024年時点のもので、現在の構成とは逆になっています。
依存の向きは逆転している
2025年10月22日にLangChainとLangGraphのバージョン1.0が同時に公開され、両者の位置関係が整理されました。公式ドキュメントでも、LangChainのエージェント生成機能がLangGraph上で動くと明記されています(出典:LangChain公式ドキュメント「What’s new in LangGraph v1」)。
つまり、下層にLangGraphという実行基盤があり、その上にLangChainという扱いやすい窓口が載るという構成です。2つは競合する製品ではなく、同じ開発元が提供する2つの層にあたります。
古い記事を参考にすると、この関係を誤って理解したまま設計を進めることになります。技術選定の資料を作る際は、情報の公開時期に注意してください。
処理構造の違い
LangChainが提供してきた連鎖の仕組みは、入力から出力へ一方向に流れる構造です。処理の順番があらかじめ決まっており、その通りに実行されます。
LangGraphは、共有された状態を更新しながら循環できる構造を持ちます。条件によって分岐し、必要なら同じ処理へ戻るという流れを表現できる点が根本的な違いです。
抽象化の方向性も異なります。LangChainがAIに任せる方向の抽象化であるのに対し、LangGraphは人が流れを設計する方向の抽象化といえます。
どちらから学ぶべきか
エージェントを素早く立ち上げたいのであれば、LangChainの高水準な機能から始めるのが効率的です。標準的な作りであれば、こちらで完結します。
処理の流れを細かく制御する必要が出てきた段階で、LangGraphの層に降りていきます。公式でも、まずLangChainで始め、独自の組み立てが必要になったらLangGraphへ移るという使い方が推奨されています。
LangGraphを単体で使うことも可能です。LangChain本体を必須とせず、他のクライアントと組み合わせても動作します。
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LangGraphの主要な構成要素
覚えるべき概念は多くありません。状態、ノード、エッジという3つを押さえれば、基本的な組み立てはできるようになります。
状態|処理全体で共有されるデータ
状態は、処理の流れ全体で共有されるデータの入れ物です。どんな項目を持たせるかを最初に定義し、各ノードがそれを読み書きしていきます。
設計の良し悪しがここで決まります。後の工程で必要になる情報が状態に含まれていないと、ノードの分割からやり直すことになります。
更新のされ方も指定できます。上書きするのか、それまでの内容に追加していくのかを項目ごとに決められるため、会話の履歴のように積み上げたいデータも扱えます。
ノード|1つの処理を担う単位
ノードは、状態を受け取って更新内容を返す関数として書きます。LLMを呼び出す処理、外部のデータを取得する処理、結果を整形する処理などを、それぞれ1つのノードとして切り出します。
分割の粒度は、あとから見返したときに何をしているか分かる単位を目安にします。細かく分けすぎると全体像が追いにくくなり、大きすぎると再利用や差し替えがしにくくなります。
1つのノードには1つの責任だけを持たせるのが基本の考え方です。検索と要約を同じノードに詰め込むと、検索だけをやり直したい場面で切り分けられなくなります。分けておけば、後から差し替えるのも一部だけを試すのも容易になります。
エッジ|ノード同士のつなぎ方
エッジは、どのノードの次にどのノードへ進むかを定義します。常に同じ順番で進む単純なつなぎ方と、状態の中身を見て進む先を決める条件付きのつなぎ方の2種類があります。
ループもこの仕組みで表現します。特定の条件を満たさなければ前のノードへ戻るというつなぎ方を書けば、承認されるまで作り直しを繰り返す流れが作れます。
ループを書くときは、抜け出す条件を必ず明示しておいてください。判定を誤ると同じ処理を延々と繰り返し、費用と時間の両方を消費してしまいます。
組み立てと実行
ノードとエッジを登録したら、全体をまとめて実行可能な形に変換します。あとは初期の状態を渡して呼び出すだけで、定義した通りの順序で処理が進みます。
この一連の流れは、慣れれば20行程度のコードでも表現できます。最初の1本を小さく作って動かしてみると、概念の理解が一気に進みます。
組み立てた内容は図として書き出せるため、仕様の共有にも使えます。技術者以外に処理の流れを説明する場面では、この図がそのまま資料になります。
LangGraphでできること
本番運用を見据えたときに効いてくる機能が、標準で用意されています。自前で作ると手間のかかる仕組みが最初から備わっている点が、採用の決め手になることが多い部分です。
条件分岐とループ
状態の中身に応じて進む先を変えられます。検索結果が十分でなければ条件を変えてもう一度検索する、生成した文章が基準を満たさなければ作り直す、といった流れを素直に書けます。
道具を呼び出し、結果を受け取り、必要ならまた別の道具を呼ぶという循環も、この仕組みで表現します。エージェントらしい動きの中核にあたる部分です。
チェックポイントによる中断と再開
処理の状態を任意の時点で保存し、そこから再開できます。サーバーが途中で再起動しても、長時間かかる処理が中断されても、続きから進められる設計です。
この機能の重要性は、工程の数が増えるほど大きくなります。1工程あたりの成功率が高くても、工程が10個続けば全体の成功率は大きく下がるためです。
保存先はデータベースに置き換えられます。セッションをまたいだ記憶や、数日にわたる承認プロセスといった用途にも対応できます。
人による承認を挟む
処理の途中で実行をいったん止め、人の判断を待つ仕組みが用意されています。内容を確認したうえで、承認して先へ進めるか、修正して差し戻すかを選べます。
金額の確定、外部への送信、データの削除といった取り返しのつかない処理では、この仕組みが欠かせません。フレームワークの機能として組み込まれている点が、自前実装との差になります。
マルチエージェントの構築
役割の異なる複数のエージェントを協調させる構成も作れます。中央の管理役が状況を見て担当を割り振り、各担当が処理を進めるという形が代表的なパターンです。
調査担当、要約担当、確認担当というように役割を分けると、それぞれの指示文を短く保てます。1つのエージェントに何もかも任せるより、精度が安定しやすくなります。
進捗のリアルタイム表示
処理の途中経過を随時受け取れる仕組みもあります。エージェントが今どの工程にいるかを画面に表示すれば、利用者は待ち時間の不安を感じにくくなります。
開発中の確認にも役立ちます。どのノードで時間がかかっているか、どの分岐に進んだかが見えるため、期待と違う動きをしたときの原因を追いやすくなります。処理が複雑になるほど、途中が見えるかどうかが開発効率を左右します。
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基本的な使い方の流れ
実装の手順は、どんな規模でも大きくは変わりません。順番を守れば、複雑な処理でも整理された形に落とし込めます。
手順1|扱う状態を設計する
処理全体で受け渡す情報を洗い出し、状態の項目として定義します。入力、途中の結果、最終的な出力に加え、分岐の判断に使うフラグなども含めます。
ここを丁寧に詰めておくと、後の工程が楽になります。逆に、必要な項目を後から足すと、関係するノードをすべて見直すことになります。
手順2|処理をノードに分ける
1つの仕事を担う単位でノードを切り出します。それぞれのノードは状態を受け取り、更新すべき内容だけを返す形にしておくと、単体で動作を確認しやすくなります。
手順3|つなぎ方を決める
開始地点から終了地点までの流れを、エッジとして書き下します。条件によって進む先が変わる箇所は、判定する関数と行き先の対応をあわせて定義します。
この段階で、処理の全体像が図として読み取れる状態になります。設計の抜けや矛盾は、ここで気づけることが多くあります。
手順4|小さく動かして確認する
すべてを組んでから動かすのではなく、2つか3つのノードをつないだ段階で一度実行します。状態が想定どおりに更新されているかを確認してから、次のノードを足していきます。
手順5|本番向けの機能を足す
基本の流れが動いたら、状態の保存、人による承認、進捗の表示といった機能を追加します。最初からすべてを盛り込もうとすると、どこで問題が起きているか分からなくなります。
AIとの対話でコードを組み立てながら進めるやり方については、バイブコーディングとは?やり方とメリット・注意点で扱っています。
他の選択肢との使い分け
枠組みの名前から選び始めると判断を誤ります。解きたい問題の性質から逆算すると、選択肢は自然に絞り込まれます。
上位の枠組みだけで足りる場合
処理が一本道で完結するなら、LangGraphまで降りる必要はありません。文書を検索して答えを生成する、文章を要約する、内容を分類するといった用途は、高水準の機能だけで組めます。
記述量が少なく済むぶん、保守も楽になります。必要のない複雑さを持ち込まないことは、設計として正しい判断です。
LangGraphに降りるべき場合
判断の目安になるのは4つです。ループが必要か、条件による分岐があるか、人の承認を挟むか、そして長時間の処理を途中から再開する必要があるか。
このいずれかに当てはまるなら、LangGraphを使う価値があります。逆に、どれにも当てはまらないうちは、時期尚早と考えて差し支えありません。
現時点で当てはまらなくても、将来的に必要になりそうであれば話は変わります。後から作り直す手間を考えると、最初から降りておくほうが結果的に安く済む場合もあります。
選択肢を比べるときの軸
エージェント開発の枠組みは他にもあります。比較する際は、制御の細かさ、本番運用に必要な機能の有無、既存の環境との相性、そして情報の見つけやすさという観点で並べると判断しやすくなります。
自社で作るか外部に任せるかという判断も並行して必要になります。内製の体制がない状態で複雑な仕組みを抱えると、担当者が離れた瞬間に動かせなくなります。
内製化の進め方はシステム内製化の進め方とつまずきやすいポイントで、外部に委託する場合の費用感はAI受託開発とは?依頼できること・費用相場・開発会社の選び方で整理しています。
導入前に押さえておきたい注意点
利点の裏返しとして、負担になる部分もあります。見込んでおかないと、途中で立ち行かなくなる要素を挙げます。
学習コストと記述量
状態、ノード、エッジという概念に慣れるまでには時間がかかります。単純なエージェントであっても、それぞれを定義する必要があるため、記述量は高水準の機能を使う場合より増えます。
チームで採用する場合は、この学習コストを人数分見込んでおいてください。1人だけが理解している状態は、その人が離れた時点で保守できなくなります。
社内で扱える人を増やす方法については、法人向け生成AI研修の選び方と費用相場も参考になります。
バージョン更新への追随
1.0以降は互換性を壊す変更を行わない方針が示されているものの、推奨される書き方は変わっていきます。過去に標準だった書き方が非推奨になった例もあります。
情報を探すときは、公開時期を必ず確認してください。古い記事のコードをそのまま持ち込むと、動作はしても推奨されない構成になることがあります(出典:LangChain公式ブログ「LangChain and LangGraph Agent Frameworks Reach v1.0 Milestones」)。
本番運用で別途必要になる整備
枠組みが用意してくれるのは、処理の組み立てと実行までです。何が起きているかを追跡する仕組み、費用の監視、入力内容の検証といった周辺の整備は別途必要になります。
特に、動作の記録を残す仕組みは早い段階で入れておくべきです。エージェントの不具合は、どの工程で何が起きたかが見えないと原因を追えません。
費用の見通しも立てておく必要があります。ループを含む処理は、条件によって呼び出し回数が想定を超えることがあります。上限回数を設けておかないと、予期しない請求につながります。
扱う情報の範囲についても、社内の基準を決めておく必要があります。整備の進め方は生成AIの社内利用ガイドラインの作り方で扱っています。
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まとめ
LangGraphは、状態を持つAIエージェントを動かすための実行基盤です。処理をノードとエッジからなる図として明示的に書き、条件分岐やループを含む流れを設計者が制御できる点が特徴になります。
2025年10月のバージョン1.0以降、LangChainとの関係は整理されました。下層にLangGraphという実行基盤があり、その上にLangChainという扱いやすい窓口が載る構成です。古い記事の説明とは逆になっている点に注意してください。
覚えるべき要素は、状態、ノード、エッジの3つです。この3つを組み上げたうえで、チェックポイントによる再開、人による承認、進捗の表示といった本番向けの機能を足していきます。
採用の判断基準は明確です。ループ、条件分岐、人の承認、長時間処理の再開のいずれかが必要になったときが、検討を始める合図になります。当てはまらないうちは高水準の機能だけで十分です。
まずは小さなグラフを1本作って動かしてみてください。概念の理解は、動くものを見ながらのほうが早く進みます。なお仕様は更新されるため、実装前には公式ドキュメントで最新の内容をご確認ください。
社外AI役員サービスご紹介資料
この資料でこんなことがわかります!
- 社外AI役員とは
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この記事の監修者
石丸真平
NEXTSCALE コンサルタント / AI活用・業務効率化支援
ワイヤー段階では、監修者名、肩書き、プロフィール本文、関連リンク、著者導線がどのように入るかを確認できる構成にしています。実装時には実際のプロフィール文や外部リンク、SNSアカウント情報などに差し替える想定です。

