ChatGPTで情報漏洩は起きる?実際の事例とプラン別のデータ扱い・企業の対策を解説
2026年8月13日
著者:NEXT SCALE編集部
監修者:石丸真平

業務でChatGPTを使いたいが、機密情報が外に出ないか不安がある。社内で使ってよいのか判断がつかない。そうした相談は今も多く寄せられます。
実際に情報が漏れた事例は複数あります。ただし原因はそれぞれ異なり、対策も変わります。「入力すると学習される」という説明も、契約しているプランによって当てはまる場合と当てはまらない場合があります。
ここでは公表されている事例と、提供元が示しているデータの取り扱い、そして個人情報保護委員会の注意喚起を踏まえて、企業として何を決めるべきかを整理します。
| 確認したいポイント | 結論 | 詳細 |
| 実際に漏洩は起きている? | 国内外で複数の事例がある | 提供元の不具合、利用者の入力、共有リンクの公開、アカウントの流出という異なる原因で発生している |
| 入力内容は学習に使われる? | 契約するプランで扱いが異なる | 法人向けプランとAPIは既定で学習に使われない。個人向けは設定でオフにする必要がある |
| 一番大きいリスクは? | 会社が把握していない個人利用 | 各自が個人アカウントで使っている状態では、何が入力されたかを追えず、対策も打てない |
| 企業は何をすべき? | 使ってよい範囲を先に決める | 利用してよいプラン、入力してはいけない情報、設定の統一。この3点を決めるところから始める |
この記事でわかること
- 実際に起きた情報漏洩の事例と、それぞれの発生原因
- プランごとに異なる入力データの扱いと、確認すべき設定
- 企業にとって最も大きいリスクがどこにあるのか
- 個人情報保護法の観点で押さえるべき論点
- 全面禁止か条件付き許可かを判断する基準と、具体的な対策
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ChatGPTに関する情報漏洩は実際に起きている
まず、これまでに公表されている事例を原因別に整理します。同じ「漏洩」でも、防ぎ方はそれぞれ異なります。
提供元の不具合による事例
2023年3月、OpenAIは自社の不具合により、一部の利用者のチャット履歴のタイトルが他の利用者から見える状態になったことを公表しました。
あわせて、有料プラン利用者の一部について、氏名やメールアドレス、クレジットカード番号の下4桁などが閲覧可能な状態になっていたことも明らかにされています。 数時間にわたって続いた事象でした。
これは利用者側の操作が原因ではありません。外部サービスを使う以上、提供元の不具合という要因は残るという前提で考える必要があります。
利用者の入力による事例
2023年には、韓国の大手電機メーカーで、従業員が業務に関する内容をChatGPTに入力した事例が報じられました。社内での生成AI利用が制限される事態に発展しています。
この種の事例で問題になるのは、悪意ではなく認識の不足です。 便利に使えるツールに、確認する仕事を頼んだだけという意識で、社外に出してはいけない内容を入力してしまいます。
共有リンクが検索結果に表示された事例
2025年夏には、ChatGPTの会話を共有する機能を通じて作られたページが、検索エンジンの結果に表示される事象が話題になりました。
原因は、共有時に「検索エンジンで見つけられるようにする」という選択肢が用意されていたことです。利用者が自分で選ぶ設定でしたが、意味が伝わりにくく、意図せず公開状態にしてしまう人が多く出ました。 OpenAIはその後この機能を取り下げています。
注意したいのは、元の会話を削除しても共有用のページは残るという点です。心当たりがある場合は、設定画面から共有済みのリンクを個別に解除する必要があります。
アカウント情報の流出
情報を盗み取る種類のマルウェアによって、10万件を超えるChatGPTのアカウント情報が闇市場で取引されていたとの報告もあります。
これはChatGPT側の問題というより、利用者の端末が乗っ取られたことによるものです。 パスワードの使い回しを避ける、二要素認証を有効にするといった基本的な対策が有効に働く領域です。
関連記事:ChatGPT 5.2とは?提供終了の経緯と後継モデルGPT-5.5への移行点を解説
入力した情報がどう扱われるかはプランによって異なる
「ChatGPTに入力すると学習に使われる」という説明を目にしますが、これは一律ではありません。契約している形態によって扱いが変わります。
法人向けプランとAPIの扱い
OpenAIは、法人向けの各プランおよびAPIについて、入力と出力を既定ではモデルの学習や改善に使わないと明示しています。 対象にはEnterprise、Business、Edu、医療や教職者向けの各プラン、そして開発者向けのAPIが含まれます。
あわせて、保存時と通信時の暗号化、第三者機関による監査の取得、国際規格に基づく認証の維持といった内容も公表されています。社内で「外部サービスだから危険」と一括りにされている場合、この事実関係の共有が議論の出発点になります。
詳細はOpenAI公式のビジネス向けデータ取り扱いに関する説明に掲載されています。条件は更新されるため、契約前には必ず最新の記載を確認してください。
個人向けプランの扱い
一方、個人向けの無料プランや個人課金のプランでは、入力した内容がモデルの改善に使われる場合があります。設定画面から対象外にすることはできますが、既定でオフになっているわけではありません。
つまり、従業員が各自のアカウントで業務に使っている場合、設定を確認しない限り、入力内容が改善に使われる状態のままである可能性があります。
この点はOpenAI公式のデータ利用に関する説明に記載されています。無料で使えるツール全般の考え方はAIエージェントは無料で使える?でも扱っています。
保存期間と削除
学習に使わないことと、データが保存されないことは別の話です。不正利用の検知などを目的として、一定期間保存される仕組みが取られています。
プランによっては保存期間を自社で設定できるほか、条件を満たす場合に保存自体を行わない扱いを申請できる仕組みも用意されています。取り扱うデータの性質に応じて、どこまで求めるかを決めてください。
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関連記事:ChatGPTのメモリ機能とは|設定・削除の手順と業務で使うときの注意点を解説
企業にとって最も大きいリスクは把握できていない利用
事例を見ていくと、技術的な脆弱性よりも運用上の穴のほうが実際の損害につながっています。特に問題になるのが次の3点です。
会社が知らないところで使われている
会社として導入していなくても、個人のアカウントで使っている従業員はいます。この状態では、誰が何を入力したかを把握する手段がありません。 問題が起きても、範囲の特定ができないまま対応することになります。
禁止しているから安全だと考えるのは危険です。手元の端末やスマートフォンから使えるため、禁止の通達だけでは実態は変わらないというのが現実です。
入力してよい情報の線引きがない
使ってよいと決めていても、何を入力してはいけないかが定義されていないケースが多く見られます。「機密情報は入力しない」という表現だけでは、現場は判断できません。
顧客名は入れてよいのか、社内の会議録はどうか、開発中のコードは。具体的な例で示さなければ、判断は各自に委ねられたままになります。
退職時に追えない
個人アカウントで使っていた場合、退職後もその履歴は本人の手元に残ります。会社側から削除を求める手段がありません。 法人向けの契約であれば管理者が権限を止められますが、個人契約では及びません。
エージェント型になると影響範囲が広がる
近年は、質問に答えるだけでなく、ファイルを読み込んだり外部のサービスに接続したりして作業を代行するタイプが増えています。接続先が増えるほど、意図せず外部に出る情報の範囲も広がります。
会話に入力した内容だけでなく、どのフォルダやシステムへの接続を許可したかまで管理する必要があります。従来のチャット利用を前提としたルールでは追いつかない領域です。
この仕組みの違いはAIエージェントとは何か、外部システムとの接続方式についてはMCP(Model Context Protocol)とはで整理しています。
生成AIを業務に組み込む際の情報管理全般については生成AI利用時のセキュリティ対策で整理しています。
関連記事:ChatGPTでドット絵を作る方法|プロンプト例とうまくいかないときのコツを解説
個人情報を扱う場合に押さえるべき法令上の論点
業務で個人情報を扱う企業にとって、この話は運用ルールにとどまりません。所管する委員会から注意喚起が出ています。
個人情報保護委員会の注意喚起
個人情報保護委員会は2023年6月2日、生成AIサービスの利用に関する注意喚起を公表しました。個人情報取扱事業者、行政機関等、一般の利用者それぞれに向けた注意点が示されています。
あわせて、ChatGPTを開発・提供するOpenAIに対しても、要配慮個人情報の取得や利用目的の通知などについて注意喚起が行われたことが公表されています。
原文は個人情報保護委員会の公表資料で確認できます。要点をまとめた広報用の資料も公開されており、社内説明に使いやすい形になっています。
学習に使われる場合は提供に当たるという整理
この注意喚起で重要なのは、提供者が入力内容を学習データとして利用する仕組みになっている場合、利用者が個人データを入力する行為は、提供者への個人データの提供に当たるという整理です。
第三者への提供に該当すれば、原則としてあらかじめ本人の同意が必要になります。設定を確認せずに顧客情報を入力していた、という状況は法令上の問題になり得ます。
利用目的の範囲という考え方
もう一つの論点が利用目的です。個人情報は、特定された利用目的の達成に必要な範囲内で取り扱う必要があります。生成AIに入力する行為も、この範囲の中に収まっているかを確認しなければなりません。
注意喚起では、利用規約やプライバシーポリシーを十分に確認したうえで、入力する情報の内容を踏まえて利用の可否を判断するよう求めています。契約書類の確認は、情報システム部門だけでなく法務も交えて行うのが確実です。
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企業がとるべき対策
ここまでを踏まえた対策を、優先度の高い順に整理します。技術的な設定より、決めごとのほうが先になります。
使ってよいプランを決める
最初に決めるのは、どの契約形態で使うかです。 業務で継続的に使うのであれば、既定で学習に使われない法人向けの契約に統一するのが基本になります。
管理者から利用状況を確認できる、退職時に権限を止められる、保存期間を設定できる。これらは個人契約では得られない要素です。費用は増えますが、統制のコストと比べて判断してください。
入力してはいけない情報を定義する
抽象的な表現ではなく、具体例で示します。少なくとも次の分類は明文化しておくと、現場が迷いません。
- 顧客の氏名、連絡先、取引内容など、個人が特定できる情報
- 従業員の人事評価、健康状態、給与に関する情報
- 契約書、見積書、未公開の財務資料
- 認証情報、接続情報、本番環境のデータ
- 開発中の製品仕様、公開前の企画内容
あわせて、迷ったときにどこへ聞けばよいかも決めておいてください。 判断に迷った時点で相談先がなければ、各自が自分の基準で判断してしまいます。
開発部門では、チャット画面ではなくコードを直接扱うツールが使われることがあります。この場合はリポジトリ単位で扱う範囲を決める必要があり、チャット利用とは別のルールが要ります。代表的なツールについてはClaude Codeのインストール方法やCodex appとはで扱っています。
設定を統一する
個人向けプランを使わざるを得ない期間がある場合は、学習への利用をオフにする設定を全員に徹底します。あわせて、共有リンクを作成した場合の扱いもルールに含めてください。
すでに共有リンクを作ったことがある場合は、設定画面から一覧を確認し、不要なものを解除する作業を一度実施しておくと安心です。
教育を継続する
ルールを配っただけでは運用されません。事例を示しながら、なぜその情報を入力してはいけないのかを伝えるほうが定着します。 機能の変更も頻繁なため、一度きりではなく定期的な機会を設けてください。
組織全体への展開については法人向け生成AI研修で扱っています。
全面禁止か条件付き許可かをどう判断するか
経営判断として最も迷うのがこの部分です。判断材料を整理します。
全面禁止が招くこと
禁止という判断は、一見すると安全です。ただし前述のとおり、手元の端末からは使えてしまいます。結果として、把握できない利用だけが残るという状態になりかねません。
総務省の令和7年版 情報通信白書によると、生成AIを活用する方針を定めている日本企業は49.7%で、米国の84.8%や中国の92.8%と開きがあります。導入時の懸念として「社内情報の漏えい等のセキュリティリスク」は上位に挙がっていますが、最も多かったのは「効果的な活用方法がわからない」でした。
条件付き許可の設計
現実的なのは、条件を付けたうえで認める形です。会社が契約したアカウントを配り、入力禁止の情報を定義し、相談先を決める。 この3点がそろえば、把握できない利用は大きく減ります。
扱う情報の機密度が特に高い業務については、対象から外すという線引きも併用できます。全社一律で決める必要はありません。
自社環境で動かすという選択肢
データを外部に出せない事情がある場合は、自社の環境内で処理する構成も検討できます。クラウド事業者が提供する基盤を経由する方法や、自社向けに仕組みを作る方法があります。
自社で開発する場合の考え方はClaude Agent SDKとは、外部に委託する場合の判断軸はAI受託開発の依頼先の選び方で扱っています。
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漏洩が疑われるときの初動
最後に、実際に問題が起きたと疑われる場合の動き方を整理します。事前に決めておくことで、判断が遅れるのを防げます。
何が入力されたかを特定する
最初に行うのは範囲の特定です。 いつ、誰が、どのアカウントで、どういう内容を入力したのか。法人向けの契約であれば管理画面から確認できますが、個人契約の場合は本人からの聞き取りに頼ることになります。
この差が、初動の速さを大きく左右します。契約形態を統一しておく理由の一つがここにあります。
公開状態になっていないか確認する
共有リンクを作成していた可能性がある場合は、設定画面で一覧を確認し、該当するものを解除します。検索結果に残っている場合は、検索エンジン側に削除を申請する手順もあります。
報告と再発防止
個人データが関係する場合、内容によっては個人情報保護委員会への報告と本人への通知が必要になります。該当するかどうかの判断は法務と相談してください。
あわせて、なぜ入力されたのかを確認します。ルールを知らなかったのか、知っていたが判断を誤ったのか。原因によって打つべき手は変わります。
まとめ
ChatGPTに関する情報漏洩は実際に起きていますが、原因は提供元の不具合、利用者の入力、共有機能の設定、アカウントの流出と多岐にわたります。まとめて語らず、原因別に対策を考える必要があります。
入力データの扱いはプランによって異なります。法人向けのプランとAPIは既定で学習に使われませんが、個人向けは設定を確認しなければ対象になり得ます。この違いを社内で共有することが、議論の出発点になります。
企業にとって最も大きいリスクは、会社が把握していないところで使われている状態です。禁止の通達ではこれは解決しません。 会社としてアカウントを配り、入力してはいけない情報を具体的に定義し、相談先を決める。この3点から着手してください。
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この記事の監修者
石丸真平
NEXTSCALE コンサルタント / AI活用・業務効率化支援
ワイヤー段階では、監修者名、肩書き、プロフィール本文、関連リンク、著者導線がどのように入るかを確認できる構成にしています。実装時には実際のプロフィール文や外部リンク、SNSアカウント情報などに差し替える想定です。

