Wan2.2とは?使い方・モデルの種類・ComfyUI導入・商用利用を解説

オープンソースの動画生成AIとして、2025年後半から2026年にかけて急速に注目を集めているのが「Wan2.2(ワン2.2)」です。Alibabaの通義(Tongyi)チームが公開した動画生成モデルで、テキストや静止画から高品質な動画を生成でき、Apache 2.0ライセンスで商用利用まで許可されています。

ローカル環境で動かせるオープンソース動画生成モデルとしては現状トップクラスの品質を持ち、ComfyUIとの組み合わせで実務利用が急速に広がっています。

本記事では、Wan2.2の基本特性から、モデル種類の選び方、ComfyUIでの導入手順、そして企業がビジネス活用する際の実務ポイントまで、体系的にまとめました。

確認したいポイント結論詳細
Wan2.2とは何?Alibaba発のオープンソース動画生成AIモデルMoEアーキテクチャで高品質と効率を両立し、テキスト・画像から動画を生成できるモデルです。
モデルの種類は?T2V-A14B・I2V-A14B・TI2V-5Bの3種類14B系は品質重視でハイエンドGPU向け、5B系は軽量で8GB VRAMでも動作します。
ComfyUIで使うには?公式Repackaged版を配置し公式ワークフローで動作Diffusion Model・VAE・Text Encoderを所定フォルダに配置すれば動作可能です。
商用利用はできる?Apache 2.0ライセンスで商用利用が可能個人・企業を問わず改変・再配布が可能。ライセンス表記の保持が条件です。

■ この記事でわかること

・Wan2.2の基本特性とMoEアーキテクチャによる強み

・3種類のモデル(14B系・5B系)の違いと選び方

・ComfyUIでWan2.2を導入する具体的な手順

・テキストから動画・画像から動画を生成する使い方の基本

・Apache 2.0ライセンスと企業でビジネス活用する際の注意点

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目次

Wan2.2(ワン2.2)とは?基本と特徴を押さえる

動画生成AIの領域では、商用のSoraやRunwayが先行してきましたが、「ローカル環境で動く高品質な動画生成モデル」の選択肢としてWan2.2が急速に存在感を高めています。ここでは、まずWan2.2の位置づけと特徴を整理します。

Wan2.2はAlibaba発のオープンソース動画生成モデル

Wan2.2は、Alibabaの通義(Tongyi)チームが2025年7月に公開した動画生成AIモデルです。前世代のWan2.1の後継にあたり、テキストから動画を生成するT2V(Text-to-Video)と、静止画から動画を生成するI2V(Image-to-Video)に対応しています。

ソースコードとモデルの重みはGitHubやHugging Faceで公開されており、Apache 2.0ライセンスのもと個人・企業を問わず自由に利用・改変・再配布できる点が最大の特徴です。オープンソースの動画生成モデルとしては異例の品質と、一般的なGPUでも動かせる現実的な動作要件を両立しており、ComfyUIユーザーを中心に広く採用されています。

商用のSora 2やRunwayなどのクラウドサービスに対し、Wan2.2はローカルで動かせる点で差別化されており、機密情報を含む映像素材を外部サービスに送信できない業種でも導入できるメリットがあります。金融・医療・製造業など、データガバナンスが厳格な業界での活用が期待されています。

MoEアーキテクチャによる高品質と効率の両立

Wan2.2の中核技術が、Mixture-of-Experts(MoE)アーキテクチャです。生成プロセスを「高ノイズ段階」と「低ノイズ段階」に分け、それぞれを専門のエキスパートモデルに担当させる仕組みで、初期の粗いノイズ除去は構図全体を担う高ノイズ側が、後半の細部の仕上げは低ノイズ側が担当します。

役割を分担することで、モデル全体の表現力を高めつつ、1ステップあたりの計算量を抑えられます。公式仕様では、14B系モデルは合計約27Bのパラメータを持ちながら、1ステップあたりにアクティブになるのは約14B(A14B=active 14B構成)に抑えられており、計算コストを大きく増やさずに表現力を高める設計になっています。

また、Wan2.2は学習データがWan2.1から大幅に拡張され、画像・動画データともに大きく増えたと公式発表されています。これにより、複雑な動きや多人数のシーンでも一貫性のある映像を生成しやすくなり、動画としての違和感が起きにくい設計に磨き上げられています。

シネマティックコントロールなど3つの中核機能

Wan2.2には、動画生成の実務で効いてくる3つの中核機能があります。第一に映画レベルの美学制御で、照明・色彩・構図の多次元的な視覚コントロールをサポートします。第二に大規模で複雑なモーションへの対応、第三に複雑なシーンや多オブジェクトの意図に沿った再現性です。

パン・ティルト・ドリーといったカメラワークもプロンプトで指定できるため、映像制作や広告クリエイティブの現場で使える表現力を備えています。

また、Wan-Bench 2.0という自社ベンチマークでは、主要な商用モデルを多くの項目で上回るスコアを記録しており、オープンソースでありながら商用モデルと肩を並べる品質を実現しています。動画の一貫性、モーションの自然さ、意図通りの構図再現など、複数の観点で高い評価を得ている点が実務利用の追い風となっています。

関連記事:動画生成AIランキング10選を比較|無料・商用利用の可否と用途別の選び方【2026年最新】

Wan2.2のモデル種類とVRAM要件

Wan2.2には用途別に複数のモデルが用意されており、GPU環境と目的に合わせて選ぶことが導入成功のポイントになります。ここでは3つのモデル構成と選び方を整理します。

3種類のモデル(T2V-A14B/I2V-A14B/TI2V-5B)

Wan2.2で提供されているモデルは、T2V-A14B(テキストから動画)、I2V-A14B(画像から動画)、TI2V-5B(両対応の統合型)の3種類です。14B系は品質重視のプロ向け、5B系は軽量で高速なプロトタイピング向けと役割が分かれています。

T2V-A14BとI2V-A14Bはどちらも480Pと720Pの両解像度で5秒の動画生成をサポートします。TI2V-5Bはテキスト・画像入力のどちらにも1つのモデルで対応でき、720P・24fps・5秒程度の動画を、14Bより軽い計算コストで生成できる設計です。

14Bと5BのVRAM要件と特徴の違い

14B系はハイエンドGPU向けで、A100・H100・RTX 6000 Adaなどの業務用GPU、あるいはRTX 4090級のコンシューマー向け最上位機種で快適に動作します。表現力は高い一方、24GB前後以上のVRAMが実質的に必要になります。

5Bモデル(TI2V-5B)はコンシューマー向けGPUでも動作可能で、ComfyUIネイティブのオフローディング機能を使えば8GB VRAM環境でも動作します。研究用途からプロトタイプ、社内トライアルまで幅広くカバーできます。

用途別のモデルの選び方

「まず手軽に試したい」「PoCで社内展開を検討したい」場合は、5BモデルのTI2V-5Bが第一候補です。テキスト・画像両方に対応する統合型のため、シンプルなワークフローで始められます。

「映像制作の品質を業務基準に引き上げたい」「マーケティング用の高品質動画を量産したい」場合は、14B系(T2V-A14BかI2V-A14B)を選ぶ流れが自然です。用途が定まっている場合はT2VかI2Vの単機能モデルを、両方使う可能性がある段階では5Bから入るのが実務での定石になります。

また、コミュニティ主導で公開されているGGUF形式の量子化版を使えば、14B系でもVRAM負荷を抑えて動かせるため、GPUのランクを一段上げずに14B系の品質を試せる選択肢もあります。予算とVRAM制約を天秤にかけて、社内展開の第一歩をどこに置くかを設計するのがおすすめです。

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関連記事:Vidu Q3とは?16秒音声付き動画生成の特徴・使い方・料金・商用利用を解説

ComfyUIでWan2.2を導入する方法

Wan2.2をローカル環境で動かす際、もっとも広く使われている方法がComfyUIでの実行です。公式のRepackaged版が用意されており、モデルファイルを所定の場所に配置すれば、公式ワークフローで動作します。

必要なファイル(Diffusion Model/VAE/Text Encoder)

ComfyUIでWan2.2を動かすには、Diffusion Model・VAE・Text Encoderの3つのファイルが必要になります。5Bモデルを使う場合は、`wan2.2_ti2v_5B_fp16.safetensors`(Diffusion Model)、`wan2.2_vae.safetensors`(VAE)、`umt5_xxl_fp8_e4m3fn_scaled.safetensors`(Text Encoder)が定番構成です。

これらはHugging FaceのComfy-Org公式Repackaged版から入手できます。14B系を使う場合は、high_noise用とlow_noise用の2つのDiffusion Modelが必要になる点も押さえておきましょう。

ComfyUIの基本操作から確認したい方は、ComfyUIの使い方と導入手順も併せて参照するとスムーズです。

モデルの配置場所とフォルダ構成

ダウンロードしたファイルは、ComfyUIのインストールフォルダ配下の「models/diffusion_models/」「models/vae/」「models/text_encoders/」に、それぞれ役割ごとに配置します。フォルダを間違えるとノードから見つけられず生成に失敗するため、公式ドキュメントの構成通りに配置するのが確実です。

配置後、ComfyUIを再起動してから、公式が配布しているWan2.2用のワークフローテンプレート(JSON)を読み込むと、必要なノードが自動で組まれた状態から始められます。

導入時につまずきやすい3つのポイント

Wan2.2の導入で起きがちなつまずきは、「モデル配置フォルダの誤り」「VRAM不足によるOOM(メモリ不足)」「ComfyUIバージョンの非対応」の3点です。

フォルダの誤りは公式ドキュメントを再確認すれば解決し、VRAM不足はオフローディングやfp8量子化版(GGUF形式)に切り替えることで軽減できます。バージョンの非対応は、ComfyUI自体を最新に更新すれば大半のケースで解消します。

特に14B系を使う場合、high_noise・low_noiseそれぞれのDiffusion Modelが必要になる点を見落としがちです。片方だけを配置してもワークフローが動かないため、公式配布のファイルセットを一括で揃えるのが安全策となります。

関連記事:Pikaで動画生成する方法|Pikaffects・Pikaframes等の機能と使い方を解説

Wan2.2で動画を生成する基本的な使い方

モデルの配置が終わったら、次は実際の動画生成に入ります。ここでは、テキストから動画(T2V)と、画像から動画(I2V)それぞれの流れを整理します。

テキストから動画(T2V)を生成する流れ

T2Vは、テキストプロンプトから動画を生成する基本的なモードです。公式ワークフローでは、Text Encoderノードでプロンプトを埋め込み、KSampler相当のノードで動画フレームを順に生成し、最後にVAEでデコードして動画に書き出す流れになります。

5Bモデルでは、T2V向けにもTI2V用のlatentノード(例:Wan22ImageToVideoLatent)を挟む形になっており、内部的にはimage-to-videoの特別ケースとして扱われる設計です。

プロンプトの書き方は品質に直結するため、生成AIのプロンプト設計基礎も併せて確認するとよいでしょう。

画像から動画(I2V)を生成する流れ

I2Vは、静止画を起点にして動画を生成するモードです。Load Imageノードで元画像を読み込み、Wan2.2のI2V専用ノードに渡してテキストプロンプトと組み合わせて動きを付ける流れになります。

写真1枚から短尺の動画を作りたい場合や、既存のキービジュアルを動画化してSNSに転用したい場合など、実務での使い勝手が高いモードです。14B系のI2V-A14Bは非現実的なカメラの動きを低減し、より安定した動画合成を実現する改良が入っており、業務品質の映像に近づけます。

既存の商品写真やロケ地の一枚画像を起点に、短尺の広告動画を素早く量産できるため、A/Bテスト用のクリエイティブを大量に用意したいマーケティング部門との相性がよいモードです。

マーケティング活用の全体像は、画像生成AIのマーケティング活用事例も併せて参考にしてください。

プロンプト設計と品質を高めるコツ

動画生成のプロンプトは、静止画よりも「時間的な変化」を明示することが重要です。カメラワーク(パン、ドリー、ズーム)、被写体の動作、光や色調の変化を具体的に記述すると、意図に近い映像が得られやすくなります。

また、16fpsで保存するとスローモーション気味の動画になることがあるため、24fpsで書き出すか、コマ落としで調整するとナチュラルな動きになります。パラメータの調整とプロンプトを繰り返して、社内で「効くパターン」を蓄積していくのがおすすめです。

テンプレート化を進める際は、成功したプロンプトと生成結果のセットを社内Wikiに記録し、誰でも同水準の動画を再現できる状態にしておくと属人化を防げます。特定の担当者しか使いこなせない状態は、AI活用の広がりを阻害するボトルネックになりやすいため、初期段階から共有の仕組みを設計するのがおすすめです。

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Wan2.2の商用利用と企業活用のポイント

企業でWan2.2を使う場合、ライセンスの取り扱いと、業務プロセスへの組み込み方が実務での成否を分けます。ここでは、押さえておくべき論点を整理します。

Apache 2.0ライセンスと商用利用の考え方

Wan2.2シリーズのモデルは、Apache 2.0オープンソースライセンスに基づいて公開されており、商用利用がサポートされています。個人・企業を問わず、モデルを自由に使用・改変・配布でき、著作権表示とライセンステキストを保持する条件だけを満たせば、商用目的でも問題なく利用できます。

Apache 2.0はコピーレフト条項を持たない緩やかなライセンスのため、Wan2.2を自社のクローズドなサービスに組み込んで顧客に提供するケースでも、ソースコード開示の義務は発生しません。SaaS事業への組み込みやカスタム開発の柔軟性が高く、企業活用の選択肢を広げやすいライセンス設計となっています。

ただし、生成した動画コンテンツを外部公開する場合は、日本国内のAI事業者向けの指針も参照しておくと安心です(参考:AIセーフティ・インスティテュート(AISI Japan))。生成AI活用のリスク管理を体系的に学ぶ場としても有用な公的リソースです。

業務での動画制作フローへの組み込み

Wan2.2を業務に組み込む際は、「企画→プロンプト設計→生成→レビュー→書き出し」の一連のフローを標準化することが重要です。属人的な運用では品質が安定せず、社内での再現性も担保できません。

特に動画は静止画に比べてレビュー工数が大きくなるため、生成の段階から「レビュー観点のチェックリスト」を用意しておくと効率的です。ブランドトーンとの整合、動きの自然さ、権利物の映り込みなど、事前に基準を明文化しておくことで、レビュー往復による品質のブレを抑えられます。

特に、法務・広報レビューの工程をフローに組み込むことで、権利侵害やブランド毀損のリスクを事前に低減できます。AI活用と著作権の実務論点も参照しながら、社内ルールを整えるのがおすすめです。

属人化を防ぐノウハウ蓄積と伴走支援

Wan2.2に限らず、動画生成AIの活用は特定の担当者に依存すると継続性が損なわれます。プロンプト、モデル、ワークフローの3点セットを社内テンプレートとして共有し、担当者が交代しても運用が崩れない体制を作ることが、AX(AIトランスフォーメーション)の本質的なゴールになります。

社内定着には、研修と現場での伴走支援を組み合わせるアプローチが有効です。ガバナンスの詳細は社内AIガバナンス構築のポイント、育成の詳細は企業向けAI研修の設計ポイントを併せて確認するとよいでしょう。

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まとめ

Wan2.2は、Alibaba発のオープンソース動画生成AIモデルとして、Apache 2.0ライセンスの下で個人・企業問わず商用利用できる貴重な選択肢です。MoEアーキテクチャによる高品質と効率の両立、ComfyUIとの相性の良さから、動画クリエイティブの内製化を検討する企業にとって現実的な導入先となっています。

モデルは用途とGPU環境に合わせて、5B系と14B系を使い分けるのが基本です。まずは軽量なTI2V-5Bで検証し、業務用途が固まった段階で14B系に発展させる進め方がリスクを抑えられます。

単なるツール導入ではなく、業務プロセスに組み込むためのフロー設計と社内定着まで含めて描くことが、Wan2.2を事業成果につなげる近道です。導入設計から人材育成、ガバナンス構築までを含めた伴走支援を活用すれば、社内展開の失敗リスクを大幅に下げられます。

動画生成AIの領域は進化のスピードが速く、後継モデルや新しい派生プロダクトが次々と登場します。特定のバージョンに固定せず、常に最新動向をキャッチアップできる社内体制を持つことが、長期的な競争力に直結します。まずは小さくWan2.2で成果を出し、そこから活用の幅を広げる進め方が現実的です。

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この記事の監修者

石丸真平

石丸真平

NEXTSCALE コンサルタント / AI活用・業務効率化支援

NEXTSCALEのコンサルタントとして、生成AI活用、業務効率化、DX推進に関する支援を担当する想定のプロフィールエリアです。業務整理からツール選定、導入設計、社内定着までを一気通貫で支援する人物紹介として使用します。

ワイヤー段階では、監修者名、肩書き、プロフィール本文、関連リンク、著者導線がどのように入るかを確認できる構成にしています。実装時には実際のプロフィール文や外部リンク、SNSアカウント情報などに差し替える想定です。
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