システム開発のAI活用とは?工程別の使いどころ・ツール・進め方と注意点を解説

システム開発の現場では、コーディング支援ツールが定着し、テストや保守の工程にもAIの利用が広がっています。一方で、「どの工程で、どこまで任せてよいのか」がはっきりせず、個人の裁量に委ねたままになっている企業は少なくありません。

背景にあるのは人材の問題です。経済産業省の試算では、2030年に国内で最大約79万人のIT人材が不足するとされています。限られた人数でこれまで以上の開発量をこなす手段として、AI活用への期待が高まっているという状況です。

ただし、ツールを配っただけでは効果は出ません。効果が出ている企業は、工程ごとに任せる範囲を決め、確認の手順を用意し、使った結果を測るところまで設計しています。ここが抜けると、品質のリスクだけが増えます。

この記事では、システム開発のAI活用について、工程別の使いどころ、ツールの選び方、導入の進め方、注意点までを順に整理します。まずは要点を4つの質問で確認してください。

確認したいポイント結論詳細
システム開発のAI活用とは?各工程にAIを組み込む開発手法要件定義から運用保守までの人的作業をAIが補助し、工数削減と品質の安定を同時に狙う進め方です
どの工程で効果が出やすい?コーディングとテスト工程反復作業が多く成果を検証しやすいため、まずこの2工程から着手する企業が多くなっています
どの程度まで任せられる?人が確認する前提で補助として使う生成物には誤りが混ざるため、レビューを挟まずに本番へ反映する運用は現時点では成立しません
導入で最初にやることは?工数の可視化と利用ルールの整備どの作業に時間がかかっているかを把握し、入力してよい情報の範囲を先に決めておきます

この記事でわかること

  • システム開発のAI活用と、AIそのものを作る開発との違い
  • 要件定義から運用保守まで、工程別に効果が出やすい使いどころ
  • コーディング支援や検証支援など、主なツールの種類と選ぶ基準
  • 品質・セキュリティ・著作権の面で押さえておくべき注意点
  • 社内に定着させるための5つのステップと、内製と外注の判断軸
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目次

システム開発のAI活用とは

システム開発のAI活用とは、要件定義・設計・実装・テスト・運用保守という各工程にAIを組み込み、開発の速度と品質を同時に高める取り組みを指します。AIがシステムを丸ごと作るのではなく、各工程の人的作業をAIが補助して加速させる構造である点が出発点になります。

ここでは、この取り組みの範囲、よく混同される「AI開発」との違い、そしてエンジニアの役割の変化という3点から、言葉の中身を具体化していきます。

AIを活用したシステム開発の範囲

対象になるのは、開発の全工程です。議事録の要約や設計書のたたき台づくりといった上流の作業から、コードの生成、テストケースの作成、障害ログの分析まで、人が手を動かしていた部分の多くが対象になります。

中心となる技術は生成AI、とくに大規模言語モデル(LLM)です。自然言語での指示からコードや文書を作れるようになったことで、開発作業とAIの接点が一気に増えました。

ただし、現時点では補助ツールとしての位置づけが実態に近いといえます。生成物を人が確認して修正する工程は前提であり、AIと人の役割を分けたうえで組み合わせることが、効果を出すための条件になります。

AI開発との違い

混同されやすいのが「AI開発」との違いです。AI開発はAIそのものを作る取り組みで、需要予測や画像認識の仕組みを構築することを指します。一方のAI活用は、AIを道具として使い、通常のシステムを作る取り組みです。

必要になるものも異なります。AI開発では学習用のデータとモデルを扱う人材が要りますが、AI活用ではツールの導入と、それを使いこなす既存のエンジニアが中心になります。

着手のしやすさにも差があります。AI活用は既存の開発体制のまま始められるため、社内でAIの効果を確かめる最初の一歩としても取り組みやすい領域です。

AIそのものを作る側の進め方については、NextScaleのコラムでも取り上げています。

エンジニアの役割はどう変わるか

最も大きな変化は、役割が「書く人」から「判断する人」へ移っている点です。コードを打つ速度よりも、AIの出力が要件を満たしているかを見抜く力、そしてAIに正しく指示を出す力の比重が上がっています。

とくに難しいのが、一見正しく見える誤りの検出です。動作するものの要件を微妙に外しているコードは、機械的なテストでは見つかりにくく、仕様を理解した人の目が必要になります。

この変化を踏まえると、若手の育成方針も見直しが必要です。実装量をこなす経験だけでなく、設計意図を言語化する訓練やレビューの経験を早い段階で積ませる進め方が効いてきます。

関連記事:AI開発とは?種類・流れ・費用相場・必要なスキルと成功のポイントを解説

システム開発でAI活用が広がっている背景

AI活用が短期間で広がった理由は、技術の進歩だけではありません。人材の不足、生成AIの実用化、開発サイクルの短縮という3つの流れが同時に重なったことが普及を後押ししています。

それぞれが自社にどう当てはまるかを確認しておくと、導入の目的を定めやすくなります。

IT人材の不足が続いている

経済産業省の調査では、IT人材の需給ギャップは2030年に最大で約79万人まで広がると試算されています。採用で解決できる規模を超えているため、1人あたりの生産量を引き上げる手段が現実的な選択肢になります。

情報処理推進機構(IPA)の調査でも、DXを推進する人材が不足していると回答した日本企業は85.1%にのぼりました。米国やドイツと比べても高い水準です。

この状況では、外部への委託を増やしても根本的な解決にはなりません。既存メンバーの作業効率を高める取り組みが、並行して必要になります。

生成AIが実務で使える水準に達した

2022年末以降の大規模言語モデルの進歩により、自然言語の指示からコードや文書を作れる精度が実務水準に届きました。それ以前のバグ検出ツールなどとは、使える場面の広さが大きく異なります。

加えて、開発環境に統合された形で使えるツールが増えたことも普及を後押ししました。エディタ上で補完が働く形になったため、作業の流れを止めずに使えます。

さらに近年は、指示を受けて複数の作業を自律的に進めるエージェント型のツールも登場し、任せられる範囲が段階的に広がっています。

開発サイクルの短縮が求められている

アジャイル開発の普及により、リリースの間隔が短くなりました。短い周期で作って出すことが前提になると、設計書の作成やテストコードの整備といった付随作業が相対的に重くなります。

この付随作業こそAIが得意とする領域です。反復性が高く、判断の余地が小さい作業から任せていくことで、開発の周期を短く保ちながら品質を維持しやすくなります。

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関連記事:AI開発のフロー|4フェーズの流れと判断基準・役割分担・契約の進め方を解説

工程別に見るAIの使いどころ

AIの効果は工程によって大きく変わります。判断の余地が小さく反復性の高い工程ほど効果が出やすく、業務知識や顧客との対話が必要な工程ほど効果は限定的になります。

ここでは、主要な5つの工程それぞれについて、具体的な使いどころと限界を整理します。

要件定義・設計工程

この工程では、打ち合わせ内容の要約、設計書のたたき台の作成、記載内容のチェックが主な使いどころです。要件定義書のあいまいな表現、抜け漏れ、前後の矛盾をAIが一括で検出し、修正案を提示する使い方は効果が出やすい部分です。

基本設計書と詳細設計書の整合性確認も同様です。人が目視で突き合わせていた作業を機械的にチェックできれば、下流工程での手戻りを減らせます。

一方で、この工程は業務知識と顧客との対話が欠かせないため、AIだけで完結させることはできません。AIが作ったたたき台や検出した問題を、業務を理解した担当者が判断する流れが前提になります。

コーディング・実装工程

現時点で最も実用化が進んでいる領域です。自然言語での指示からコードを生成する、入力途中のコードを補完する、既存コードの改善案を出すといった使い方が定着しています。

定型的な処理やテンプレート的なコードでは、体感できる水準で作業時間が縮まります。使い慣れていない言語やフレームワークを扱うときの調べ物が減る点も、実務上の効果として大きい部分です。

ただし、生成されたコードがそのまま使えるとは限りません。AIが「おおむね合っているコード」を素早く出し、エンジニアがレビューして整える協働の形が、現実的な使い方になります。

また、生成量が増えるとレビューの負荷も増えます。コード生成の効率化とレビュー体制の強化はセットで考える必要があります。

テスト工程

テストは開発工数の3〜4割を占めるとされ、自動化の効果が大きい工程です。テストケースの作成、テストコードの生成、回帰テストの自動化といった作業を効率化できます。

とくに単体テストやAPIテストのコード生成は精度が高く、人が見落としやすい境界値のケースを拾える点も利点です。実装コードとテストコードをセットで生成させると、生成物の誤りを早い段階で検出しやすくなります。

一方、業務フロー全体を確認するシステムテストや受け入れテストは、業務知識が必要なためAI単独では難しい領域です。テスト設計の上流は人が担い、コードの作成や実行、結果の集計といった反復作業をAIに任せる分担が現実的です。

運用・保守工程

運用フェーズでは、障害ログからの異常検知、インシデント対応の手順提示、仕様の問い合わせ対応、ドキュメントの更新が主な使いどころです。膨大なログから異常を見つけて対応手順を提示する仕組みは、監視担当者の負荷を直接的に軽減します。

RAG(検索拡張生成)を使い、社内ドキュメントを参照して仕様の質問に答える仕組みも広がっています。特定の担当者しか答えられない状態の解消につながる点が評価されています。

保守は工数が膨らみやすく、人材不足の影響を受けやすい領域です。ここを圧縮できれば、余力を新規開発に振り向けられます。

既存システムの調査・移行

長年運用してきたシステムのソースコードを解析し、処理の流れを可視化して文書化する使い方も効果が大きい領域です。設計書が残っていないシステムの解析は従来なら数か月かかる作業でしたが、依存関係の把握を短期間で進められます。

刷新や移行の検討では、まず現状を正しく把握することが出発点になります。ここに時間がかかりすぎてプロジェクトが進まないケースは多く、その前提を崩せる点に価値があります。

ただし、大規模なシステムでは全体の文脈をAIが把握しきれないことがあります。モジュール単位に区切って解析し、結果を人が突き合わせる進め方が安全です。

関連記事:AI開発のやり方|5ステップの手順と必要なスキル・環境・失敗しない進め方を解説

AI活用で使われる主なツールの種類

ツールは大きく3種類に分けられます。それぞれ得意な場面が異なるため、1つに絞るのではなく、工程に応じて使い分ける前提で選ぶことが実務的です。

ここでは種類ごとの特徴と、選定時に見るべき判断軸を整理します。

コーディング支援ツール

開発環境に組み込んで使うタイプです。コードの補完、指示にもとづく生成、既存コードの説明や改善提案を、作業の流れを止めずに行える点が特徴になります。GitHub CopilotやCursorなどが代表的です。

近年は、リポジトリ全体を読み取って複数ファイルにまたがる変更を提案するタイプも増えています。単発のコード生成にとどまらない使い方ができるようになってきました。

選定では、対応する開発環境、扱えるコードの範囲、そして入力内容が学習に使われるかどうかを確認します。

対話型の生成AIサービス

ブラウザやアプリから使う汎用のサービスです。設計方針の検討、エラー原因の切り分け、ドキュメントの作成、技術調査など、コードを書く以外の作業で幅広く使えます。

導入のハードルが低く、まず社内でAI活用の効果を確かめたい段階に向いています。ただし汎用サービスであるため、業務データを扱う際は法人向けの契約形態を選ぶことが前提になります。

自社のドキュメントを参照させたい場合は、RAGを組み合わせた社内向けの環境を用意する構成が候補になります。

テスト・レビュー支援ツール

品質面に特化したタイプです。テストケースの自動生成、コードレビューの補助、脆弱性の検出などを担い、人によるチェックのばらつきを抑える役割を果たします。

レビューの負荷が増えている組織では、1次チェックをツールに任せ、人は設計意図との整合性の確認に集中する分担が効果的です。

ツールを選ぶときの判断軸

比較すべき軸は次の4つです。とくにデータの取り扱いは、導入後に変更しにくい部分なので最初に確認してください。

判断軸確認する内容見落としやすい点
データの取り扱い入力内容が学習に使われるか、保存場所はどこか個人向けプランと法人向けで条件が違う
対応範囲どの工程・どの言語や環境に対応するか既存の開発環境と組み合わせられるか
管理機能利用状況の把握、権限管理、ログの取得ができるか全社展開の段階で必要になる
費用と効果1人あたりの月額と、削減できる工数の見込み試用期間で効果を測れる設計にする

いきなり全社で決める必要はありません。少人数で試用して効果と課題を確認し、そのうえで展開範囲を広げる進め方が、結果的に無駄が少なくなります。

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システム開発にAIを活用するメリット

効果は開発スピードだけにとどまりません。品質、ナレッジの継承、内製化の推進といった面にも波及するため、自社の課題に照らしてどこを狙うかを決めておくと投資判断がしやすくなります。

ここでは代表的な4つのメリットを整理します。

開発スピードの向上とコストの圧縮

コード生成、テストコードの作成、ドキュメント整備といった反復作業の工数を直接的に減らせます。単純工数が積み上がる大規模プロジェクトほど、削減幅は大きくなります。

工数の削減はコストに跳ね返るだけでなく、リリースまでの期間短縮にもつながります。市場に出すタイミングが早まることの価値は、開発費の削減額を上回る場合もあります。

ただし、削減した工数をそのまま人員削減に振り向ける発想では効果が限定的です。空いた時間を設計品質の向上やレビューの強化に再投資する設計にすると、全体の底上げにつながります。

品質のばらつきを抑えられる

人によるチェックは、疲労や経験の差によって精度がばらつきます。AIは一定の基準で機械的に確認するため、担当者による判断の差を小さくできます。

複数のメンバーが作成した設計書を統一した基準で確認したり、危険なコードのパターンを生成の段階で検出したりする使い方は、品質を底上げする方向に働きます。

人の目とAIのチェックは代替関係ではなく補完関係です。両方を通す前提で工程を組み直すことが、品質面の効果を引き出す条件になります。

属人化の解消とナレッジの継承

設計書が残っていない、特定の担当者しか仕様を把握していないという状態は、多くの現場に共通する課題です。コードから処理の流れを文書化する、社内ドキュメントを参照して質問に答える仕組みを作るといった使い方は、この状態を直接的に改善します。

保守フェーズで問い合わせ対応に追われている担当者の負荷が下がるほか、引き継ぎにかかる期間の短縮にもつながります。

内製化を進めやすくなる

AIの支援によって、経験の浅いメンバーでも一定の水準のコードを書けるようになります。外部への委託に頼らず、社内でシステムを作り、改修できる体制に近づける手段としても機能します。

内製化が進めば、コストだけでなく、仕様変更への対応速度も上がります。事業部門の要望を短い周期で反映できる体制は、そのまま競争力につながります。

ただし、AIが出したコードを読み解いて修正できる人材がいることが前提です。この力を育てないまま内製化を進めると、中身を誰も把握していないシステムが残ることになります。

AI活用で注意すべきこと

効果と同じくらい、事前に把握しておくべき制約もあります。導入後に問題が表面化するケースの多くは、ここで挙げる4点の準備不足に起因します。

順に確認していきます。

出力の確認は人が担う

AIの生成物には、事実と異なる内容、脆弱性を含むコード、仕様の誤解釈が混ざります。出力されたコードや設計書は完成品ではなく、人が確認して初めて使えるものだという前提を、組織として共有しておく必要があります。

厄介なのは、精度が高いがゆえに誤りを見抜きにくい点です。動作するものの要件をわずかに外しているコードは、通常のテストを通過してしまうことがあります。

対策は、AIに任せる範囲と人が判断する範囲を明文化することです。加えて、生成物には必ずレビューを通す手順を工程に組み込んでおきます。

情報セキュリティと入力ルール

外部のAIサービスを使う場合、入力した内容が学習に使われるリスクや、通信経路でのデータ漏えいのリスクを考慮する必要があります。設計書やソースコードには業務ロジックや顧客情報が含まれることがあるため、何を入力してよいかを社内ルールとして定めることが先決です。

確認すべきは、各サービスのデータ利用条件、保存場所、契約形態です。法人向けプランでは入力内容を学習に使わない設定が用意されていることが多く、まずここを押さえます。

機密性が特に高いシステムを扱う場合は、社内ネットワーク内で完結する環境を構築する選択肢もあります。リスクの許容範囲に応じて導入方式を選ぶ判断が求められます。

著作権とライセンスの扱い

AIが生成したコードが、既存のコードと似た形になる可能性は否定できません。とくに公開されているコードを学習しているツールでは、ライセンス条件に抵触しないかを確認する仕組みが必要です。

一部のツールには、公開コードと一致する提案を除外する設定が用意されています。導入時にこうした機能の有無を確認し、有効にしておくことが基本的な対策になります。

また、成果物の権利関係を発注者と受注者のどちらが持つのかも、契約段階で整理しておくべき点です。

向き不向きのある領域

すべての開発領域で同じ効果が出るわけではありません。汎用的な処理や要件が明確なシステムは相性がよい一方、業務固有の複雑なロジックや、高い信頼性が求められるシステムでは適用範囲を絞る必要があります。

金融や医療のように法規制への対応が厳格な領域では、生成物への依存度を慎重に管理する運用が求められます。大規模な既存システムの改修でも、全体の文脈を把握しきれないことが品質リスクにつながります。

現実的なのは、「この工程のこの作業に使う」という範囲を決めて段階的に広げる進め方です。一度にすべてを任せようとせず、効果が出やすい工程から試し、社内に経験を蓄積していきます。

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AI活用を社内に定着させる進め方

ツールを配っただけでは、使う人と使わない人に分かれて終わります。定着している組織は、現状把握から効果測定までを一連の流れとして設計しています。

ここでは、5つのステップに分けて進め方を整理します。

現状の工数を可視化する

最初にやるべきは、どの工程にどれだけ時間がかかっているかの把握です。ここが分かっていないと、AIを入れた後で効果を測れず、次の投資判断ができません。

工程別の工数、手戻りの発生箇所、レビューにかかっている時間などを、直近のプロジェクトから拾い出します。細かい精度は不要で、比較できる粒度がそろっていれば十分です。

この作業を通じて、AIを入れるべき優先順位も見えてきます。時間がかかっていて、かつ反復性の高い作業が最初の候補になります。

効果の出やすい工程から試す

最初の対象は、コーディングかテスト工程から選ぶのが定石です。反復作業が多く、効果を数値で確認しやすいため、社内での合意を得る材料をつくりやすくなります。

対象は1チーム、期間は1〜3か月程度に区切ります。範囲を狭くすることで、うまくいかなかった場合の損失を抑えられ、方針の見直しもしやすくなります。

このとき、何をもって成功とするかを先に決めておきます。基準がないまま試用を続けると、結論が出ないまま時間が過ぎていきます。

利用ルールを整える

試用と並行して、社内ルールを文書にします。入力してよい情報の範囲、使ってよいツール、生成物のレビュー手順、権利関係の扱いという4点を最低限カバーしてください。

ルールがないまま利用が広がると、機密情報が外部サービスに入力される事態が起こり得ます。逆に、禁止だけを並べると使われなくなるため、使える範囲を明示する書き方が有効です。

ルールは一度作って終わりではありません。ツールも規約も変化するため、定期的に見直す前提で運用します。

効果を測って範囲を広げる

試用の期間が終わったら、事前に決めた基準に照らして結果を確認します。測るべきは工数の削減量だけでなく、手戻りの発生率やレビューにかかった時間も含めた全体の変化です。

コーディングが速くなってもレビューの負荷が増えて全体では変わっていない、という結果もあり得ます。工程単位ではなく全体で見ることが、正しい判断につながります。

効果が確認できたら、対象チームや工程を段階的に広げます。このとき、先行チームで得た知見を共有する仕組みをあわせて用意しておくと展開が速くなります。

メンバーのスキルを引き上げる

定着の最後の要素は人です。AIに適切な指示を出す力と、出力を批判的に確認する力の2つを、チーム全体で引き上げる必要があります。

この力は個人の試行錯誤だけでは差が開きます。うまく使えているメンバーの指示の出し方を共有する場や、研修の機会を設けることで、チーム全体の水準をそろえられます。

AI活用は導入して終わりではなく、使い方を継続的に磨いていく取り組みです。この視点があるかどうかで、半年後の差が大きくなります。

内製で進めるか外部の支援を受けるか

AI活用の推進は、社内だけで進める方法と、外部の支援を受ける方法があります。どちらが優れているという話ではなく、社内に判断できる人材がいるかどうかで適した進め方が変わります。

それぞれの前提と確認点を整理します。

内製で進めるときの前提

社内にツールの評価ができるエンジニアがいて、開発工程を見直す権限を持つ責任者がいれば、内製で進められます。自社の開発プロセスを理解している分、適用箇所の見極めが速い点が利点です。

一方で、他社の事例や失敗のパターンが手元にないため、遠回りをしやすい面もあります。情報収集にかける時間も含めて計画に織り込んでおく必要があります。

また、推進役が通常業務と兼務になると進まなくなるケースが多く見られます。時間を確保できる体制を作れるかが実質的な分岐点です。

外部の支援を受けるときの確認点

短期間で立ち上げたい場合や、社内に推進役を置けない場合は外部の支援が向きます。確認すべきは、ツールの導入だけでなく、利用ルールの整備や社内定着まで支援範囲に含まれているかどうかです。

導入支援だけで終わる契約では、数か月後に使われなくなるリスクが残ります。研修や効果測定まで一貫して伴走できる相手を選ぶことが、定着の確度を上げます。

あわせて、自社と近い規模・業種での支援実績も確認しておくとよいでしょう。開発体制の規模が違うと、有効な進め方も変わってきます。

AI活用を担う人材の育成については、NextScaleのコラム一覧でも関連する記事を公開しています。

まとめ

システム開発のAI活用とは、要件定義から運用保守までの各工程にAIを組み込み、人的作業を補助することで開発の速度と品質を高める取り組みです。AIそのものを作るAI開発とは異なり、既存の開発体制のまま着手できる点が特徴になります。

効果が出やすいのはコーディングとテスト工程で、要件定義や受け入れテストなど業務知識が必要な領域では補助にとどまります。生成物には必ず人のレビューを通す前提を置き、入力してよい情報の範囲を社内ルールとして定めておくことが導入の条件です。

進め方としては、まず工程別の工数を把握し、効果の出やすい1チーム・1工程から試し、ルールを整え、結果を測ってから範囲を広げる順序が確実です。あわせて、AIに指示を出す力と出力を確認する力をチーム全体で引き上げていくことが、半年後の差につながります。

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出典:経済産業省「IT人材需給に関する調査(IT人材等育成支援のための調査分析事業)」 https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/houkokusyo.pdf

出典:情報処理推進機構(IPA)「DX動向2025」 https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-trend/dx-trend-2025.html

この記事の監修者

石丸真平

石丸真平

NEXTSCALE コンサルタント / AI活用・業務効率化支援

NEXTSCALEのコンサルタントとして、生成AI活用、業務効率化、DX推進に関する支援を担当する想定のプロフィールエリアです。業務整理からツール選定、導入設計、社内定着までを一気通貫で支援する人物紹介として使用します。

ワイヤー段階では、監修者名、肩書き、プロフィール本文、関連リンク、著者導線がどのように入るかを確認できる構成にしています。実装時には実際のプロフィール文や外部リンク、SNSアカウント情報などに差し替える想定です。
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