建設DXとは?進まない理由と工程別の活用領域・進め方を解説【2026年最新】

建設業では、人を増やして残業でこなすという従来のやり方が成り立たなくなっています。国土交通省が2026年2月に公表した公共工事設計労務単価は、全国全職種の加重平均で25,834円となり、14年連続の上昇で初めて25,000円を超えました。

一方で就業者数はピーク時の685万人から483万人まで減り、55歳以上が36.7%を占める構成になっています。人手が減り、単価が上がり、労働時間には上限が課された状態で、これまでと同じ工事量をこなすには一人あたりの生産性を上げるしかありません。

本記事では、建設DXの定義から、避けられない構造的な理由、国が示す目標と制度、工程別の活用領域、進まない原因、そして中小建設会社が取れる現実的な手順までを整理します。技術の紹介ではなく、何から着手すべきかの判断材料としてお読みください。

確認したいポイント結論詳細
建設DXとは何を指す?現場と管理をデータでつなぐ変革測量から設計、施工、維持管理までのデータを活用し、少ない人数で回る体制に変えることを指します。
なぜ今必要なのか?人を増やす前提が崩れたため就業者は685万人から483万人へ減少。55歳以上が36.7%を占め、29歳以下は11.7%にとどまります。
国はどこまで求めている?2040年度に省人化3割が目標国土交通省のi-Construction 2.0では、生産性を1.5倍に高めることが公式な目標とされています。
何から着手すればいい?1工程に絞った可視化から全社で業務を見直している企業ほど成果が出ています。効果を数字で示せる工程から始めるのが定石です。

この記事でわかること

・建設DXの定義と、ICT施工やBIM/CIMとの関係

・就業者数や労務単価のデータで見る、避けられない構造的な理由

・国が示す2040年度までの目標と、対応が求められる制度

・測量から維持管理まで、工程別に効く7つの活用領域

・進まない4つの原因と、中小建設会社が取れる現実的な手順

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目次

建設DXとは現場と管理をデータでつなぐ変革

言葉の範囲をそろえておく必要があります。建設DXはドローンやICT建機の導入と同義で語られることが多く、この理解のままでは投資対効果を判断できません。ここでは定義と、近い概念との線引きを整理します。

対象になるのは現場だけではない

建設DXは、測量、調査、設計、積算、施工、施工管理、維持管理という一連の流れで生まれるデータをつなぎ、少ない人数で回る体制へ変えていく取り組みを指します。

現場の作業を機械に置き換えることだけを意味する言葉ではありません。見積作成、原価管理、書類作成、写真整理といった本社側と現場事務所の業務も対象に含まれます。むしろ、こちらのほうが着手のハードルは低くなります。

現場だけを見ていると、大規模な設備投資が必要という結論になりがちです。工程全体を見渡したうえで、どこに時間が奪われているかを特定するところから始めるほうが現実的です。

ICT施工・BIM/CIMとの関係

混同されやすいのがICT施工やBIM/CIMとの関係です。ICT施工は、測量から施工、検査までの各段階でICTを活用する取り組みを指し、建設DXを構成する要素の1つにあたります。

BIM/CIMは、3次元モデルに属性情報を持たせて、設計から施工、維持管理までデータを引き継ぐ考え方です。国土交通省の直轄工事では2023年度から原則適用が始まっており、公共工事に関わる企業にとっては避けて通れない領域になっています。

どちらも手段であって目的ではありません。3次元モデルを作っただけで後工程に渡らなければ、作成の手間が増えただけという結果になります。データをどこへ渡すのかを決めてから着手する必要があります。

単なる機械化との違い

分かれ目は、そこで生まれたデータが次の判断に使われているかどうかです。ドローンで測量しても、出てきた点群データが設計や施工計画に接続されていなければ、従来の測量を置き換えただけになります。

同じ機器を導入しても、成果が出る企業と出ない企業に分かれるのは、この接続を設計しているかどうかの差です。機器の性能ではなく、業務の流れをどう組み替えるかが問われます。

投資を検討する際は、その機器で得たデータを誰がどう使うのかを先に決めてください。使い道が決まっていない段階での購入は、稼働率が上がらないまま終わります。

関連記事:生産性向上×DXの関係とは?デジタル化との違い・施策5選・中小企業の成功事例を解説

建設DXが避けられない3つの理由

なぜ今なのか。社内で必要性を説明する際の根拠を、人材、コスト、制度の3つの側面から整理します。いずれも数年で解消する見込みが薄い構造的な要因です。

就業者の減少と高齢化

最も深刻なのが人材の問題です。国土交通省が総務省の労働力調査をもとに算出した数値によると、建設業の就業者数は1997年の685万人から2010年に504万人、2023年には483万人まで減少しました。

年齢構成はさらに厳しい状況です。建設業就業者のうち55歳以上が36.7%を占める一方、29歳以下は11.7%にとどまります。全産業の55歳以上32.4%、29歳以下16.9%と比べると、高齢化の進行と若手の少なさが際立ちます。

とくに現場を支える技能者は、1997年の455万人から2023年には304万人まで減りました。今後10年で相当数が引退する見通しであり、採用だけで補える規模を超えています。

労務単価の上昇で人件費の構造が変わった

2つ目がコスト面です。国土交通省が2026年2月17日に公表した公共工事設計労務単価は、全国全職種の加重平均で25,834円となり、初めて25,000円を超えました。

14年連続の上昇であり、前年度からの伸び率は全国全職種の単純平均で4.5%です。技能者の賃金改善が進んでいることの表れですが、発注側から見れば工事原価の上昇を意味します。

さらに押さえておきたいのが、この単価に事業主が負担する必要経費が含まれていない点です。法定福利費や労務管理費、安全管理費などを加えると、労働者1人を雇用する際の実際の費用は38,234円と、単価の148%に相当する水準になります。

時間外労働の上限規制

3つ目が制度面です。建設業には2024年4月から時間外労働の上限規制が適用され、原則として月45時間、年360時間という上限が課されました。

これにより、繁忙期に残業で調整するという従来のやり方が使えなくなりました。工期の設定、人員の配置、書類作成の効率が、法令遵守の観点からも問われるようになっています。

人が減り、単価が上がり、労働時間には上限がある。この3つが同時に成立している以上、一人あたりの生産性を上げる以外に選択肢は残されていません。建設DXが経営課題として扱われるのは、この構造があるためです。

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関連記事:営業DXコンサルの選び方とは?4つのタイプ・費用相場・失敗しない選定ポイントを解説

国が示す目標と対応が求められる制度

建設DXは民間の判断だけで進む領域ではありません。公共工事に関わる企業にとっては、国が示す方針が事実上の要件になります。ここでは押さえておくべき3つを整理します。

i-Construction 2.0が掲げる省人化3割

国土交通省は2024年4月に、建設現場のオートメーション化を進める方針としてi-Construction 2.0を策定しました。2016年に始まったi-Constructionを発展させた第2段階にあたります。

掲げられている目標は明確で、2040年度までに建設現場の省人化を少なくとも3割、すなわち生産性を1.5倍に高めるというものです。少ない人数で、安全に、快適な環境で働ける現場の実現が目指されています。

この目標は努力目標にとどまらず、公共工事の積算基準や発注要件へ段階的に反映されていきます。対応が遅れた企業は、受注の土俵に上がれない場面が増えると考えておくべきでしょう。

オートメーション化の3本柱

i-Construction 2.0は3つの柱で構成されています。1つ目が施工のオートメーション化で、建設機械の自動化や遠隔操作により、1人が複数の機械を扱える体制を目指すものです。

2つ目がデータ連携のオートメーション化です。3次元モデルの標準化を進め、設計データを施工や積算にそのまま使えるようにすることが柱に据えられています。手作業での転記を減らすことが狙いです。

3つ目が施工管理のオートメーション化で、遠隔での監督や検査を可能にし、現場への移動時間を削減する方向です。中小企業にとっては、3つ目から着手するのが最も現実的といえます。

BIM/CIMと積算の連携

3次元モデルの活用は、作って終わりの段階から次に進みつつあります。設計で作成したモデルの数量を、そのまま積算に使えるようにする仕組みの整備が進められています。

現状では3次元モデルと2次元図面が連動していない現場が多く、両方を作る二重手間が発生しています。この連動が担保されれば、設計変更のたびに図面と数量を作り直す作業が減ります。

自社が公共工事の元請または下請として関わる場合、発注者から3次元データを求められる場面は今後増えます。対応できる人材と環境を段階的に用意しておく必要があります。

関連記事:営業DXの課題とは?5つの壁・解決策・SFA定着の成功パターンをわかりやすく解説

工程別に見る建設DXの7つの活用領域

どこに手をつけるかを決めるには、工程ごとの適用範囲を知っておく必要があります。ここでは効果が出やすい7つを挙げ、それぞれで何が変わるのかを整理します。

測量・調査

ドローンやレーザースキャナーによる測量は、建設DXのなかで最も導入が進んだ領域です。従来は数人で数日かかっていた作業を、少人数で短時間に済ませられます。

取得できるのは地形の点群データで、そのまま設計や土量計算に使えます。起工測量から出来形の確認まで同じ方法で計測すれば、施工の進捗を数値で比較できるようになります。

注意点は、データの扱いに慣れた担当者が必要になることです。機器を導入しても処理できる人がいなければ、外注費が発生し続けます。導入と育成はセットで計画してください。

設計

3次元モデルを用いた設計では、干渉のチェックや施工手順の確認を着工前に行えます。配管と構造材がぶつかるといった問題を、現場で気づく前に解消できる点が最大の効果です。

手戻りの削減は、工期とコストの両方に直結します。施工段階での設計変更は、材料の再手配や工程の組み直しを伴うため、影響が大きくなりがちです。

また、完成イメージを関係者に共有しやすくなる点も見逃せません。発注者や近隣住民への説明で認識のずれを減らせると、後の調整にかかる時間が減ります。

施工

ICT建機は、3次元設計データをもとに、刃先の位置を自動で制御しながら施工を進めます。丁張りの設置が不要になり、経験の浅いオペレーターでも一定の精度を出せます。

遠隔操作や自動運転の技術も実用段階に入りつつあり、危険な場所での作業から人を離す方向が進んでいます。安全面と省人化の両方に効く領域です。

一方で、機器の導入費用は他の領域より大きくなります。所有ではなくレンタルで試す、対応できる協力会社と組むといった選択肢も含めて検討したほうが、初期の負担を抑えられます。

施工管理と日報・写真

中小建設会社にとって、最も着手しやすく効果も見えやすいのがこの領域です。日報の作成、工事写真の整理、図面の共有、関係者との連絡を1つの仕組みにまとめます。

現場から直接入力できる形にすれば、事務所に戻ってから書類を作る時間がなくなります。写真も撮影と同時に工種や場所で分類されるため、後からの整理作業が不要になります。

時間外労働の上限規制への対応という観点でも、この領域の改善効果は大きくなります。現場作業そのものより、付随する事務作業に時間を取られているケースは少なくありません。

安全管理

カメラの映像をAIが解析し、危険な状態を検知する仕組みが実用化されています。保護具の未着用、立入禁止区域への侵入、重機の周囲への接近などを自動で判定します。

熱中症対策として、作業員の心拍や体表温をセンサーで把握し、異常があれば管理者に通知する仕組みも導入が進んでいます。人の目に頼った監視には限界があるため、補完する手段として有効です。

労働災害は、企業の評価と受注機会に直結する要素でもあります。安全への投資は守りの支出に見えますが、経営上の意味は小さくありません。

積算・原価管理と間接業務

見落とされやすいのが本社側の業務です。見積作成、原価の集計、請求処理、労務管理といった間接業務は、担当者に負荷が集中しやすい領域にあたります。

どの工事でどれだけ利益が出ているかを工事別に把握できていない企業は珍しくありません。原価が見える状態になれば、赤字工事の早期発見と、次の見積精度の向上につながります。

文書作成や問い合わせ対応については、生成AIの活用で負担を減らせる部分があります。設備投資を伴わずに着手できるため、最初の一歩として選びやすい領域です。

維持管理と発注者への報告

工事が終わった後の領域も対象になります。構造物の点検にドローンやカメラを使い、撮影画像から損傷を判定する取り組みが広がっています。

足場を組まずに点検できる場面が増えれば、点検にかかる費用と期間を圧縮できます。過去の点検結果と比較できる形で蓄積しておけば、劣化の進行を数値で追えるようになります。

発注者への報告書作成も負担の大きい業務です。現場で記録したデータがそのまま報告様式に反映される仕組みにしておくと、作成にかかる時間を大きく減らせます。

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投資判断で押さえておく費用の考え方

建設DXは、機器の購入からクラウドサービスの利用まで費用の幅が大きい領域です。判断を誤らないために、費用がどのような構造で決まるのかを整理しておきます。

初期費用と継続費用を分けて見る

検討時は初期費用に目が行きがちですが、総額への影響が大きいのは継続的に発生する費用です。クラウドサービスの利用料、保守費用、データの保管費用が該当します。

3年間の総額で比較すると、初期費用が安い提案のほうが高くつくというケースが出てきます。判断する際は、少なくとも3年分の見通しを立てておきましょう。

利用人数が増えたときに単価がどう変わるかも確認しておきたい点です。1つの現場で試し、その後全社に広げる計画であれば、拡大時の費用が判断を左右します。

所有せずに試す選択肢

ICT建機やドローンのように単価の大きい機器は、いきなり購入する必要はありません。レンタルやリースで試し、稼働率を確認してから判断するほうがリスクを抑えられます。

対応できる協力会社と組むという選択肢もあります。自社で機器と人材を抱えるより、外部の体制を使ったほうが総コストが低くなる工事量の水準は必ず存在します。

判断の基準は、年間でどれだけ使うかです。稼働見込みが少ない機器を保有すると、償却が進まないまま維持費だけがかかります。

効果を金額に換算する

投資判断の説明には、削減できる時間を金額に換算した数字が必要です。労務単価が上昇している現在、時間の削減効果は以前より大きく評価できます。

たとえば書類作成に月20時間かかっていた業務が半分になれば、年間120時間の削減にあたります。これを時間あたりの人件費で換算すれば、投資額と比較できる数字になります。

情報処理推進機構の調査では、投資や費用を上回る効果が出ていると回答した企業は14.6%にとどまります。導入すれば成果が出るわけではないため、事前の試算と事後の検証をセットで行ってください。

建設DXが進まない4つの理由

必要性は理解されていても、実行段階で止まる企業は少なくありません。ここでは業界特有の事情も含めて、代表的な4つの原因と対処の方向性を整理します。

一品一様で標準化しにくい

建設業の成果物は、現場ごとに条件が異なる一品一様です。規格化された製品を繰り返し作る製造業と比べ、同じ仕組みを横展開しにくいという構造的な難しさがあります。

ただし、工事そのものは違っても、日報の作成、写真の整理、原価の集計といった管理業務の流れは共通です。標準化の対象を工事内容ではなく管理業務に置き換えると、着手できる範囲が見えてきます。

現場ごとにやり方が違う状態を放置すると、データが集まらず改善の材料も得られません。まず記録の形式を揃えるところから始めるのが現実的です。

現場と本社でデータが分断されている

2つ目が情報の分断です。現場は紙と電話、本社はExcel、経理は別のシステムという状態では、同じ数字を何度も転記することになります。

情報処理推進機構の調査では、業務プロセスの全社最適化に取り組んでいる企業の割合は、成果が出ている企業で53.8%、出ていない企業で29.5%と大きな差がありました。部門単位の改善だけでは成果につながりにくいことが数字に表れています。

対策としては、導入前にデータの持ち方と連携の方式を決めておくことです。後から統合するコストは、最初に設計するコストより確実に大きくなります。

効果を測る指標がない

3つ目が評価の問題です。導入したものの、何がどれだけ良くなったのかを説明できず、次の投資が社内で通らないというケースが多く見られます。

同じ調査では、DXの成果指標を設定している企業は23.9%にとどまり、4社に1社にも届いていません。設定していない理由の最多は、評価指標の設定方法がわからないというもので36.0%にのぼりました。

建設業の場合、測れる指標は現場に揃っています。書類作成にかかる時間、手戻りの発生件数、現場への移動回数、工事別の粗利率などから、施策に直結するものを2つか3つ選べば十分に機能します。

使う人が定着しない

4つ目が定着の問題です。導入したアプリが現場で使われず、結局これまでどおり紙と電話に戻るという状況は珍しくありません。

原因の多くは、操作が現場の実態に合っていないか、目的が共有されていないかのどちらかです。手が汚れた状態でも操作できるか、通信環境の悪い場所で使えるかといった条件は、机上では見落とされます。

防ぐには、選定の段階で実際に使う職長や現場代理人を巻き込むことです。完成してから使ってくださいと伝えるのではなく、試用の段階で意見を反映する進め方が有効です。

中小建設会社が取るべき現実的な手順

大手ゼネコンの事例をそのまま真似しても機能しません。ここでは、専任部署がない体制を前提に、5つの段階で進め方を整理します。

ステップ1|紙と電話の棚卸しから始める

最初に行うのは、機器の選定ではなく現状の把握です。いま社内でどんな情報が紙、電話、口頭でやり取りされているかを書き出してください。

同じ数字を複数人が別々に転記している、月末にならないと原価がわからない、担当者しか場所を知らない資料がある、といった状態が必ず見つかります。この整理だけで改善できる業務も少なくありません。

棚卸しの結果は、ツールを検討する際の要件にもなります。何をつなぎたいかが明確になっていれば、過剰な機能を持つ製品を選んで費用を無駄にすることも避けられます。

ステップ2|1工程に絞って数字を取る

次に、対象を1つに絞って着手します。全社展開を狙うと調整に時間を取られ、成果が出る前に推進力が失われます。

選ぶ基準は、負担が大きく定型的で、効果を数字で測りやすい業務です。日報の作成、工事写真の整理、原価の集計といった管理業務は、最初の対象として扱いやすい傾向にあります。

着手前の数値を必ず記録してください。1週間だけでも作業時間を測っておけば、改善後の比較ができます。この比較が、次の投資を社内で通すための材料になります。

ステップ3|現場が使える形にする

仕組みを入れたら、現場で実際に回るかを確認します。ここで無理があると、どれだけ本社側で便利でも定着しません。

確認すべきは、入力にかかる時間、通信環境が悪い場所での動作、手袋をしたままの操作性、年齢層による習熟度の差の4点です。若手には問題なくても、ベテランが使えなければ現場は二重運用になります。

説明会を一度開いて終わりにせず、最初の1か月は質問できる相手を決めておいてください。つまずいた時点で放置されると、そのまま元のやり方に戻ります。

ステップ4|本社側とつなぐ

現場で回り始めたら、本社側の業務とつなぎます。ここが個別最適で止まるか、全体最適へ進めるかの分岐点になります。

現場から上がってくる日報や出来高を原価管理と接続できれば、工事の進行中に採算を把握できるようになります。完了後に赤字が判明するという状況を避けられる点が、経営面での最大の効果です。

この段階では、経営層、事務部門、現場の三者が同じ数字を見て話せる状態を作ってください。それぞれが別の資料で議論している限り、判断は揃いません。

ステップ5|使い方を組織で共有する

最後が定着です。導入を主導した人が異動すると運用が止まるという事態は、多くの会社で起きています。

手順の文書化、判断基準の明文化、担当者の複数化を進めておくことで、属人化を防げます。うまくいった使い方を現場間で共有する場を設けることも有効です。

情報処理推進機構の調査では、経営者とIT部門と業務部門の協調ができていると回答した割合が、成果の出ている企業で72.9%、出ていない企業で37.1%と倍近い差になっています。技術より組織の設計が成果を分けます。

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活用できる公的な制度と支援

投資の負担を抑える手段として、国の制度があります。制度は毎年更新されるため、検討の際は最新の公募内容を確認してください。

中小企業向けの補助金

中小企業や小規模事業者がAIを含むITツールを導入する際に活用できる補助金が用意されています。従来のIT導入補助金は令和7年度補正予算事業から名称が変わり、AIの活用を明確に対象へ含める形になりました。

補助額は導入するツールのプロセス数に応じて設定され、補助率は原則2分の1以内です。施工管理や原価管理のクラウドサービスも対象になり得るため、導入を検討している場合は要件を確認しておく価値があります。

申請にあたっては、事務局に登録された支援事業者と組む必要があります。相談先を選ぶ段階でこの登録の有無を確認しておくと、手続きが進めやすくなります。

無料の相談窓口を使う

方向性が固まっていない段階では、公的な相談窓口が役立ちます。地域の中小企業向け支援拠点や商工会議所では、無料での相談を受け付けています。

特定の製品を売る立場ではないため、制度の全体像や自社が使える補助金の種類について、中立的な説明を受けられます。制度の理解と方向性の確認までを費用をかけずに進められます。

ただし、具体的なツール選定や導入作業まで踏み込んだ支援は範囲外となるのが一般的です。方向性の確認を公的窓口で行い、実行段階は民間に依頼するという二段構えが現実的です。

外部の支援を組み合わせる

社内にデジタルに強い人がいない場合、育成を待っていては着手が遅れます。外部の支援と社内の現場知識を組み合わせる形が、取り組みやすい選択肢になります。

その際も、何を解決したいかを決め、判断を行う担当者は社内に置いてください。現場の実態を理解しているのは自社の人間であり、そこを外部に委ねると使われない仕組みができあがります。

ネクストスケールでは、AIやデジタル技術の業務活用に関する情報をコラムでも継続して発信しています。検討を進める際の材料としてあわせてご覧ください。

まとめ

建設DXは、測量から維持管理までのデータをつなぎ、少ない人数で回る体制へ変えていく取り組みです。就業者が685万人から483万人へ減り、55歳以上が36.7%を占め、労務単価が14年連続で上昇し、労働時間に上限が課された現在、生産性を上げる以外の選択肢は残されていません。

国は2040年度までに建設現場の省人化を3割、生産性を1.5倍にするという目標を掲げています。この方針は積算基準や発注要件へ段階的に反映されるため、公共工事に関わる企業にとっては経営判断の前提になります。

進まない原因は、一品一様という業界特性、現場と本社のデータ分断、成果指標の欠如、現場での定着の4つです。いずれも技術ではなく、業務の設計と組織の問題にあたります。

着手する際は、紙と電話の棚卸しから始め、日報や写真整理といった管理業務を1つ選んで数字を取ってください。開始前の時間を記録し、小さくても効果を数字で示せれば、次の投資と全体最適への足がかりになります。

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この記事の監修者

石丸真平

石丸真平

NEXTSCALE コンサルタント / AI活用・業務効率化支援

NEXTSCALEのコンサルタントとして、生成AI活用、業務効率化、DX推進に関する支援を担当する想定のプロフィールエリアです。業務整理からツール選定、導入設計、社内定着までを一気通貫で支援する人物紹介として使用します。

ワイヤー段階では、監修者名、肩書き、プロフィール本文、関連リンク、著者導線がどのように入るかを確認できる構成にしています。実装時には実際のプロフィール文や外部リンク、SNSアカウント情報などに差し替える想定です。
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