AIエージェントの例を業務別に紹介 身近な活用シーンと企業の導入事例

AIエージェントという言葉は聞くものの、実際に何をしてくれるのかが具体的に浮かばない。説明を読んでも抽象的で、自社の業務に置き換えられない。そうした状態で検討が止まっている方は少なくありません。

理解を早める近道は、定義から入るのではなく実例から入ることです。どんな場面で何をしているかを見れば、自社のどの業務が対象になるかが見えてきます。

本記事では、身近な例から部門別の活用例、数字が公表されている企業の導入事例までを整理し、そこから見える共通点と自社で試す手順までをまとめました。

確認したいポイント結論詳細
例はどう整理すればいい?身近・業務・事例の3層で見る日常で触れるもの、部門ごとの活用、数字が公表された導入事例に分けて捉えると整理できます。
身近な例にはどんなものがある?予約や検索の代行など指示を受けて外部の仕組みを操作し、目的の達成まで進める機能が実装され始めています。
バックオフィスではどう使う?経費や請求の確認作業規定との照合や不備の検知を任せ、最終的な判断だけを人が担う形が広がっています。
営業・マーケティングの例は?情報収集と一次対応の自動化問い合わせ内容の整理から顧客管理への登録、担当者への通知までを一続きで処理します。
サポート業務での例は?一次対応と手続きの実行回答するだけでなく手続きまで担える点が、従来のチャットボットとの違いになります。
実際の企業事例はある?数字が公表された例がある経費精算チェックの約9割自動化や、物流コスト最大3割削減の検証結果が公表されています。
向いている業務の共通点は?判断基準を言葉にできる業務工程が多くシステムをまたぎ、基準が明文化できる業務ほど効果が出やすくなります。
自社で試すには?1業務に絞って効果を測る現状の所要時間を記録してから着手し、数字で比べる手順を踏むと判断を誤りません。

この記事でわかること

  • AIエージェントの例を整理するときの3つの切り口
  • 身近な場面と、部門別の具体的な活用シーン
  • 数字が公表されている国内企業の導入事例
  • 多くの事例に共通する、向いている業務の条件
  • 自社で最初の1件を作るまでの手順と、押さえておく注意点

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目次

AIエージェントの例は3つの層で捉える

例を集めても、並べただけでは自社に当てはめられません。どの層の話をしているのかを分けて考えると、判断の材料として使えるようになります。

整理の軸は、日常で触れる身近な例、部門ごとの業務での例、実際に数字が出ている企業の事例の3つです。層が違えば、参考にすべき点も変わります。

身近な例は「仕組みの理解」に使う

日常のサービスに組み込まれた機能は、AIエージェントが何をするものかを直感的に理解する助けになります。専門用語を使わずに社内へ説明する際にも役立ちます。

ただし、そのまま業務に持ち込める話ではありません。理解の入口として使い、判断の根拠には別の層を使います。

経営層や現場へ説明する場面でも、身近な例から入るほうが伝わります。技術の話から始めると関心が離れやすく、検討そのものが進まなくなります。

業務での例は「対象業務の発見」に使う

部門ごとの活用シーンは、自社のどの業務が候補になるかを探すための材料です。似た業務が自社にあるかという視点で読むと、候補が浮かび上がります。

この層では効果の数字が出ていないことも多くあります。あくまで候補を洗い出す段階のものと捉えます。

同業の例が見つからない場合でも心配はいりません。担う作業の性質が近ければ、業種が違っても置き換えて考えられます。

企業の事例は「投資判断」に使う

実際に導入して数字を公表している事例は、費用をかける価値があるかを判断する材料になります。どの業務でどれだけ変わったのかが明確なためです。

自社と規模や業種が違っても、業務の性質が近ければ参考になります。業種ではなく業務の性質で照らし合わせるのが読み方のコツです。

生成AIとの違いを押さえておく

チャット画面で質問して回答を得る使い方は、AIエージェントとは区別されます。エージェントと呼ばれるのは、外部のシステムを操作して作業を完了まで進めるものです。

この違いが分かっていないと、例を読んでも判断を誤ります。仕組みの詳細はエージェント型AIの仕組みを解説した記事で扱っています。

身近なAIエージェントの例

特別なシステムを導入しなくても、すでに触れている機能があります。まずは感覚をつかむところから始めます。

調べものから予約までを続けて行う

条件を伝えると、複数のサイトを調べて候補を絞り、予約の手続きまで進める機能が主要なAIサービスに実装され始めています。回答を返すだけだった段階からの明確な変化です。

従来は、検索して比較して申し込むという工程を人がすべて担っていました。工程のあいだをつなぐ部分が自動化された点が、この例の要点になります。

この形が成立するには、外部のサービスと接続する仕組みが必要です。単体で賢く答えるだけでなく、外の世界へ働きかけられることが条件になります。

ブラウザ上の操作を代行する

画面を見ながらリンクをたどり、フォームに入力するといった操作を代行する機能もあります。人が手を動かしていた作業を、そのまま引き受ける形です。

業務でも同じ発想が使えます。画面を開いて転記するだけの作業は、この種の機能で置き換えられる可能性があります。

誤操作を防ぐ仕組みも同時に必要になります。実行の前に内容を確認させる工程を挟むかどうかで、任せられる範囲が変わってきます。

スケジュールと連絡の調整

予定を確認して空いている時間を探し、相手へ連絡して調整するといった処理も対象になります。単純ながら、担当者の時間を細かく削っている作業です。

こうした作業は一件あたりの時間が短いため、負担として認識されにくい特徴があります。回数を数えると、まとまった時間になっているケースが多くあります。

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バックオフィス業務での例

導入が最も進んでいる領域です。判断の基準が規程として明文化されているため、AIに任せる範囲を決めやすいことが理由になります。

経費精算のチェック

提出された領収書から金額と品目を読み取り、社内の経費規程に反していないか、同じ申請が重複していないかを確認します。不備があれば申請者へ修正箇所を伝えます。

月末に負荷が集中する業務であるため、効果が数字として見えやすい領域です。最初は不備の検知までを任せ、最終承認は人が行う形から始める例が多く見られます。

従来の自動化と違うのは、規程の文章を読んで判断できる点です。ルールを一つずつプログラムに書き起こす必要がないため、規程が変わった際の修正も軽く済みます。

請求書の処理

受け取った請求書の内容を読み取り、発注の記録と突き合わせます。金額や品目が一致しない場合だけ担当者へ通知する形にすれば、確認の対象が大きく絞れます。

形式が取引先ごとに異なる点が、従来の自動化では壁になっていました。柔軟に読み取れることが、この領域でAIが使われる理由です。

勤怠や各種申請の確認

申請内容が就業規則や社内ルールに沿っているかを確認し、例外に該当するものだけを人へ回します。差し戻しの判断まで任せる運用も出てきています。

処理件数が多く、内容の大半が問題ないという業務ほど効果が出ます。人が見るべきものだけを残す仕組みとして機能します。

承認の経路も自動で振り分けられます。金額や部門に応じた条件が決まっていれば、担当者が判断する場面をさらに減らせます。

資料の作成と要約

会議の記録や報告書を決まった形式にまとめる作業も対象です。定期的に発生する報告業務であるほど、積み上がる効果が大きくなります。

完成品としてではなく、たたき台として使う位置づけにします。人が確認して仕上げる前提にすれば、品質を保ったまま速度を上げられます。

営業・マーケティングでの例

反応の速さが成果に直結する領域です。人が手を動かすまでの待ち時間をなくすことに価値があります。

問い合わせの整理と担当者への割り振り

届いた問い合わせの内容を読み取り、検討度合いや業種などを整理したうえで顧客管理システムへ登録し、担当者へ通知します。一連の処理が数分で完了します。

従来は担当者が確認してから動き出すまでに時間がかかっていました。初動の速さが受注率を左右する業種では、この差が成果に表れます。

すべてを自動で返信する必要はありません。担当者へ渡す情報を整えるところまでを任せ、返答そのものは人が行う設計でも十分な効果が出ます。

商談前の情報収集

訪問先の企業について、事業内容や直近の発表、業界の動向をまとめた資料を用意させる使い方です。準備にかけていた時間を短縮できます。

集めた情報の裏取りは人が担当します。出典を必ず併記させる設計にしておけば、確認の作業そのものが軽くなります。

集めた内容をそのまま提出する使い方は避けます。人が目を通して補足を加える前提にすれば、精度の不安を抱えずに時間だけを短縮できます。

コンテンツ制作の下準備

記事や広告の構成案、SNS投稿の候補を作る使い方です。自社の表現の方針を設定に組み込んでおけば、担当者が変わっても文体が揺れません。

制作の仕組みを自社で組み立てる方法もあります。構築の選択肢はDifyで何ができるかを解説した記事で扱っています。

成果物の形式を固定しておくと、受け取る側の負担も減ります。毎回同じ体裁で出力されるため、必要な箇所だけを短時間で確認できます。

定期レポートの作成

アクセス解析や広告の実績を毎週まとめる作業も対象になります。数字を集めて所定の形式に整えるところまでを任せ、考察は人が加えます。

形式が固定されている報告ほど自動化しやすい領域です。作業の中身を分解し、機械的な部分だけを切り出すのがコツになります。

カスタマーサポート・社内ヘルプデスクでの例

対話を伴う領域でも活用が進んでいます。回答を返すだけでなく、手続きの実行まで担える点が、従来のチャットボットとの決定的な違いです。

顧客からの問い合わせ対応

商品やサービスに関する質問へ一次対応し、必要に応じて注文状況の確認や変更手続きまで進めます。担当者へ引き継ぐ基準を決めておくことが前提になります。

夜間や休日に届いた問い合わせにもその場で対応できます。翌営業日まで止まっていた業務が動き出すため、顧客体験の面でも差が出ます。

回答の根拠となった資料を示す設定にしておくと、利用者が自分で確認できます。誤りに気づける状態を作っておくことが、対外的な利用では特に重要になります。

社内ヘルプデスク

就業規則の確認、システムの使い方、経費の精算手順といった質問に自動で答えます。総務や情報システム部門へ集中していた問い合わせを減らせます。

回答できなかった質問の記録は、社内資料の不備を示す手がかりになります。マニュアルの改訂点を洗い出す材料としても機能します。

対応の履歴を蓄積すれば、次回以降の精度も上がります。よくある質問と回答の型が増えるほど、人が確認する頻度を下げられます。

障害対応の一次切り分け

システムの不具合が報告された際、状況を確認して原因の候補を絞り、担当者へ整理した情報を渡す使い方です。復旧までの時間を短縮できます。

復旧作業そのものを任せるかは慎重に判断します。影響範囲の大きい操作には、人の承認を挟む設計にしておきます。

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企業の導入事例|数字が公表されている例

候補を絞ったあとは、実際にどれだけ変わったのかを知る段階です。公表されている事例から、効果の水準を確認します。

経費精算チェックの約9割を自動化

日東電工は、経費精算チェック業務にエージェント型AIを導入し、2025年11月から本番運用を開始しました。日本IBMの発表によると、出張費や交通費などのチェック業務の90%を、人手を介さずにAIで確認できるようになったとされています。

これまでは、証憑と社内規定の整合性の確認や不備の検知を担当者が目視で行っていました。基準が文書化されている業務であることが、高い自動化率につながっています。

残りの部分は人が担当する設計になっています。すべてを任せるのではなく、人が見るべきものだけを残す考え方が、この事例の要点です。

導入の前段として、領収書の読み取りや照合の自動化が済んでいた点も見逃せません。土台となる仕組みがあったからこそ、判断を伴う工程まで踏み込めています。

物流コストを最大30%削減できる可能性を確認

富士通は、複数の企業に属するAIエージェントが連携してサプライチェーン全体を最適化する技術を開発しました。同社の発表では、東京科学大学およびロート製薬とともに仮想のサプライチェーンで実証を行い、物流のルートやスケジュールを最適化することで運搬コストを最大30%削減できる効果が期待できることを確認したとされています。

2026年1月から2027年3月までの期間で、実際のサプライチェーンを想定した検証が行われる予定です。企業をまたいだ連携という点で、今後の広がりを示す事例といえます。

調達業務の工数を約50%削減

富士通は自社内での実証において、帳票の読み取りや購買規約との適合確認を担うAIエージェントを組み合わせ、発注確認業務の工数を約50%削減できる効果を確認したと公表しています。

複数のエージェントに役割を分担させる構成が特徴です。1つで完結させるのではなく、工程ごとに分けて組み合わせる設計が結果につながっています。

いずれの事例も、いきなり全社へ広げたわけではありません。特定の業務から始め、成果を確認しながら範囲を広げる進め方が共通しています。

事例を読むときの注意

公表されている数字は、その企業の条件のもとで得られた結果です。前提となる業務量や既存の仕組みが異なれば、同じ効果が出るとは限りません。

注目すべきは数字そのものより、どの業務を対象にしたかという点です。自社に似た性質の業務があるかどうかで判断します。

例から見える「向いている業務」の共通点

多くの例を並べると、成果が出ている業務には共通する条件があることが分かります。自社の候補を絞る際の基準として使えます。

判断の基準が言葉になっている

規程やマニュアルとして基準が文書化されている業務は、任せる範囲を決めやすくなります。経費精算や申請処理で導入が進んでいるのは、この条件を満たしているためです。

逆に、ベテランの勘に頼っている業務は対象になりません。まず基準を書き出すところから始める必要があります。

工程が多く、システムをまたぐ

1つのシステム内で完結する作業より、複数のシステムを行き来する業務のほうが効果が大きくなります。人が仲介していた引き継ぎがなくなるためです。

作業時間そのものより、工程のあいだの待ち時間が減る効果に注目します。着手から完了までの時間で比べると、変化がはっきり見えます。

扱う情報がすでに整理されていることも条件になります。資料が散在していたり古い版が混在していたりすると、正しい判断ができません。

同じ処理が繰り返し発生する

件数が多い業務ほど、積み上がる効果が大きくなります。一件あたりの時間が短くても、回数を掛ければまとまった数字になります。

年に数回しか発生しない業務は対象から外します。仕組みを作って維持する手間が、削減できる時間を上回ってしまいます。

件数の把握には実測が必要です。担当者の感覚では実際より少なく見積もられることが多く、対象を見誤る原因になります。

誤りが起きても取り返しがつく

結果を確認してから次へ進める業務であれば、誤りが起きても修正できます。取り消しの効かない処理から始める進め方は避けます。

金額や契約に関わる処理では、実行の前に人の承認を挟みます。事例でも、最終判断は人が担う設計が採られています。

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自社で試すときの進め方と注意点

例を集めた次は、自社での1件目を作る段階です。範囲を絞って成果を出し、そこから広げる順序が現実的になります。

対象を1つに絞り、現状を記録する

候補を洗い出したら、判断基準が明文化されていて影響が限定的な業務を1つ選びます。着手の前に、現在の所要時間と発生件数を実測で記録しておきます。

比べる基準がなければ、改善したかどうかも判断できません。感覚ではなく数字で記録してから始めることが、後の判断を支えます。

あわせて、現場の担当者に検証へ加わってもらいます。使う側が納得していない仕組みは定着せず、作っただけで終わってしまいます。

業務そのものを見直す

自動化する前に、不要な確認や重複した入力が残っていないかを点検します。無駄をそのまま高速化しても、根本の負荷は変わりません。

整理の過程で、AIを使わずに解決できる部分が見つかることもあります。手段を先に決めず、業務の側から考えます。

ツールは体制に合わせて選ぶ

構築の自由度が高いツールほど、設定と保守を担う人が必要になります。担当できる人がいない状態で導入すると、動かなくなった時点で放置されます。

候補の整理にはAIエージェントのおすすめを用途別に比較した記事n8nの料金プランを比較した記事が参考になります。

運用の担当と見直しの時期も決めておきます。参照する資料が古くなれば精度は落ちるため、作る工数と同じくらい維持の工数を見込んでおく必要があります。

権限と情報の線引きを決める

接続するシステムごとに、読み取りだけを許すのか書き込みまで許すのかを決めます。外部へ渡してよい情報の範囲も、着手の前に明文化しておきます。

整備の進め方については、生成AIの社内ガイドライン策定について解説した記事で詳しく扱っています。

まとめ

AIエージェントの例は、身近な機能、部門別の活用シーン、企業の導入事例という3つの層に分けると整理できます。層ごとに使いどころが違うため、目的に応じて読み分けます。

公表されている事例では、経費精算チェックの約9割自動化や、物流コストを最大30%削減できる可能性の確認といった成果が示されています。いずれも基準が明確な業務が対象になっています。

共通するのは、判断の基準が言葉にでき、工程が多く、繰り返し発生する業務であるという点です。業種ではなく業務の性質で自社に当てはめる読み方が、候補を見つける近道になります。

国内での普及も進んでいます。総務省「令和8年版 情報通信白書」では、何らかの業務で生成AIを利用している国内企業の割合が86.4%に達したことが示されています。

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この記事の監修者

石丸真平

石丸真平

NEXTSCALE コンサルタント / AI活用・業務効率化支援

NEXTSCALEのコンサルタントとして、生成AI活用、業務効率化、DX推進に関する支援を担当する想定のプロフィールエリアです。業務整理からツール選定、導入設計、社内定着までを一気通貫で支援する人物紹介として使用します。

ワイヤー段階では、監修者名、肩書き、プロフィール本文、関連リンク、著者導線がどのように入るかを確認できる構成にしています。実装時には実際のプロフィール文や外部リンク、SNSアカウント情報などに差し替える想定です。
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