LangChainとは?できること・仕組み・LangGraphとの違いをわかりやすく解説

LangChainは、大規模言語モデルを使ったアプリケーションを開発するためのフレームワークです。社内データを参照させる、外部ツールを呼び出す、複数の処理をつなげるといった実装を、部品を組み合わせる形で進められます。

ただし名前が似た製品が並んでいることもあり、LangChain、LangGraph、LangSmithの関係が分からないまま検討が止まっている場合も少なくありません。何をどこまで担うのかを整理しておく必要があります。

この記事では、LangChainが解決している課題から、できること、主な構成要素、関連製品との違い、メリットとデメリット、使わないほうがよい場面、始め方までをまとめました。

確認したいポイント結論詳細
LangChainとは何か?LLMアプリ開発のフレームワークモデルと外部データ・ツールをつなぐ共通処理を部品として提供します。
何ができる?検索・ツール連携・自動化社内データの参照、外部ツール呼び出し、履歴保持、処理の連結が可能です。
どんな部品でできている?モデル抽象から検索までモデル共通化、プロンプト管理、文書読み込み、エージェント構築が主な要素です。
LangGraphとの違いは?手軽さか細かい制御か素早く作るならLangChain、分岐や承認を組むならLangGraphを使います。
メリットとデメリットは?開発は速いが学習コスト大実装量を減らせる一方、全体像の把握と保守を担える人材が必要になります。
必ず使うべき?単純な処理なら直接実装で足る検索や分岐など複数の要素が必要になった時点で、価値が出てきます。
他の選択肢と比べると?採用実績と情報量で優位処理の複雑さ、言語、既存環境との相性など5つの観点で比較します。
何から始めればよい?小さく動かして順に足すモデル呼び出しから始め、文書読み込み、ツール連携へと広げていきます。

この記事でわかること

  • LangChainが何を解決するフレームワークなのかと、対応している言語や提供形態
  • 社内データの参照やツール呼び出しなど、実際にできることの範囲
  • LangChain・LangGraph・LangSmithそれぞれの役割と使い分けの考え方
  • 導入で得られる効果と、学習コストなど事前に把握しておくべき負担
  • 直接APIを呼ぶほうが適している場面と、判断に使える基準
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目次

LangChainとは

LLMアプリを構築するフレームワーク

LangChainは、大規模言語モデルを使ったアプリケーションやAIエージェントを構築するためのオープンソースのフレームワークです。開発に必要となる共通処理を、あらかじめ部品として提供しています。

モデルとのやり取り、外部データの読み込み、ツールの呼び出しといった土台を毎回書き起こす必要がなくなります。開発者は、何をさせたいかという本質的な部分に集中できます。

生成AIの基礎から確認したい場合は、生成AIとは?仕組みとビジネス活用の基本もあわせてご覧ください。

解決している課題

モデル単体では、学習に含まれていない情報を扱えません。社内の規程、最新の市場データ、特定の文書の内容については答えられないという制約があります。

AWS「LangChain とは何ですか?」でも、モデルが再学習なしに新しいデータへアクセスできるようにする部品が含まれる点が挙げられています。モデルと外部の情報やツールをつなぐ役割を担うと理解すると分かりやすくなります。

複数のツールをまたぐ一連の処理を組み立てるのも、単体では難しい領域です。顧客データを検索し、内容をもとに文面を作り、送信するといった流れを実装できます。

こうした処理を一から作ると、接続部分の実装だけで相当な量になります。共通化された部品を使うことで、この負担を大きく減らせます。

対応言語と提供形態

対応しているのはPythonとJavaScriptです。機械学習分野で広く使われるPython版が最も成熟しており、機能も一通り揃っています。Web開発が中心のチームであれば、JavaScript版を選ぶ形になります。

オープンソースとして公開されているため、無料で使い始められます。周辺の運用ツールについては有料のプランが用意されています。

2025年にはバージョン1.0が正式に公開され、本番環境で使う前提の土台が整えられました。次のメジャー更新までは互換性を保つ方針も示されています。

LangChainでできること

実装できる代表的な機能を4つに整理します。組み合わせることで、実務で使えるアプリケーションになります。

外部データを参照した回答

手元の文書を読み込み、質問に関係する部分を検索して、その内容を根拠に回答させる仕組みを構築できます。検索拡張生成と呼ばれる方式です。

学習データに含まれていない社内情報を扱えるようになる点が大きな効果です。根拠が明示されるため、誤った内容が返るリスクも下げられます。仕組みの詳細はRAGとは?社内データを活かす仕組みと構築の流れで解説しています。

社内マニュアルや過去の問い合わせ記録を対象にすれば、自社の文脈に沿った回答が返る仕組みを構築できます。実務で最も需要の大きい用途です。

外部ツールの呼び出し

検索エンジン、社内データベース、業務システムのAPIなどを、必要に応じて呼び出させられます。モデル側が状況を見て、どのツールを使うかを判断します。

接続できるツールの数と種類が、そのアプリケーションの守備範囲を決めます。用意されている接続部品を使えば、実装の手間を抑えられます。

自社独自のシステムへつなぐ場合も、決められた形式に沿って定義すれば組み込めます。既存の資産を活かしやすい構造です。

会話の文脈を保持する

やり取りの履歴を保持し、次の応答に反映させる仕組みが用意されています。前の発言を踏まえた対話が成立します。

長い会話では、履歴をどこまで保持するかの調整が必要になります。すべてを渡すと処理量が増えるため、要約して持たせる方法も選べます。

保持の仕方は費用にも直結します。長い履歴をそのまま渡し続ける構成は、処理量が積み上がる原因になります。

処理をつなげて自動化する

複数の処理を順番に実行させ、前の出力を次の入力として渡せます。データを取得し、分析し、要約して出力するといった流れを組み立てられます。

条件によって分岐させる構成も可能です。判断を伴う処理を任せる場合は、この仕組みが土台になります。

処理の途中で人の確認を挟む形も組み立てられます。影響の大きい操作を扱う業務では、この設計が前提になります。

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LangChainの主な構成要素

どんな部品で成り立っているかを押さえると、実装のイメージがつかめます。

モデルの共通インターフェース

提供元の異なるモデルを、同じ書き方で扱えるようにする層があります。呼び出し方の違いを吸収してくれる仕組みです。

コードをほとんど書き換えずにモデルを差し替えられる点が実務での価値になります。性能と費用のバランスを見ながら、後から変更する判断が取りやすくなります。

新しいモデルが出るたびに実装を作り直す状況を避けられます。更新の速い領域では、この構造が保守の負担を左右します。

プロンプトの管理

指示文を雛形として定義し、変数を差し込んで使い回せます。同じ指示を複数の箇所で使う場合に、一元管理できるようになります。

指示を修正した際の反映漏れを防げます。コードの中に文字列を直接書き込む状態と比べて、保守しやすい構造です。

指示の内容は、実際の出力を見ながら調整していく前提になります。変更履歴を追える形にしておくと、改善の経緯も残せます。

検索とデータの読み込み

文書を読み込む部品、意味の近さで検索できる形に変換する部品、必要な箇所を取り出す部品が用意されています。検索を伴う機能の土台になります。

PDFやWebページなど、幅広い形式に対応した読み込み部品が揃っている点が特徴です。形式ごとの処理を自作する手間が省けます。

文書をどう区切って保存するかで、検索の精度は大きく変わります。部品を使う場合でも、この設計は自分たちで詰める必要があります。

エージェントの構築

目標を渡すと、必要な処理を自分で判断して進めるエージェントを構築できます。バージョン1.0では、この作成方法が標準的な形として整理されました。

少ないコード量でエージェントを立ち上げられるようになっています。仕組みそのものはAIエージェントの仕組みとは?種類・生成AIとの違いで整理しています。

処理の前後に独自の制御を差し込む仕組みも用意されています。権限の確認やログの記録を組み込みたい場合に使う部分です。

LangChain・LangGraph・LangSmithの違い

混同されやすい3つの関係を整理します。役割が明確に分かれています。

LangChainの位置づけ

最も手軽にエージェントやアプリケーションを立ち上げられる層です。細かい制御より、素早く形にすることを優先した設計になっています。

まず動くものを作る段階では、この層で十分な場合がほとんどです。公式でも、すばやく構築したい場合の選択肢として案内されています。

数行のコードでエージェントを立ち上げられる形が用意されており、試作の速さという点では有力な選択肢になります。

LangGraphの位置づけ

処理の流れを細かく制御するための、より低い層のフレームワークです。条件分岐、中断と再開、人の承認を挟む処理などを明示的に設計できます。

LangChainのエージェントは、このLangGraphの上に構築されています。基本的な使い方であればLangGraphの知識は不要ですが、複雑な制御が必要になった段階で直接扱うことになります。

処理が途中で止まっても再開できる仕組みや、状態を保存する機能もこの層が担っています。業務での本番運用を想定した設計です。

LangSmithの位置づけ

作ったものを監視し、精度を評価し、本番環境へ展開するためのプラットフォームです。どのツールをどの順で呼び出したかを追跡できます。

フレームワークに依存せず使える点が特徴です。本番運用に移す段階で必要になる領域といえます。

精度が落ちたときに原因を特定できるかどうかは、この層の整備で決まります。作って終わりにしない前提なら、早い段階から検討しておく価値があります。

使い分けの考え方

試作から立ち上げまではLangChain、条件分岐や承認を伴う本番の処理はLangGraph、運用と監視はLangSmithという分担が基本形になります。

すべてを最初から使う必要はありません。段階的に必要になったものを足していく進め方が現実的です。名前が似ているため混同されがちですが、担当する層が違うと理解しておけば整理できます。

メリットとデメリット

採用を判断するうえで、両面を把握しておく必要があります。

開発を速くできる

共通処理が部品として用意されているため、ゼロから書く場合と比べて実装量が減ります。試作の段階では、この差が特に大きくなります。

利用者が多いため、情報も見つけやすい点も実務では効いてきます。詰まったときの解決までの時間が短く済みます。扱える人材を採用しやすい点も、組織で使う場合の判断材料になります。

モデルを差し替えやすい

共通のインターフェースを介するため、使用するモデルの変更が容易です。特定の提供元に固定されにくい構造を保てます。

複数のモデルを比較しながら選定できる点も利点です。用途ごとに使い分ける構成も組みやすくなります。

学習コストがかかる

機能が多岐にわたるため、全体像をつかむまでに時間がかかります。どの部品をどう組み合わせるかの判断にも、ある程度の慣れが必要です。

社内に扱える人がいないと、導入後の保守が止まります。誰が担当するかを決めてから着手してください。

最初は簡単な処理から触り、少しずつ範囲を広げる進め方が現実的です。網羅的に学ぼうとすると、着手が遅れます。

抽象化による分かりにくさ

内部で何が起きているかが見えにくくなる面があります。想定と違う動きをした際、原因の特定に手間取る場合があります。

更新の頻度が高い点にも注意が必要です。バージョン1.0以降は互換性を保つ方針が示されていますが、周辺部品の変更には追従が求められます。

公開されている解説記事の情報も古くなりやすい領域です。実装で迷った際は、公式のドキュメントを一次情報として確認してください。

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使うべき場面と使わないほうがよい場面

すべてのケースで必要になるわけではありません。判断の分かれ目を整理します。

使うと効果が大きい場面

社内データを参照させたい、複数のツールを呼び分けたい、処理を段階的につなげたいといった要件がある場合です。組み合わせる要素が多いほど、恩恵は大きくなります。

複数のモデルを比較しながら開発したい場合にも向いています。差し替えの負担が小さく済みます。

将来的に処理が複雑になる見込みがあるなら、最初からこの構造で作っておく判断もあります。後から作り直す負担を避けられます。

直接APIを呼ぶほうが良い場面

文章を1回生成させるだけ、要約を返すだけといった単純な処理では、モデルのAPIを直接呼ぶほうが見通しが良くなります。依存する部品が減る分、保守も楽です。

動作を完全に把握したい場合も、この選択が向いています。規模が大きくなった段階で移行を検討すれば十分です。

そもそも自社で作らず、既製の基盤を使う選択肢もあります。判断材料はAIエージェントプラットフォームの比較と選び方で整理しています。

判断の基準

検索、ツール連携、履歴の保持、条件分岐のうち2つ以上が必要になるなら、フレームワークを使う価値が出てきます。1つ以下であれば直接実装で足ります。将来的に増える見込みがあるかも、あわせて考えてください。

業務ロジックとフレームワーク固有の記述を分けておくと、後から方針を変えやすくなります。最初の設計で意識しておきたい点です。乗り換えが必要になった際の負担が大きく変わります。

他のフレームワークとの比較

選択肢は複数あります。それぞれの立ち位置を押さえておくと、比較の軸が定まります。

主要な選択肢

役割分担型で試作が速いもの、企業環境との統合を重視したもの、複数の言語に対応したもの、型の安全性を重視したものなど、方向性の異なる製品が並んでいます。

LangChain系は採用実績が最も広く、周辺ツールの選択肢も豊富です。情報や人材の見つけやすさという観点では優位に立っています。詳しい比較はAIエージェントフレームワークの比較と選び方で扱っています。

2026年に入ってからは、有力なものへ集約が進みました。長期的に使い続けられる候補が絞りやすくなっている状況です。

選定で見るべき観点

処理の複雑さ、使用する言語、既存のクラウド環境との相性、監視と評価の仕組み、保守の継続性という5つが判断に効きます。

必要以上に高機能なものを選ぶと、設定と保守の負担だけが増えます。動かしたい処理の型を先に決めてから候補を絞ってください。

社内で使っている言語との相性も外せない観点です。保守を続けられるかどうかが、長期的には最も効いてきます。

相互接続の標準規格

外部ツールとの接続を統一する規格や、エージェント同士の通信を扱う規格が広がっています。対応状況を確認しておくと、後からの拡張が進めやすくなります。

将来の乗り換えやすさを担保する項目でもあります。特定の製品に固定されにくい構成を保つうえで重要な確認点です。異なるフレームワークで作ったもの同士を連携させる道も開けてきました。

始め方と学習の順序

何から手をつければよいかを、3つの段階に分けて整理します。

環境の準備

Pythonが動く環境を用意し、必要なパッケージを導入します。利用するモデルの提供元でアカウントを作り、認証情報を設定すれば準備は完了です。

((LangChain公式ドキュメント|https://docs.langchain.com/))に手順がまとまっています。更新が早い領域のため、記事より公式の内容を優先してください。

段階的に広げる

最初は、モデルを呼び出して結果を受け取るだけの処理から始めます。動くことを確認したら、文書を読み込ませる処理、ツールを呼び出す処理と順に足していきます。

いきなりエージェントを作ろうとしないほうが、結果的に早く進みます。土台の動きを理解してからのほうが、想定外の挙動にも対処できます。

公式には、そのまま動かせる例が用意されています。まず写して動かし、少しずつ書き換えていく学び方が効率的です。

本番運用へ進む前に

実行の記録を追える状態と、精度を測る仕組みを整えてから本番に移します。どこで失敗したかが分からない状態では、改善が進みません。

あわせて、処理量に応じてかかる費用の見通しも立てておきます。試作では小さくても、利用が広がると想定を超える場合があります。

参照させる文書の整備と更新を担う担当も決めておいてください。仕組みだけ作っても、元になる情報が古ければ精度は上がりません。導入全体の進め方はAI導入の進め方|検討から定着までの手順にまとめています。

【内製と外部活用の組み合わせをご提案します】
自社開発だけが選択肢ではありません。
ネクストスケールでは既製サービスとの併用も含め、現実的な構成をご一緒に検討します。
▶ 導入について問い合わせる

まとめ

LangChainは、大規模言語モデルと外部のデータやツールをつなぎ、アプリケーションを効率よく構築するためのフレームワークです。PythonとJavaScriptに対応し、オープンソースとして公開されています。

できることは、社内データを参照した回答、外部ツールの呼び出し、会話の文脈保持、処理をつなげた自動化の4つに整理できます。これらを組み合わせることで、実務で使える仕組みになります。

関連製品との関係は、素早く立ち上げるLangChain、細かく制御するLangGraph、監視と評価を担うLangSmithという分担です。すべてを最初から使う必要はなく、必要になった段階で足していけば十分です。

一方で、単純な処理であればAPIを直接呼ぶほうが見通しが良くなります。検索、ツール連携、履歴保持、条件分岐のうち2つ以上が必要かどうかを、判断の基準にしてください。

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この記事の監修者

石丸真平

石丸真平

NEXTSCALE コンサルタント / AI活用・業務効率化支援

NEXTSCALEのコンサルタントとして、生成AI活用、業務効率化、DX推進に関する支援を担当する想定のプロフィールエリアです。業務整理からツール選定、導入設計、社内定着までを一気通貫で支援する人物紹介として使用します。

ワイヤー段階では、監修者名、肩書き、プロフィール本文、関連リンク、著者導線がどのように入るかを確認できる構成にしています。実装時には実際のプロフィール文や外部リンク、SNSアカウント情報などに差し替える想定です。
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