生成AIの検定・資格7選 それぞれの違いと目的に合う選び方・企業での活用法
2026年9月7日
著者:NEXT SCALE編集部
監修者:石丸真平

生成AIに関する検定は、この数年で一気に増えました。名前が似たものも多く、どれを受ければよいのか判断がつかないという声をよく聞きます。社員に受けさせたい企業の担当者にとっても、選定は悩ましいところです。
違いが見えにくい理由は、それぞれ測っている対象が異なるためです。安全に使うための知識を問うもの、指示文の設計力を問うもの、技術そのものの理解を問うもの。目的が違えば、適した試験も変わります。
この記事では、主な検定7つの特徴を整理したうえで、比較の観点、目的別の選び方、取得のメリットと限界、そして企業として社員に受けさせる場合の進め方までをまとめました。個人の方にも、人材育成を担当する方にも役立つ内容です。
| 確認したいポイント | 結論 | 詳細 |
|---|---|---|
| どんな検定がある? | 用途別に複数の民間資格がある | リテラシー重視、プロンプト設計に特化、技術理解型など、測る対象が異なる試験が並びます |
| どれを選べばいい? | 目的から逆算して1つに絞る | 全社の底上げならリテラシー系、指示の質を上げたいならプロンプト系が適しています |
| 難易度は高い? | 多くは入門から基礎レベル | 合格率が7割から8割台の試験が中心です。公式テキストを軸に学べば十分に狙えます |
| 企業でも使える? | 研修と組み合わせると効果的 | 取得を目的にせず業務での活用まで設計してください。助成制度を使える場合もあります |
この記事でわかること
- 主な生成AI検定7つの特徴と、それぞれが測っている対象の違い
- 難易度・費用・受験形式など、比較するときの4つの観点
- 全社の底上げ、プロンプト設計、技術理解など目的別の選び方
- 資格を取得することで得られるものと、期待しすぎない方がよい点
- 企業として社員に受けさせる場合の進め方と活用できる制度
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生成AIの検定が増えている背景
まず、なぜこれほど多くの検定が生まれているのかを押さえておきましょう。この背景が分かると、それぞれの試験の狙いも見えてきます。
誰でも使える一方で差が出ている
生成AIは、専門的な知識がなくても使い始められます。しかし、「使えること」と「成果につながる使い方ができること」の間には大きな差があります。
同じツールを使っていても、出てくる成果物の質が人によって違う。この差が業務の生産性に直結するようになったことで、その能力を客観的に測る基準への需要が高まりました。
企業が求める理由
企業側の事情もあります。社員が自由に使い始めた結果、機密情報を入力してしまう、誤った内容をそのまま使ってしまうといったリスクが表面化しました。
禁止するのではなく、安全に使える状態を作る。そのために、最低限の知識を全員が持っている状態を担保する手段として検定が使われるようになっています。全社員の取得を目標に掲げる企業も出てきました。
加えて、取引先や採用の場面で、AIを扱えることを示す材料にもなります。生成AI活用の進め方については、ネクストスケールのコラムでも継続的に取り上げています。
主な生成AI検定7つ
ここからは、代表的な検定を順に見ていきます。測っている対象に注目して読み進めてください。
①生成AIパスポート
一般社団法人生成AI活用普及協会が実施する試験で、生成AI関連の資格としては国内で最大級の受験規模を持ちます。AI初心者が押さえておきたいリテラシーを体系的に扱う内容です。
基礎知識や動向、活用方法に加えて、情報漏洩や権利侵害といった注意点まで網羅している点が特徴になります。安全に使うための前提知識を重視した設計です。
試験は60分・60問の四肢択一式で、自宅から受験できます。受験料は11,000円、学生は5,500円です。2026年2月に実施された回では、受験者28,415名に対して合格者22,401名、合格率は78.84%でした。
②Generative AI Test
日本ディープラーニング協会が実施する短時間のオンライン試験です。技術、利活用、リスクという3つのカテゴリから出題され、生成AIの活用力を幅広く測ります。
多肢選択式19問に記述式1問を加えた構成で、試験時間は20分程度。受験料が2,200円と低く抑えられているため、まず何か受けてみたいという段階に適しています。
短時間で全体像を確認できる位置づけなので、他の検定と組み合わせて使うこともできます。
記述式が含まれるため、選択式だけの試験とは求められるものが少し異なります。理解した内容を自分の言葉で説明できるかが問われる設計だといえます。
③生成AIプロンプトエンジニア検定
生成AIプロンプト研究所が実施する、プロンプト設計の力に特化した試験です。全100問の四肢択一式で、自宅からオンラインで受験します。
特徴的なのは、合格点が100点満点中95点と高めに設定されている一方で、試験中に公式テキストを参照できる点です。受験料は公式テキストの代金に含まれており、別途の支払いは不要になります。
学習の中心になるのは、主催元が独自に開発したプロンプトの型です。前提条件、ペルソナ設定、参考情報、出力形式といった要素を順に指定していく構成で、そのまま社内の共通ルールに転用しやすい点が評価されています。
指示文の書き方そのものを体系的に学びたい場合に適しています。この検定の詳細については、別の記事でも取り上げています。
④生成AIアドバイザー認定試験
全日本情報学習振興協会が実施する試験で、1級と2級に分かれている点が特徴です。基礎知識からプロンプト設計、業務への適用、評価と運用、リスク、法務と倫理、社内への展開までを扱います。
2級は基本原理と利用ルールを理解して定型業務で使いこなす基礎力、1級は業務課題に合わせた活用設計や社内導入をリードする実践力が問われます。社内で推進役を担う人材の育成を考えている場合に検討する価値があります。
段階が分かれていることで、部署や役割に応じて受験させる級を変えられるという利点もあります。一般社員は2級、推進担当は1級という設計が組みやすくなります。
⑤生成AIリテラシー検定
非エンジニア職を想定した実務向けの試験です。技術の基本概念に加えて、サービスの使い分け、情報漏洩につながる使い方、法的・倫理的な知識、プロンプトの作り方などが出題されます。
オンラインで受験でき、合否を競うというより、スキルの診断という位置づけで設計されています。実務で必要な範囲に絞り込まれているため、業務担当者が短期間で必要な知識を確認するのに向いています。
⑥G検定
日本ディープラーニング協会が実施する、ディープラーニングを中心としたAI全般の知識を問う試験です。生成AIに特化したものではありませんが、AI領域では最も広く認知されています。
技術と社会実装の両面を体系的に扱う内容で、試験範囲は他の検定より広くなります。2026年7月の回では、受験者9,241名に対して合格者7,677名、合格率は83.08%でした。
生成AIだけでなく、AIそのものへの理解を深めたい場合の選択肢になります。長く認知されてきた試験のため、社外での通用度という点でも安定しています。
⑦そのほかの検定
ほかにも、プロンプトエンジニアリングに加えてAIエージェントやRAGといった実務領域を扱う試験、講座の受講者を対象にした検定、導入の実務に焦点を当てた試験など、複数の選択肢が存在します。
この分野の検定は今も増え続けているため、受験を検討する際は最新の情報を確認してください。
無料で受験できるものや、講座の受講とセットになっているものもあります。費用を抑えて試したい場合は、こうした選択肢から入る方法もあります。ただし、認知度が低い試験は対外的な証明としての効果が限られる点は理解しておいてください。
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検定を選ぶ前に知っておきたいこと
7つを並べて分かるとおり、同じ「検定」という言葉でも位置づけは大きく異なります。受験規模が数万人のものもあれば、始まって間もないものもあります。
また、いずれも国家資格ではなく民間の資格です。法的な効力や独占業務があるわけではないという点は理解しておいてください。価値は、知識を体系的に整理できることと、能力を対外的に示せることにあります。
運営団体の性格もさまざまです。業界団体が運営するもの、教育事業者が運営するもの、AIサービスの提供元が運営するものがあります。取得後にどう使いたいかによって、選ぶべき運営元も変わってきます。
検定を比較する4つの観点
数が多いぶん、比べる軸を持っておくと選びやすくなります。
①何を測る試験か
最も重要な観点です。同じ「生成AI検定」でも、安全に使うための知識を測るのか、指示文の設計力を測るのか、技術の理解を測るのかで内容がまったく変わります。
自社や自分が伸ばしたい能力と、試験が測る対象が一致しているかを確認してください。この確認を飛ばすと、取得しても業務が変わりません。
②難易度と必要な学習時間
多くの試験は入門から基礎レベルに位置づけられており、合格率も7割から8割台です。公式テキストを中心に学べば、十分に狙える水準の試験が中心になります。
学習時間の目安は試験によって幅がありますが、10時間程度で仕上がるものから、数十時間を要するものまであります。業務と並行して取り組める分量かを事前に確認してください。
③費用
受験料は、2,000円台のものから1万円台のものまで開きがあります。加えて、公式テキストの代金や対策講座の費用も考慮に入れる必要があります。
企業で複数名に受験させる場合、人数を掛けた総額で見てください。受験料が安くても、対策のための研修費用が別途かかることもあります。
団体での受験に対応している試験もあり、まとめて申し込むことで手続きが簡素になる場合があります。人数が多い場合は、運営元に相談してみる価値があります。
④受験形式と実施頻度
自宅からいつでも受験できるものと、決まった日程で実施されるもの、試験会場に足を運ぶものがあります。業務の合間に受けさせたいなら、随時受験できる形式が扱いやすくなります。
再受験の条件も確認しておきたい点です。追加費用がかからない試験もあれば、都度受験料が必要な試験もあります。
実施が年に数回に限られる試験では、不合格だった場合に次の機会まで期間が空きます。計画を立てる際は、この待ち時間も考慮しておいてください。
目的別の選び方
観点が整理できたら、目的から絞り込みます。
全社員のリテラシーを底上げしたい
安全に使うための知識を全員に持たせるのが目的なら、リテラシー重視の試験が適しています。情報漏洩や権利侵害といったリスクへの理解が含まれているものを選んでください。
受験規模が大きく、社内外で認知されている試験のほうが、取得の意義を説明しやすくなります。自宅から受験できる形式であれば、業務への影響も抑えられます。
この用途では、合格すること自体より学習の過程でリスクへの理解が深まることに価値があります。受験を通じて、何を入力してはいけないかが全員の共通認識になる効果は小さくありません。
プロンプト設計の力を鍛えたい
出力の質を上げることが目的なら、プロンプトの設計に特化した試験が直接的です。指示文の構成要素を体系的に学べるため、学習内容がそのまま業務に持ち込めます。
社内で書き方をそろえたい場合にも有効です。共通の型を全員が持つことで、品質のばらつきを抑えられます。
AI技術そのものを理解したい
企画や意思決定の立場で、技術の全体像を把握したい場合は、AI全般を扱う試験が向きます。生成AIに限らない広い範囲を扱うため、技術の可能性と限界を判断する土台が得られます。
ただし試験範囲は広くなるため、学習時間の確保が必要です。生成AIの実務に直結する内容ばかりではないため、目的が業務の効率化であれば、より特化した試験のほうが近道になる場合もあります。
個人がキャリアに活かしたい
履歴書に書ける資格として考えるなら、認知度と受験規模が判断材料になります。名前を聞いたことがある試験のほうが、説明の手間が省けます。
複数を同時に狙うより、まず1つに絞って確実に取るほうが、学習効率も職務での活用も高まります。
順序としては、まずリテラシー系で全体像を押さえ、そのうえで職務に近い領域の試験に進むという流れが取り組みやすくなります。土台を作ってから専門性を足すという考え方です。
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取得するメリットと限界
期待値を正しく持つために、両面を整理しておきます。
得られるもの
第一に、断片的だった知識が体系的に整理されることです。使いながら覚えた知識には抜けがあり、特にリスクに関わる部分は意識しないと身につきません。試験範囲に沿って学ぶことで、その抜けが埋まります。
第二に、能力を客観的に示せることです。社内の評価、取引先への説明、採用の場面など、目に見える形で示せる材料になります。資格手当の対象にしている企業もあり、その場合は取得の動機づけにもなります。
第三に、組織として最低限の水準を担保できる点です。全員が同じ知識を持っている状態を作れれば、事故のリスクを下げられます。社内ルールを浸透させる手段としても機能します。
期待しすぎない方がよい点
一方で、資格を取れば業務が変わるわけではありません。知識と実務の間には距離があり、実際に手を動かして試す過程がなければ定着しません。
また、多くの検定は入門から基礎レベルです。高度な専門性を証明するものではないため、その前提で位置づけてください。
さらに、この分野の技術は変化が速く、取得した知識も更新が必要になります。一度取れば終わりではなく、継続的に学び続ける前提で考えるほうが実態に合います。
検定側も、出題範囲を定期的に見直しています。受験する年度の最新の範囲を確認してから学習を始めてください。古い版のテキストで学ぶと、現在の内容と噛み合わないことがあります。
合格に向けた学習の進め方
どの検定を選んでも、進め方の基本は共通しています。4つのステップで整理します。
①公式テキストを軸に据える
多くの検定には公式のテキストが用意されており、出題範囲がそれに準拠しているケースがほとんどです。市販の対策本を何冊も集めるより、公式のものを繰り返し読むほうが効率的になります。
進め方としては、1周目で全体像をつかみ、2周目で用語の定義を意識しながら精読し、3周目で問題を解いて弱点を洗い出す、という3段階が扱いやすい流れです。間違えた箇所は必ず本文に戻って確認してください。
②実際に手を動かして確かめる
テキストを読むだけでは、知識が実感と結びつきません。書かれている内容を、実際に生成AIに入力して確かめる工程を挟んでください。
プロンプトの要素を入れた場合と入れなかった場合で出力がどう変わるかを見比べると、なぜその要素が必要なのかが体感として理解できます。暗記に頼らず解けるようになるため、応用の効く知識になります。
③模擬問題で形式に慣れる
出題形式に慣れておくと、本番で戸惑いません。四肢択一が中心の試験が多いものの、記述式を含むものもあります。
時間配分の確認も重要です。問題数に対して制限時間が厳しい試験では、1問にかけられる時間を把握しておくだけで結果が変わります。
迷った問題に時間をかけすぎて、後半を解ききれないというのが典型的な失敗です。分からない問題はいったん飛ばし、最後に戻る進め方を練習の段階から習慣にしておいてください。
④リスク領域を重点的に押さえる
多くの検定で出題されるのが、情報漏洩、著作権、個人情報といったリスクに関わる領域です。日常的に使っているだけでは身につきにくい部分であり、意識して学ばないと取りこぼします。
実務でも最も重要な知識にあたるため、ここを丁寧に押さえておくと、試験対策と業務の両方で効果があります。学んだ内容をそのまま社内の注意事項として共有すれば、周囲の理解も同時に進められます。
企業として社員に受けさせる場合
人材育成の一環として導入する場合、押さえておきたい点を整理します。
目的を先に決める
なぜ受けさせるのかを明確にするところから始めてください。情報漏洩を防ぎたいのか、業務効率を上げたいのか、推進役を育てたいのかで、選ぶ試験が変わります。
目的が曖昧なまま「とりあえず全員に」と進めると、受験して終わりになります。取得後に何を期待するかまで含めて設計することが重要です。
社員に説明する際も、この目的が伝わっているかどうかで取り組みの姿勢が変わります。会社として何を実現したいのかを言葉にして共有してから始めてください。
対象者を決める
全社員に一律で受けさせるのか、部門を絞るのか、推進役だけにするのかを決めます。リスク管理が目的なら全員、活用推進が目的なら特定の層という切り分けが現実的です。
段階を分ける方法もあります。まず全員に基礎的な試験を受けさせ、推進役にはより実践的な試験を追加するという設計です。
一斉に全社展開するより、特定の部署から始めて効果を確かめる進め方も現実的です。実際に業務が変わったという事例が社内に生まれれば、他部署への展開も進めやすくなります。
学習時間を確保する
業務時間外での自主的な学習に任せると、取り組みにばらつきが出ます。学習の時間を業務として確保するほうが、結果的に完了率が上がります。
短時間で終わる試験を選ぶ、あるいは研修と組み合わせて集中して学ぶ機会を作るといった工夫が有効です。
受験費用を会社が負担するかどうかも決めておいてください。個人負担にすると、取り組みが任意になり、結果として全社的な水準の担保という当初の目的が達成できなくなります。
活用できる制度を確認する
企業が社員に訓練を実施する場合、費用の一部が助成される制度があります。厚生労働省の人材開発支援助成金には複数のコースが用意されており、デジタル分野の人材育成を対象としたコースも含まれています。
ただし、対象となる訓練の要件や助成の内容は改正されることがあります。訓練の開始前に計画の届出が必要な場合もあるため、検討する際は厚生労働省の最新の公表内容と、管轄の労働局に必ず確認してください。
取得後の活用まで設計する
最も重要なのがこの点です。合格して終わりにせず、学んだ内容を業務に持ち込む場を用意してください。
うまくいったプロンプトを共有する場を設ける、社内の利用ルールを取得者が中心になって整備する、部門ごとの活用事例をまとめるといった取り組みが考えられます。資格取得を出発点として扱うことで、投資が成果につながります。
効果の測定方法も決めておいてください。取得率だけを追うと、合格することが目的化します。対象業務にかかっていた時間がどう変わったかまで見る設計にしておくと、次の判断材料が得られます。
| 自社に合った進め方を相談したい方へ 「どこから着手すべきか分からない」「社内での定着が進まない」といった課題は、状況を伺いながら整理するのが近道です。個別のご相談を承っています。 ▶ 相談予約はこちら |
まとめ
生成AIの検定は複数存在し、測っている対象がそれぞれ異なります。安全に使うためのリテラシーを問うもの、プロンプト設計の力を問うもの、AI技術全般の理解を問うものという違いを押さえてください。
選ぶ際は、何を測る試験か、難易度と学習時間、費用、受験形式という4つの観点で比較します。全社の底上げならリテラシー系、指示の質を上げたいならプロンプト系というように、目的から逆算すると迷いません。
企業で導入する場合は、目的の明確化、対象者の絞り込み、学習時間の確保、活用できる制度の確認、そして取得後の活用設計という5点を押さえてください。資格は知識を整理する手段であって、目的ではありません。学んだ内容を業務に落とし込む場を用意できるかどうかが、成果を分ける分かれ目になります。
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この記事の監修者
石丸真平
NEXTSCALE コンサルタント / AI活用・業務効率化支援





