FramePackとは?動画生成AIの使い方・導入手順・必要スペックと商用利用を解説

画像1枚とテキストを入力するだけで、数十秒から数分の動画が手元のパソコンで生成できる。FramePackが公開されて以降、動画生成AIをめぐる前提はかなり変わりました。

これまで動画生成AIを使うには、クラウドの有料サービスを契約するか、業務用の高価なGPUを用意するかという二択に近い状況でした。FramePackはVRAM6GBのGPUでも動作するため、ゲーミングノートPC程度の環境でも試すことができます。

一方で、実際に業務へ組み込もうとすると、必要なスペック、生成にかかる時間、ライセンスの扱い、生成物の権利関係など、確認すべき点は少なくありません。話題性だけで導入を決めると、あとから運用が止まります。

本記事では、FramePackの仕組みから導入手順、使い方のコツ、商用利用時の注意点までを、公式の一次情報をもとに順を追って整理します。

確認したいポイント結論詳細
FramePackとは何ですか?画像1枚から動画を作る無料の生成AI次フレーム予測とフレーム圧縮を組み合わせ、動画が長くなっても計算量が増えない構造を採用しています。
動かすのに必要なスペックは?RTX30番台以降のGPUとVRAM6GB公式要件はfp16/bf16対応のNVIDIA製GPU。13Bモデルでも6GBから動作するとされています。
生成にどれくらい時間がかかる?RTX4090で1フレーム約1.5〜2.5秒ノート向けGPUでは4〜8倍遅くなるため、長尺は時間に余裕をもって計画する必要があります。
商用利用はできますか?Apache License 2.0で条件付き可能ソフト側は商用可。ただし生成物の著作権や肖像権は別問題として個別に確認が必要です。

この記事でわかること

・FramePackが従来の動画生成AIと何が違うのか、その仕組みと背景

・動作に必要なGPU・VRAM・ストレージなどの環境要件と生成速度の目安

・WindowsとLinuxそれぞれの導入手順と、初回起動時に確認したいこと

・生成品質を左右するプロンプトの書き方と高速化オプションの使い分け

・商用利用時のライセンスの扱いと、社内で先に決めておくべきルール

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目次

FramePackとは何か——動画生成AIの中での位置づけ

FramePackは2025年4月に公開された動画生成AIです。まずは開発の背景、従来モデルが抱えていた課題、そして公開直後から注目を集めた理由という3つの角度から、全体像を押さえます。

FramePackの基本概要と開発元

FramePackは、画像1枚とテキストプロンプトから動画を生成するオープンソースの技術です。開発したのはlllyasviel(Lvmin Zhang)氏で、画像生成AIの分野ではControlNetやFooocusの作者として広く知られている人物です。

研究成果はスタンフォード大学のManeesh Agrawala教授らとの共同研究として発表され、コードと実行環境がGitHubで公開されました。ライセンスはApache License 2.0です。

配布されているデモソフトウェアは、HunyuanVideoという既存の動画生成モデルにFramePackの構造を適用したもので、単体で動作するデスクトップアプリケーションとして提供されています。メモリ管理とサンプリングの仕組みが一通り揃っているため、追加の環境構築なしに動かせます。

注意しておきたいのは、公式が案内しているのはGitHubリポジトリのみだという点です。framepack.aiやframepack.netといった類似ドメインのサイトは公式とは無関係であるとリポジトリ上で明記されており、金銭の支払いやファイルのダウンロードは行わないよう警告されています。検索結果から入る場合は、リポジトリのURLを必ず確認してください。

従来の動画生成AIが抱えていた課題

動画生成AIの多くは、動画が長くなるほど必要なメモリと計算量が増えるという構造的な制約を抱えていました。モデルが扱うコンテキストの長さがフレーム数に比例して伸びていくためです。

その結果、一般向けのGPUで生成できるのは数秒程度が上限になり、長さを伸ばそうとするとメモリ不足のエラーで処理が止まる、という状況が一般的でした。10秒を超える動画を安定して作ること自体が、環境面のハードルになっていたわけです。

もう一つの課題が「ドリフト」と呼ばれる現象です。直前のフレームを参照して次のフレームを作る方式では、わずかな誤差が次に引き継がれ、時間が経つほど画質の劣化や人物の顔・服装の破綻として積み上がっていきます。

長い動画を作れないというより、作れても後半が崩れてしまう。この2点が、動画生成AIを実務で使ううえでの壁になっていました。

FramePackが注目された理由

FramePackが公開直後から話題になったのは、この2つの課題に同時に手を打った点にあります。コンテキストを固定長に圧縮することでメモリ消費を一定に保ち、あわせて誤差の蓄積を抑えるサンプリング手法を組み合わせました。

公式が示す最低要件はVRAM6GBで、13Bという規模の大きなモデルを使いながら、30fpsで1分(1800フレーム)の動画を生成できるとされています。数値だけを見ると誤記を疑うレベルですが、公式リポジトリでも「6GB、誤植ではありません」と念を押して記載されています。

加えて、Windows向けにワンクリックで導入できるパッケージが用意されたことも普及を後押ししました。Pythonの環境構築やコマンド操作の経験がない人でも、解凍してバッチファイルを実行するだけで起動できます。

GitHubのスター数は1万7千を超えており、公開から一年以上が経過した現在も、派生プロジェクトや実装の取り込みが継続的に進んでいます。

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FramePackの仕組み——次フレーム予測とコンテキスト圧縮

FramePackの特徴を理解するには、「どこから作るか」「何を覚えておくか」「誤差をどう抑えるか」の3点を押さえると整理しやすくなります。ここでは技術的な詳細に深入りしない範囲で、順に見ていきます。

次フレーム予測という考え方

FramePackは、動画全体を一度に生成せず、次の1フレーム(または短いフレームの区切り)を予測する処理を繰り返して動画を伸ばしていく構造を採っています。

画像生成AIが1枚の絵を作る作業を、時間方向に何度も繰り返しているイメージに近いといえます。公式が「動画拡散でありながら画像拡散のように感じられる」と表現しているのは、この設計を指しています。

実務上のメリットもあります。生成が進むにつれて途中のフレームが順次表示されるため、完成を待たずに方向性が合っているかを判断できます。意図と違う動きになっていれば途中で止めてプロンプトを直せばよく、待ち時間の無駄が減ります。

入力フレームの圧縮で計算量を一定に保つ

次のフレームを予測するとき、過去のフレームがすべて同じだけ重要とは限りません。FramePackはここに着目し、時間的に古いフレームほど強く圧縮して保持するという設計を採用しました。

直前のフレームは細かい情報を残し、遠い過去のフレームは粗い情報だけを残す。この重み付けによって、フレーム数が増えてもモデルに入力されるコンテキストの長さが一定に保たれます。

結果として、5秒の動画も60秒の動画も、1フレームあたりに必要なメモリはほぼ変わりません。これが「VRAM6GBで1分の動画」という要件につながっています。

学習の面でも効果があり、画像拡散モデルと同程度のバッチサイズで学習を回せるようになった点が論文では強調されています。既存の動画生成モデルに対して、一部の層を追加学習させる形で適用できる点も、普及の速さにつながりました。

ドリフトを抑えるサンプリング

圧縮だけでは誤差の蓄積は解決しません。FramePackはこれに対して、時間を逆向きにたどるサンプリングを組み合わせています。

先に終点にあたるフレームを確定させ、そこへ向かって生成を進めることで、入力画像という高品質な基準から離れすぎないようにする考え方です。誤差が一方向に積み上がる構造そのものを崩している、と捉えると理解しやすくなります。

なお2025年5月に公開されたF1、その後開発が進められているP1では、この誤差対策のアプローチが更新されています。派生版については後の見出しで整理します。

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FramePackを動かすために必要な環境

導入前に確認しておきたいのが、GPU、生成時間、ストレージの3点です。ここを見誤ると「動いたけれど実務では使えない」という結果になりがちなので、順に整理します。

対応GPUとVRAMの要件

公式リポジトリが示す要件は明確です。fp16とbf16に対応したNVIDIA製のRTX 30/40/50シリーズのGPU、WindowsまたはLinuxのOS、そしてGPUメモリ6GB以上という3点が挙げられています。

GTX 10/20シリーズは検証対象外とされており、動作は保証されていません。またAMD製GPUやApple Silicon搭載のMacは公式にはサポートされていない点にも注意が必要です。有志によるMacのGPU対応版は存在しますが、公式版とは別物として扱ってください。

6GBはあくまで下限です。継続的に業務で使うのであれば、VRAM12GB以上のデスクトップ向けGPUを目安にすると、解像度や動画の長さを調整できる幅が広がり、待ち時間も短くなります。

生成速度の目安

生成速度は環境によって大きく変わります。公式が示している目安は、RTX 4090を搭載したデスクトップで1フレームあたり約2.5秒(最適化なし)、TeaCacheを有効にした場合で約1.5秒です。

30fpsで5秒の動画は150フレームですから、単純計算で4分から6分程度かかることになります。1分の動画であれば1800フレームとなり、条件次第では1時間近くを見込む必要があります。

ノートPC向けのRTX 3070 Ti LaptopやRTX 3060 Laptopでは、さらに4倍から8倍程度遅くなると説明されています。「試せること」と「量産できること」は別だと考えておくのが安全です。

もし目安より極端に遅い場合は、アテンションの実装やドライバの設定に問題がある可能性があります。公式リポジトリにはトラブルシューティングの案内があるため、体感が遅いと感じた段階で一度確認しておくと時間の無駄を減らせます。

ストレージ・ネットワークの前提

見落としやすいのがストレージです。初回起動時にモデルが自動でダウンロードされますが、その容量は30GBを超えます。空き容量とダウンロード時間の両方を見込んでおく必要があります。

社内ネットワークで外部のホスティングサービスへの接続が制限されている場合、ダウンロードそのものが失敗することがあります。導入前に情報システム部門と通信経路を確認しておくと、初日でつまずくことを避けられます。

生成した動画ファイルも蓄積していきます。試行回数が多くなる性質のツールなので、保存先と不要ファイルの削除ルールを最初に決めておくと運用が楽になります。

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FramePackの導入手順

環境要件を満たしていれば、導入そのものは難しくありません。WindowsとLinuxでは手順が異なるため、それぞれ分けて説明したうえで、初回起動時の確認事項を補足します。

Windowsでの導入手順

Windowsではワンクリックパッケージが公式に配布されており、これを使うのが最も確実です。GitHubのリポジトリページから、7z形式の圧縮ファイルをダウンロードします。

手順は大きく3ステップです。ダウンロードしたファイルを任意の場所に解凍し、フォルダ内のupdate.batを実行して最新の状態に更新し、続けてrun.batを実行します。

update.batの実行は省略しないでください。公式でも、この手順を飛ばすと修正済みの不具合を含む古いバージョンで動作する可能性があると注意されています。導入後に原因不明の挙動に悩まされる典型的なパターンです。

run.batを実行するとモデルのダウンロードが始まり、完了後にブラウザでGUIが開きます。初回は30GBを超えるダウンロードが入るため、時間に余裕のあるタイミングで実行するのが現実的です。

Linuxでの導入手順

Linuxでは、Python 3.10の独立した環境を用意することが推奨されています。CUDA 12.6に対応したPyTorchを導入したうえで、リポジトリのrequirements.txtから依存関係をインストールします。

GUIの起動はdemo_gradio.pyを実行する形です。共有用のオプションやポート、サーバーの指定に対応しているため、社内のGPUサーバーに立てて複数人で使う構成も取れます。

アテンションの実装は、標準ではPyTorch標準のものが使われます。xformersやflash-attn、sage-attentionにも対応していますが、まずは標準のまま試すことが公式で推奨されています。高速化のためのカーネルは、程度の差はあれ生成結果に影響を与えるためです。

初回起動時に確認したいこと

公式リポジトリでは、自分の素材を試す前に動作確認(サニティチェック)を行うことが強く推奨されています。指定された画像とプロンプト、既定のパラメータで生成し、想定どおりの結果になるかを確かめる手順です。

次フレーム予測のモデルは、ハードウェアやノイズのわずかな差で結果が変わります。同じ設定でも環境ごとに微妙に異なる出力になるのは正常な挙動であり、全体として似た映像になっていれば問題ありません。

ここで明らかにおかしな結果になる場合は、プロンプトではなく環境側に原因がある可能性が高いと切り分けられます。最初の1回に手間をかけておくことで、後の検証時間を大きく節約できます。

FramePackの使い方と品質を上げるコツ

起動できたら、あとは操作と設定の問題です。画面構成と基本操作、プロンプトの書き方、高速化オプションの使い分け、つまずきやすい点の順に見ていきます。

基本の操作手順

画面は左右に分かれており、左側に画像のアップロード欄とプロンプトの入力欄、右側に生成結果と途中経過のプレビューが表示されます。操作対象が少ないため、初見でも迷いにくい構成です。

流れとしては、動かしたい画像をアップロードし、動きを説明するプロンプトを入力し、生成する動画の長さを指定して実行するだけです。長さは秒単位で指定できます。

生成が始まると短い動画が先に表示され、区切りごとに少しずつ長くなっていきます。最初に1秒程度の動画しか表示されなくても異常ではありません。区切りが積み上がって指定した長さに達するまで待つ、という前提で画面を見てください。

なお、最初の区切りはウォームアップの影響で後半より遅くなることがあります。序盤の速度だけを見て全体の所要時間を判断しないほうが正確です。

プロンプトの書き方

FramePackのプロンプトは、「誰が」「どう動くか」を短く具体的に書くのが基本です。公式でも、長い説明文より簡潔な指示のほうが安定した結果になりやすいと案内されています。

書く順序は、主語、動き、その他の要素という並びが推奨されています。「少女が優雅に踊る、動きははっきりと、魅力にあふれて」といった構成が典型例として挙げられています。

もう一つのポイントが動きの大きさです。立っている、座っているといった静的な状態より、踊る、跳ぶ、走るといった大きな動きのほうが良い結果になりやすいとされています。動きの少ない指示は、そもそも変化が乏しい映像になりがちです。

公式リポジトリには、画像を渡すと動きに絞ったプロンプトを返してくれるチャットAI向けのテンプレートも掲載されています。プロンプトの言語化に慣れないうちは、これを使って叩き台を作る方法が近道です。

TeaCacheと高速化オプションの使い分け

TeaCacheは生成を高速化するオプションですが、品質には影響します。公式のサンプルでも、有効にした場合に動きが崩れた例が並べて示されています。

推奨されている使い方は、アイデアを試す段階ではTeaCacheを有効にして試行回数を稼ぎ、本番の出力では無効にして完全な拡散処理を通すという使い分けです。

この考え方は、sage-attentionや各種の量子化にも同じように当てはまります。速度を優先した設定は下書き用、品質を優先した設定は仕上げ用と割り切って運用すると、判断がぶれません。

つまずきやすい点と対処

実務で問題になりやすいのは、思ったとおりの動きにならないという点です。刀を振り下ろす、商品を持ち上げるといった具体的な動作は、短い指示だけでは意図どおりに再現されないことがあります。

対処としては、動作をより細かく言語化する、入力画像の側で構図や姿勢を作り込む、といったアプローチが有効です。いずれにせよ一発で決まる前提ではなく、複数回の生成を織り込んだスケジュールを組むことが重要になります。

また、画面全体が大きく動くカメラワークは苦手とされています。被写体の細かい動きを扱うのに向いた技術だと理解して、用途そのものを選ぶほうが結果的に早く成果につながります。

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FramePackの派生版と関連ツール

FramePackは公開後、公式と有志の双方から派生版が生まれています。名前が似たものが多く混乱しやすいため、公式の後継版、コミュニティ版、クラウド経由の利用という3つに分けて整理します。

公式の後継版(F1とP1)

F1は2025年5月3日に公開されたバージョンです。時間を逆向きにたどるサンプリングではなく、通常方向のサンプリングに新しい正則化の手法を組み合わせて誤差対策を行っています。

P1は次期バージョンとして開発が進められているもので、計画的な誤差対策と履歴の離散化という2つの設計が予告されています。2025年6月と7月には生成結果のサンプルが公開されました。

用途によって適した版が異なるため、まずは標準のリポジトリで試し、必要に応じてF1と比較する進め方が無難です。いきなり複数の版を並行して検証すると、条件の違いが把握しづらくなります。

コミュニティによる派生版

有志による派生版も複数あります。日本語のUIや機能追加を行った版、生成の待ち行列やプリセット管理といった制作支援の機能を加えた版などが知られています。

派生版は使い勝手が良い反面、公式のサポート対象ではありません。更新が止まるリスクや、依存関係の食い違いによる不具合が起きる可能性があります。

業務で使う場合は、まず公式版で動作を確認し、必要な機能が明確になってから派生版を検討する順序をおすすめします。公式リポジトリでも、他を試す前にまずこのリポジトリから始めるようにと明記されています。

クラウド経由で使う選択肢

GPUを用意できない場合は、クラウドのGPU環境やAPIを提供するサービス経由で使う方法もあります。従量課金で試せるため、評価段階の選択肢としては合理的です。

ただし、外部サービスに画像を送信することになるため、社内資料や顧客から預かった素材を扱う場合は、情報の取り扱い規程との整合を必ず確認してください。ローカル実行の利点は、まさにこの点にあります。

生成AIをどこまで社内で完結させるかという論点は、動画に限らず共通します。関連する考え方はネクストスケールのAI活用コラムでも継続的に取り上げています。

商用利用とライセンス・権利の注意点

業務で使ううえで最も判断が分かれるのがこの領域です。「無料で使えること」と「商用で使ってよいこと」は別の話であり、さらに生成物の権利はまた別に検討する必要があります。

Apache License 2.0の扱い

FramePackのリポジトリはApache License 2.0で公開されています。このライセンスは商用利用を認めており、条件を満たせば改変や再配布も可能です。

条件としては、著作権表示とライセンス条文の保持、変更を加えた場合の明示などが挙げられます。実際に社内で配布や改変を行う場合は、リポジトリのLICENSEファイルを直接確認したうえで、法務部門と扱いをすり合わせてください。

注意が必要なのは、ソフトウェアのライセンスと、内部で使われるモデルのライセンスは別だという点です。FramePackのデモは既存の動画生成モデルを利用しているため、そのモデル側の利用規約も併せて確認する必要があります。ここを見落とすと、ソフトは商用可でもモデルの条件に抵触する、という事態が起こり得ます。

生成物の権利をめぐる論点

ライセンス以上に慎重な判断が求められるのが、生成された動画そのものの扱いです。

文化庁の文化審議会著作権分科会法制度小委員会は、2024年3月に「AIと著作権に関する考え方について」を取りまとめ、AIの開発・学習段階と生成・利用段階を分けて整理する考え方を示しました。生成・利用の段階については、既存の著作物との類似性と依拠性が認められる場合に著作権侵害となり得る、という整理がなされています。

なおこの取りまとめは、公表時点における一定の考え方を示すものであり、法的拘束力を持つものではないとされています。詳細は文化庁「AIと著作権について」で公開されている資料を確認してください。

またFramePackは入力した画像を動かす仕組みであるため、入力画像の権利がそのまま問題になります。他人が撮影した写真、第三者のキャラクターイラスト、実在の人物が写った画像などを入力すれば、著作権や肖像権の問題は当然に生じます。

社内で決めておきたいルール

運用に入る前に、少なくとも次の4点は文書化しておくことをおすすめします。

・入力素材の出所を記録すること(誰が撮影・作成したものか)

・実在の人物が写った素材を扱う場合の同意の取り方

・生成物を公開する際に、AIを利用した旨を明示するかどうか

・公開前に誰が確認するかというチェック体制

判断を個人に任せない仕組みを先に作っておくことが、結果的に活用のスピードを上げます。ルールが曖昧なままだと、担当者が萎縮して使われなくなるか、確認を経ずに公開されて問題化するかのどちらかに振れやすくなります。

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FramePackを業務に取り入れる進め方

最後に、実務のどこに位置づけるかを整理します。向き不向きの判断、既存フローへの組み込み方、効果測定と体制づくりの3点に分けて説明します。

向いている用途・向かない用途

向いているのは、手元にある静止画素材に動きを加えたい場面です。商品写真、既存のイラスト、記事のアイキャッチ画像などを、SNS向けの短尺動画に展開する使い方が現実的です。

一方で向いていないのは、複雑なカメラワークを含む映像、台詞や音声を伴うコンテンツ、そして厳密な指示どおりの動作再現が求められる場面です。FramePackは音声を生成しないため、必要であれば別の工程で用意することになります。

また生成に相応の時間がかかるため、当日納品のような短納期の案件には向きません。前もって素材を作り置きしておく運用のほうが噛み合います。

既存の制作フローへの組み込み

現実的なのは、既存の動画制作を置き換えるのではなく、素材づくりの工程に差し込む使い方です。

入力画像の準備、プロンプトによる生成、生成物の選別、編集ソフトでの仕上げ、という流れを組むと、既存のワークフローとの接続がスムーズになります。特に選別の工程は省略しないでください。

生成物をそのまま公開するのではなく、必ず選別と編集を挟むことが、品質の面でも権利の面でもリスクを下げます。複数本を生成して良いものを選ぶ前提でスケジュールを組むと、精神的にも余裕が生まれます。

効果測定と体制づくり

導入効果は、制作にかかった時間と外注費の変化で測るのが分かりやすい指標です。1本あたりの所要時間、月間の制作本数、外注していた工程のうち内製化できた範囲などを記録していきます。

同時に、GPUの調達費用や電気代、担当者が習熟するまでの時間といったコストも計上してください。ローカル実行は生成ごとの課金が発生しない代わりに、初期投資と運用の手間が発生します。この両面を並べて初めて、導入判断の材料になります。

体制の面では、プロンプトと設定の知見を個人に閉じさせないことが大切です。うまくいった入力画像とプロンプトの組み合わせを共有ドキュメントに残すだけでも、後から参加するメンバーの立ち上がりが変わります。

AIツールの導入を社内に定着させる進め方については、ネクストスケールのブログ記事一覧もあわせてご覧ください。

まとめ

FramePackは、次フレーム予測とコンテキストの圧縮によって、動画の長さに関係なく計算負荷を一定に保つ構造を持った動画生成AIです。VRAM6GBという要件は、動画生成をローカル環境で扱ううえでのハードルを大きく下げました。

一方で、生成には相応の時間がかかり、意図した動きを引き出すには試行が前提になります。ライセンスと生成物の権利についても、ソフトウェア側と生成物側を分けて確認する姿勢が求められます。

まずは公式のワンクリックパッケージで動作を確認し、自社の素材で数本作ってみるところから始めるのが確実です。そのうえで、制作フローのどこに差し込むか、どのルールで運用するかを設計していけば、無理のない形で業務に組み込めます。

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参考・出典

・lllyasviel/FramePack(公式リポジトリ):https://github.com/lllyasviel/FramePack

・文化庁「AIと著作権について」:https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/aiandcopyright.html

この記事の監修者

石丸真平

石丸真平

NEXTSCALE コンサルタント / AI活用・業務効率化支援

NEXTSCALEのコンサルタントとして、生成AI活用、業務効率化、DX推進に関する支援を担当する想定のプロフィールエリアです。業務整理からツール選定、導入設計、社内定着までを一気通貫で支援する人物紹介として使用します。

ワイヤー段階では、監修者名、肩書き、プロフィール本文、関連リンク、著者導線がどのように入るかを確認できる構成にしています。実装時には実際のプロフィール文や外部リンク、SNSアカウント情報などに差し替える想定です。
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