Stable Diffusion Forgeとは?A1111との違いと開発状況・後継フォークの選び方

Stable Diffusionを自分のパソコンで動かそうとすると、まずどの操作画面を使うかで迷います。その候補として名前が挙がるのがForgeです。

同じ操作感のまま、より少ないメモリで、より速く動く。 これがForgeが広く使われてきた理由です。ただし2026年時点では、開発状況をめぐって知っておくべき事情があります。

ここでは仕組みと従来版との違いから、現在の開発状況、複数に分かれた後継の選び方、導入時のつまずきどころまでを整理します。

確認したいポイント結論詳細
Forgeとは?A1111を高速化したフォーク同じ操作画面のまま、メモリの使い方と処理速度を作り直した派生版。低いスペックでも動きやすい
A1111と何が違う?メモリ効率と対応モデルが違う起動時の設定が不要になり、旧版では扱えなかった新しいモデルにも対応している
今も使える?動くが本家の開発は止まっている作者本人の更新は2024年で止まっている。壊れてはいないが、新しい環境への対応は進まない
どれを選べばいい?用途で本家か後継かを選ぶ安定を求めるなら本家、新しいモデルや環境に対応したいなら後継のフォークが候補になる

この記事でわかること

  • Forgeが何を作り直したことで速くなっているのか
  • 従来のAUTOMATIC1111版との具体的な違い
  • 本家の開発が止まっている現状と、それが意味すること
  • 後継として分かれた複数のフォークの違いと選び方
  • 導入時に最も多いつまずきと、その対処
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目次

Forgeとは何か

まず位置づけを押さえます。Forgeは独立したソフトではなく、既存のものから派生したものです。

AUTOMATIC1111版からの派生

Forgeは、広く使われてきたAUTOMATIC1111版のWebUIをもとに作られた派生版です。 開発したのは、ControlNetやFooocusで知られる開発者です。

名前の由来は、ある人気ゲームの拡張基盤からきています。本体を置き換えるのではなく、開発や実験をしやすくするための土台を目指すという意図が込められています。

操作画面はほぼ同じです。従来版を使っていた人であれば、そのままの感覚で扱えます。

何を作り直したのか

速さの理由は、メモリ管理の部分をすべて削除して作り直している点にあります。 表面の見た目は同じでも、内部は別物です。

その結果、同じ機材でも扱えるモデルの幅が広がりました。追加の設定なしで、比較的少ないメモリでも動くようになっています。

あわせて、内部の仕組みを差し替えられる構造が導入されており、従来版では扱えなかった機能にも対応できるようになりました。

Forgeでできること

使える機能は、従来版とほぼ同じです。文章から画像を作る、手元の画像をもとに作り替える、細部を描き直す、といった基本の操作はすべて揃っています。

加えて、構図や姿勢を細かく指定する仕組みが最初から組み込まれています。 従来版では別途追加する必要があったものが、標準で使える形になっています。

追加の学習データを読み込ませて特定の絵柄や人物を再現する使い方にも対応しています。画像生成でよく使われる機能は、ひととおり網羅されていると考えて差し支えありません。

どういう人に向くか

向いているのは、手元の機材のメモリに余裕がない人です。 従来版で動かすのが厳しい構成でも、Forgeなら動く場合があります。

また、同じ枚数を作るなら生成の待ち時間が短くなるため、数をこなす用途ほど恩恵が大きくなります。 逆に、月に数枚しか作らないのであれば、違いを実感しにくい部分です。

従来のAUTOMATIC1111版との違い

移行を検討する際に押さえておきたい違いを整理します。

起動時の設定が不要になる

従来版では、メモリが足りない場合に起動時の設定ファイルへ指定を書き足す必要がありました。Forgeでは、この種の指定が基本的に不要です。

注意したいのは、従来の指定を書いても効果がない点です。 エラーにはならないため気づきにくいのですが、メモリ管理の仕組み自体が作り直されているため、古い指定は意味を持ちません。

移行してきた人が「設定したのに変わらない」と感じるのは、たいていこれが原因です。設定ファイルは一度きれいにしてから始めてください。

対応するモデルの範囲

画像生成のモデルは世代が進んでおり、従来版が正式に対応していない新しい世代のモデルにも、Forgeは対応しています。

新しいモデルを試したい場合、この差は決定的です。従来版のまま新しいモデルを動かそうとしても、そもそも読み込めないという事態になります。

拡張機能の互換性

ここが移行時の最大の障壁です。 内部の構造が変わっているため、従来版で使っていた拡張機能がそのまま動くとは限りません。

よく使われる主要なものは対応が進んでいますが、利用者の少ない拡張機能や、更新が止まっているものは動かない場合があります。 移行前に、自分が使っている拡張機能の対応状況を確認してください。

拡張機能を多用している場合は、従来の環境を残したまま別のフォルダにForgeを入れ、並行して使うのが安全です。 上書きする必要はありません。

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開発状況の現在地

ここが本記事で最も重要な部分です。導入を検討する前に、必ず知っておいてください。

本家の開発は止まっている

Forgeの作者本人による更新は、2024年11月を最後に止まっています。 その後もコミュニティからの修正は取り込まれていましたが、新しい公式の版は出ていません。

公開されている情報の一部は、2024年の検証結果のまま更新されていません。これは壊れているという意味ではありません。 導入も動作も問題なく行えます。

ただし、新しい機材や新しいモデルへの対応は進まないということでもあります。 これから購入する機材で使う場合は、この点が影響します。

現在の状態はGitHubの公式リポジトリで確認できます。更新の頻度や直近の変更内容を見れば、状況を自分で判断できます。

従来版も同様に停滞している

知っておきたいのは、比較対象である従来のAUTOMATIC1111版も同じく停滞している点です。 こちらも2024年半ばで主要な更新が止まり、多数の修正案が取り込まれないまま残っています。

つまり、「従来版とForgeのどちらを選ぶか」という比較の前提自体が古くなっています。 どちらも積極的な開発は続いていないというのが現状です。

この状況を受けて、有志による後継のフォークがいくつも生まれました。現在の選択肢は、この後継たちの中にあります。

なぜこうなったのか

背景には、この分野の変化の速さがあります。画像生成の主流はより柔軟な仕組みへ移りつつあり、従来型の操作画面への需要そのものが変わってきました。

加えて、開発者が別の取り組みに注力するようになったという事情もあります。無償で公開されているものである以上、こうした変化は避けられません。

業務で使うことを考えるなら、特定のツールに依存しすぎない設計が重要になります。 これは後半で改めて触れます。

どのフォークを選ぶか

現在、Forgeの系統は複数に分かれています。目的別の選び方を整理します。

主な選択肢

代表的なものは次のとおりです。

  • 本家のForge:更新は止まっているが、既知の構成で安定して動く。従来型の環境を維持したい場合の選択肢
  • Forge Classic:古い拡張機能との互換性を最優先した後継。既存の資産をそのまま使いたい場合に向く
  • Forge Neo:画面と機能を新しくした後継。新しいモデルへの対応が進んでおり、性能面の改善も入っている
  • reForge:別の開発者による派生。新しい実行環境への対応や、追加の生成手法が入っている

このうちClassicとNeoは、本家の更新が鈍った後に、プロジェクトを存続させるためにフォークされたものです。 同じ開発者が2つの方向性に分けて維持しています。

選び方の基準

判断の軸は単純です。

  • 既存の拡張機能をそのまま使い続けたい:Classic系
  • 新しいモデルを試したい、新しい機材を使う:Neo系
  • 特に不満がなく、今の環境が動いている:本家のまま維持

新しく始めるのであれば、更新が続いている後継から入るのが合理的です。 本家を選ぶ理由は、既に動いている環境を変えたくない場合に限られます。

そもそも別の道具を選ぶ判断

この系統にこだわらないという選択肢もあります。 より柔軟に処理の流れを組める別の操作画面が普及しており、そちらは開発が活発です。

ただし、そちらは自由度が高いぶん操作の習得に時間がかかります。とりあえず動かして画像を作りたいという段階であれば、Forge系のほうが早く着地します。

習得にかけられる時間と、必要な自由度を天秤にかけて決めてください。両方を入れて使い分けている人も少なくありません。

関連記事:AI画像生成サイトの無料・登録不要はどこまで本当?選び方と商用利用の注意点を解説

導入時のつまずきどころ

実際に入れる際に、事前に知っておくと時間を節約できる点を整理します。

最も多い原因は仮想メモリの不足

一見すると無関係に見える多数のエラーが、実は同じ原因に行き着くことが指摘されています。それが仮想メモリの不足です。

Forgeのトラブル対応の情報では、この領域を40GB以上確保するよう推奨されています。 十数種類の異なるエラーが、これで解決したという報告があります。

設定はWindowsであればページファイル、Linuxであればスワップ領域です。あわせて、この領域は必ず高速な記憶装置の側に置いてください。 遅い側に置くと、動いても実用にならない速度になります。

エラーが出たときに個別の対処を調べる前に、まずここを確認してください。切り分けの時間が大幅に短くなります。

起動しないときの確認順序

導入直後に起動しない場合、原因は限られています。次の順で確認してください。

  • 仮想メモリの設定。前述のとおり最も多い原因
  • フォルダの場所。日本語や空白を含むパスに置くと不具合が出やすい
  • 画像処理装置の制御ソフトの版。古すぎると動かない
  • 記憶容量の空き。導入の途中で足りなくなると中途半端な状態で止まる

2つ目は日本語環境で特に起きやすい問題です。 利用者名に日本語が含まれていると、既定の場所に置いただけで動かないことがあります。英数字だけのパスに置き直すと解決する場合があります。

必要な機材の目安

導入前に確認しておきたい条件は次のとおりです。

  • 画像処理装置:NVIDIA製が前提。他社製でも動くが不安定になりやすい
  • システムのメモリ:16GB以上、できれば32GB
  • 仮想メモリ:40GB以上
  • 記憶容量:本体で20GB程度に加え、モデル1つあたり数GBから十数GB

見落とされやすいのが記憶容量です。 モデルを複数試すと、あっという間に数十GBを消費します。作業用の空き容量は多めに見ておいてください。

既存の環境を消さない

移行する場合も、従来の環境は消さないでください。 別のフォルダに入れれば、両方を残したまま比較できます。

モデルのファイルは容量が大きいため、二重に持つと無駄になります。設定でモデルの保管場所を指定すれば、同じフォルダを共有できます。 これで容量を節約しながら並行運用できます。

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業務で使う場合の考え方

最後に、会社の仕事で使う場合の観点を整理します。

特定のツールに依存しない設計

この記事で見てきたとおり、無償で公開されているツールは開発が止まることがあります。 業務の手順をひとつのツールに強く紐づけると、止まったときに立ち行かなくなります。

実務的な対処は、手順書をツール名ではなく作業の目的で書いておくことです。 「Forgeで背景を差し替える」ではなく「商品写真の背景を掲載先に合わせて差し替える」と書けば、ツールが変わっても手順書は生き残ります。

あわせて、うまくいった指示や設定は記録として残してください。これらはツールをまたいで使える資産になります。

関連記事:Stable Diffusionのシード値とは?固定して再現する方法とよくある誤解を解説

自分の環境で動かす利点と負担

手元で動かす方式の利点は、扱うデータが外に出ないことです。 未公開の商品画像や社外秘の素材を扱う場合、この点は大きな判断材料になります。

一方で、機材の用意、環境の構築、不具合への対応はすべて自社の負担になります。担当者が離れたときに誰も直せないという事態も起こり得ます。

扱うデータの機密度と、社内で維持できる体制の両方を見て判断してください。手軽さを取るなら、外部のサービスを使う選択肢もあります。

誰が維持するかを決めておく

手元で動かす方式で最も見落とされるのが、維持する担当を決めていないことです。 導入した人が異動や退職でいなくなると、そのまま放置される例が少なくありません。

最低限、次の3点は決めておいてください。

  • 環境を構築した手順を、誰でも再現できる形で残す
  • 使用しているモデルの入手元と版を記録する
  • 不具合が出たときの相談先を、社内か社外かで決めておく

1つ目が特に重要です。 手順が残っていなければ、機材を入れ替えたときに一から調べ直すことになります。導入時に記録を取るのが最も安く済みます。

生成物の権利を確認する

既存の画像を読み込ませて別の画像を作る操作では、権利面の論点が伴います。生成物が既存の著作物の権利を侵害するかは類似性と依拠性で判断されますが、既存の著作物そのものを入力する行為は、依拠性が認められる典型例として挙げられています。

考え方の詳細は文化庁が公表しているAIと著作権に関する考え方についてで確認できます。あわせて、使用するモデルごとに配布元が定めた利用条件があるため、商用で使う前に確認してください。

関連記事:AI会話アプリの選び方|3つのタイプの違いと使い分け・利用時の注意点を解説

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手元で動かす方式は自由度が高いぶん、使ってよい範囲の線引きが曖昧になりがちです。
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まとめ

Forgeは、AUTOMATIC1111版のWebUIをもとに、メモリ管理を作り直して高速化した派生版です。操作画面はほぼ同じまま、少ないメモリでも動き、新しい世代のモデルにも対応しています。

ただし本家の開発は2024年で止まっています。 動かなくなったわけではありませんが、新しい環境への対応は進みません。比較対象だった従来版も同様に停滞しており、現在の選択肢は複数に分かれた後継のフォークの中にあります。

新しく始めるなら、更新が続いている後継から入るのが合理的です。導入時は、一見無関係に見える多くのエラーが仮想メモリの不足に起因する点を覚えておいてください。 40GB以上を確保しておくと、切り分けの時間が大幅に減ります。

関連記事:Stable Diffusionのネガティブプロンプトとは?書き方とモデル別の使い分けを解説

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この記事の監修者

石丸真平

石丸真平

NEXTSCALE コンサルタント / AI活用・業務効率化支援

NEXTSCALEのコンサルタントとして、生成AI活用、業務効率化、DX推進に関する支援を担当する想定のプロフィールエリアです。業務整理からツール選定、導入設計、社内定着までを一気通貫で支援する人物紹介として使用します。

ワイヤー段階では、監修者名、肩書き、プロフィール本文、関連リンク、著者導線がどのように入るかを確認できる構成にしています。実装時には実際のプロフィール文や外部リンク、SNSアカウント情報などに差し替える想定です。
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